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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 有吉弘行のボンデージ姿とテレビの“ドラマ性”

有吉弘行のボンデージ姿と狼(犬)と大河と…テレビの“ドラマ性”を体験した日

有吉弘行「お互いが成熟してないと、こういうことはできないから」

 先週、話題になったバラエティといえば20日の『有吉クイズ』(テレビ朝日系)だろう。数々のコーナーがあったけれど、特筆すべきはやはりラストの有吉のプライベート密着クイズだ。その名のとおり、有吉のプライベートに密着し(という時点でプライベートではないが)、彼が向かっている目的地を当てるクイズだ。これまでお尻の脱毛や、おでこの脂肪腫の除去をしてきた有吉。さて、今回はどこへ向かうのか。

 スタッフとの待ち合わせは六本木駅近くの公園。そこでベンチに座り弁当を食べている有吉。大都会東京の片隅で孤独に腹を満たすテレビの人気MCの姿が哀愁と笑いを誘う。

 弁当を食べ終わり目的地に向け歩きだす有吉。スタジオの出演者が「ホワイトニング」「レーシック」「ボトックス注射」「台湾マッサージ」「ボードゲームカフェ」「闇カジノ」などと行き先を予想する中、VTRの有吉は雑居ビルへ。彼が訪れたのはSMショップだった。

 有吉は陳列された商品を物色していく。4,400円のアナルジュエリー、3,080円からの麻縄、8,140円の乗馬鞭、6,600円のマイクロファイバージッパーマスクなどなど、地上波テレビではあまりお見かけしない品々をカメラが捉える。バラエティ番組でダチョウ倶楽部の上島竜兵に用意すべきはバラ鞭、一本鞭だったらキレられるといったプチ情報も紹介される。犬のマスクを見つけると「こんなの付けてるバンドの人いますよね。『ミュージックステーション』とか出てるもんな」と、名指しはしないがあの狼たちのバンドを想起させる発言も出てくる。

「大人の嗜みですよね。相当お互いが成熟してないと、こういうことはできないから」

 そう語りながらトータル23,811円(税込)の買い物を済ませた有吉は、この後さらに某所へ向かう。着いたのは撮影スタジオ。そこには世界的な写真家レスリー・キーが待っていた。撮影するのは有吉のポートレイト、しかもSM系の写真だ。リスペクトする石田えりの写真集のような写真を撮りたいと語る有吉は、SMショップで購入した品物と私物の衣装を身にまとう。すね毛も剃ってある。撮影のために少し痩せたという。

 約2時間かけて500枚以上を撮り終えた有吉。ここまでですでに見ている側も唖然としながら笑い疲れているわけだが、有吉はさらに追加のカットを要望する。切り替わった画面に映っていたのは、例の犬のマスクをつけてテーブルに四つん這いになる有吉の姿だった。その衝撃的な映像に、大抵のことは許容するみちょぱからもこんな感想が出てくる。

「これをテレビで流すんですか?」

 凛々しい顔と見事なポーズ。引き締まった身体と写真の芸術性の高さも相まって、「何やってんだ(笑)」とツッコミたくなる種類の笑いがこみ上げてくる。そして、すでにテレビで確固としたポジションを築き上げたように見え、数々の番組で若手芸人を引き上げる先輩肌なところも見せつけ、NHKでは子役とMCを務めていたりする男の、いまだ衰えない底知れ無さに戦慄する。

 さて、そんな『有吉クイズ』を見終え笑い疲れた私は、『タモリ倶楽部』(テレビ朝日系)の録画を再生した。マニアックな番組の後はマニアックな番組を。そんな考えが働いたのかもしれない。有吉とタモリに連続性を見たのかもしれないが、今となっては理由はよくわからない。で、その『タモリ倶楽部』、私の住む関西では約4カ月遅れで放送されている。19日深夜に朝日放送で流れたのは、テレビ朝日で4月10日に放送された回だった。

 タモリがいつものように「毎度おなじみ流浪の番組……」と語り始める。続いてゲストが登場する。そこにいたのはビビる大木と市川紗椰、そしてあの狼バンド、MAN WITH A MISSIONのジャン・ケン・ジョニーだった。河川マニアだというジョニーは語る。

「大河ドラマなんて言葉があるように、川こそがロマンであり、ドラマなんですね」

 あのとき、『有吉クイズ』の後に別の録画を再生していたら、この必然のような偶然から生まれた面白さは体験できなかっただろう。なるほど、テレビはドラマである。視聴者の選択によっても筋書きが変わるドラマである。

飲用てれび(テレビウォッチャー)

関西在住のテレビウォッチャー。

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いんようてれび

最終更新:2021/09/21 11:01
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