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『フリースタイルティーチャー』鬼の形相の女芸人対決!!

『フリースタイルティーチャー』紺野ぶるまが『THE W』のリベンジを期すも返り討ちしたゆりやん。鬼の形相の女芸人対決!!

『フリースタイルティーチャー』紺野ぶるまが『THE W』のリベンジを期すも返り討ちしたゆりやん。鬼の形相の女芸人対決!!の画像1
『フリースタイルティーチャー』(テレビ朝日系)

 8月19日放送『フリースタイルティーチャー』(テレビ朝日系)にて、紺野ぶるま(ティーチャー:DOTAMA) VS ゆりやんレトリィバァ(ティーチャー:TKda黒ぶち)、レイザーラモンRG(ティーチャー:輪入道) VS カミナリ・石田たくみ(ティーチャー:KEN THE 390)という2つの同性対決が行われた。特に、女性同士のバトルはディスり合いがえげつなくなる予感があり、戦前の期待感は格別だった。

鬼の形相の紺野ぶるまに下ネタでも上回ったゆりやんレトリィバァ

 第1試合は、ぶるまとゆりやんのフィメール対決。バトル前の両者の雰囲気は対照的だ。時に笑顔も見せるゆりやんに対し、たくみとのバトルに負けて後のないぶるまは体中から闘気をみなぎらせている。仕込んだネタを相手にぶつけるタイプのぶるまは、鬼の形相で先攻を取りに行った。

「ゆりやん THE Wのチャンプ けど 今日はここで完封
 あんたは確かに売れてる そんな気持ち込めるよ」
「確かに私は売れてないよ あんたの100分の1も売れてない」
「花が咲かない まるで雑草 けど走り続ける人生の滑走路」

 気合が入りまくって物凄い目つきになっているぶるま。しかし、ディスりながらも妙に卑屈なのが気になる。さらに、ぶるまは続けた。

「あんたは売れてる割に気にしすぎだよ 【コンプラ】【コンプラ】【コンプラ】マジで笑う
 山田花子の二番煎じの未完成品」

 確かに、世に出始めた頃のゆりやんにはその印象もあったが、知的な部分が知れ渡った今の彼女に山田花子の二番煎じ感はほとんどない。この辺のビーフが少し的外れに感じられたのは残念だった。

対するゆりやんは圧倒的だ。彼女のライムはバトルを重ねるほど良くなっている。

「お前のこのスカート見せて パンチラインはねぇのにパンチラするなよ」

 たくみ戦でスカートを捲り上げ、穿いているブルマを見せたぶるまへの強烈なディス。本業でひな壇に座っているときには出せなかった力を今の彼女は見せていると思う。『フリースタイルティーチャー』は、見るたびにゆりやんの評価が上がる番組だと言える。

 続く2ラウンド目ではぶるまも挽回し、かなりいいラップを見せていたが、それを引っくり返したのはゆりやんのラストバースだった。

「THE Wで貰った1000万 お前はただのくっせぇマン」

 ぶるまの専売特許のはずの下ネタでも上回ってみせたゆりやん。こうなったら、結果は火を見るより明らかだ。このバトルはゆりやんが勝利した。しかし、雑草魂をむき出しにするぶるまに感情移入したのは事実。戦況を見つめるティーチャー・DOTAMAの真剣な表情も印象的だった。この師弟が今までの特訓にどれほどの熱を込めてきたかがわかる、いいシーンだった。

サンドウィッチマンの「何言ってるか分かんない」をサンプリングするたくみ

 第2試合はレイザーラモンRG VS カミナリ・石田たくみであるが、バトル前に特別なVTRが紹介された。それは、総当たり戦の直前に行われたRGのラストレッスンの映像。輪入道はRGと会わせるため、あるゲストを呼び寄せていた。なんと、それはラッパーの狐火! まさか、地上波でこの人の姿が見られるとは……。

 狐火がRGの前で披露したのは、代表曲「27歳のリアル」だ。これはヤバい。時間の都合もあり、ダイジェスト的に放送された狐火のライブだったが、できることならフル尺で見せてほしかった。じゃないと、彼の強烈なバイブスが視聴者に伝わらない。掌幻や焚巻だけでなく狐火まで出演する『フリースタイルティーチャー』は、なんだかんだで神番組だと思う。

 この神映像を踏まえて始まった、RGとたくみのバトル。やはり、RGはバイブスを前面に押し出した。しかし、それがネックになっている感もある? 初心者が韻に囚われすぎるのも良くないが、韻を完全無視すると逆に難易度が高まってしまうからだ。実は、RGは難しいスタイルを選んでいると思う。対するたくみはアンサー型。それだけに、後攻になると滅法強かった。

RG 「たくみくん お前はこのままグレープカンパニーの2番手で
   なんかもう良いかなぐらい感じが見えてる 皆そう見えてる
   このままグレープカンパニーで 中途半端に2番手で良いのか?
   サンドウィッチマン もっと超えるぐらいの努力しろよ」
 
たくみ 「何? サンドウィッチマン? ちょっと何言ってっか分かんねぇな
     サンドウィッチマン? 今の気持ち あいつら もういいぜ
     と思ってるぐらい 永野もサンドウィッチマンも俺がぶっ潰す 
     ぐらいのつもりでやってる」

 サンドウィッチマンの名前を出されるや、「何言ってっか分かんねえ」「もういいぜ」と速攻でサンドウィッチマンの決めワードをサンプリングしたたくみ。そこから、永野の名前を出してまで上昇志向をアピールしてみせた。素晴らしい頭の回転の速さだ。

 2ラウンド目のたくみもキレキレだった。『THE MANZAI 2013』(フジテレビ系)で決勝まで行った腕前なのに、最近はピン活動ばかり目立つレイザーラモン。たくみはRGに「お前の漫才が見てえんだ!」と声を荒げた。すると、RGはレイザーラモンで漫才のYouTubeチャンネルを立ち上げると告白。「宣伝になりました ありがとう!」と、皮肉を込めてたくみに返答する。しかし、その皮肉をたくみのラップは上回るのだ。

「YouTubeじゃなくてTVに出て欲しいな オメェの現場どこだ?
 全然全く周りが見えていない 頭の回転が遅いからそんなアンサーしか出来
 ねぇ
 ドシッとしてっけど回転が遅ぇ 観覧車みてぇなタイプ
 俺は小っちぇけど頭の回転ヤバすぎ 扇風機 風吹かす 首も振らす」

 RGの頭の回転速度を「観覧車」とディスり、自分の頭の回転の速さを「扇風機」に喩える強烈なパンチライン。恐らく、このライムは仕込みネタだったと思うが(仕込みじゃなかったら恐ろしい!)、その出し方が抜群だった。仕込みを仕込みと思わせない技術も試合には必要である。やはり、MCバトルはアンサー力。同じ言葉の繰り返しが多いRGとの差は、残念ながら明白だった。このバトルはたくみの勝利に終わった。

 今回は同性芸人同士の顔合わせだっただけに、バトルの内容はバチバチ! 2試合ともかなり面白い内容となったが、結果は順当だった。現時点の星取りは、ポテンシャルの高いゆりやんとたくみの2人が2勝0敗で同率1位という状況である。つまり、「勝つだろうな」と思っていた側が予想通りの勝ち方をするだけのバトルが今までは続いていた。

 しかし、次回は違う。事実上の決勝戦と言える、ゆりやん VS たくみのバトルは結果の予想がまるでつかない。アンサー力のたくみとライム至上主義のゆりやんではタイプが異なり、どちらが勝ってもおかしくないのだ。ただ、1つ気になるのは、たくみがツッコミ型アンサーを多用しすぎていること。インパクトが次第に薄れてきているのだ。そこをゆりやんに付け込まれないだろうか?

 もう1つ気になるのは、全試合が終わった後の展開だ。優勝者に与えられるのは栄誉だけなのだろうか? どうせなら、ティーチャーと一緒にスタジオにこもって音源リリースくらいはさせてあげたい。さらに、その工程を視聴者に公開すれば、『フリースタイルティーチャー』は視聴者にとってまさに学びの場となるだろう。

寺西ジャジューカ(芸能・テレビウォッチャー)

1978年生まれ。得意分野は、芸能、音楽、格闘技、(昔の)プロレス系。『証言UWF』(宝島社)に執筆。

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最終更新:2020/08/25 20:00
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