“キング・オブ・アウトロー”瓜田純士のケンミンSHOW! 関東夫vs関西妻、カルチャーギャップが愛を育む!?
#インタビュー #瓜田純士
瓜田夫婦が先日、結婚6周年を迎えた。バリバリの関東人である純士と、コテコテの関西人である麗子。お互い言葉や文化の違いに戸惑うこともあったそうだが、こうして今も夫婦円満でいられる秘訣は何なのか? 関東人と関西人のおしどり夫婦、その対立と歩み寄りの歴史に迫る!
――結婚6周年おめでとうございます。おふたりの出会いについては過去記事をご覧いただくとして、今回はその後の道のりに迫りたいと思います。関東人と関西人は言葉やノリが大きく異なりますが、出会った当初、お互いにギャップは感じなかったのでしょうか?
瓜田純士(以下、純士) 言葉に対する違和感は最初からなかったですね。それまで俺がかかわりを持った関西人は、男性が大半だったせいか、柄の悪い関西弁を使う人が多かった。「なんやワレ」「死ねボケカス」みたいなノリですね(笑)。ところが嫁が表で使う関西弁は、テンポがおっとりしていて、イントネーションも優しい感じだから、これなら一緒にいられる、と思いました。聞く人の気持ちを和ませてくれる、心地いい関西弁なんですよ。ちょっと京都っぽいのかな?
瓜田麗子(以下、麗子) それよぉ言われるけど、ウチめっちゃ大阪やで。
純士 大阪の女性はみんな、そういう喋り方なの?
麗子 どやろ? まわりはよぉわからんけど、ウチは上品かつ、癒し系の関西弁って言われるな(笑)。接客業の経験が長かったから、こういう口調になったんかもやけど。
――関西人が東京に移住すると、文化が合わずにノイローゼになるケースもあると聞きますが、奥様はどうだったでしょう?
麗子 ウチより先によしもとの芸人さんたちが東京進出してはって、えらいこっちでウケてたんもあるんかもやけど、ウチも「キミの関西弁、いいねぇ」「癒されるわ~」言うて、なんやかんやで結構すぐに気に入ってもらえてたから、ストレスは初めっからまったくなく、すんなり東京に溶け込めました。
純士 嫁は頭がいいし空気を読む能力にも長けているから、人から好かれやすいんですよ。でもね、一緒に住むようになってからわかったんですけど、怒ると、この地球上で一番いやらしい口調になるんですよ(笑)。
たとえば夫婦ゲンカをしたあと、俺の後ろを通る瞬間に、「死ね」とつぶやいたり。この「死ね」のイントネーションは、「↗︎↘︎」。関西弁で「逝ね」と言うでしょ。あれと同じイントネーションだから、言われたこっちはカチンとくる。
あと「こいつ、あかんわ」とため息混じりつぶやかれたり、軽蔑した視線をこちらに向けながら「何さらしとんねん」とか言われると、めちゃくちゃ腹が立ちますね。外では品のいい関西弁を使っているくせに、家ではこれかよ! と。
麗子 エヘヘ。普段は上品やけど、実はいったん何かでスイッチ入ったら、関西の女友達の中でもトップクラスの口の悪さでしたから(笑)。
――新宿生まれ新宿育ちの瓜田さんは、関西弁が好きですか?
純士 うちの嫁は関西弁を、言葉のジャンルの中で一番憧れられる崇高なものと思っているようだけど、俺はそうは思わない。全関西人を敵に回す覚悟で言うと、ぶっちゃけ、「垢抜けない言葉だな」と思っています。山の頂に標準語があるとしたら、関西弁はロープウェイにもまだ乗れていない、山のふもとのお土産屋にある木刀レベル。そう思っている俺が、あえてレベルを下げて冗談っぽく関西弁を使うと、嫁は「はぁ……」とため息をつくんですよ。
麗子 エセ関西弁は聞いててイントネーションちゃうのが、めっちゃ腑に落ちひんくて。歌をわざと外して歌われてる感覚と一緒で、聞いててめっちゃムズムズするし、落ち着かんし、ツッコミたくてたまらんし、とりあえず聞き心地が悪いねん。アレは耳に優しくない。
純士 あのね、たとえば、ブルーハーツの「リンダリンダ」を誰かが鼻歌で口ずさんでいたとするでしょ? あくまで鼻歌なので、その人はそれが正しい歌詞で正しい音程なのかどうかまでは考えていないわけ。そこに熱狂的なブルハ信者が割り込んできて、「歌詞が違う! そうじゃない!」と茶々を入れてきたら、鼻歌の人はどう思う? それと同じことですよ。「正しい関西弁はこうや!」と、いちいち正されても困るんですよ。こっちはそこまで関西弁に思い入れがないんだから。
――奥様は、標準語が好きですか?
麗子 めっちゃ好きなんですよ。人って、異なるDNAを求めるじゃないですか。純士がエセ関西弁を使うとガッカリやけど、標準語を使うと、ときめいちゃいますね。
純士 たまに夫婦ゲンカで険悪なムードになったときに、「お前いい加減にしろよ! ふざけんな!」みたいなことを俺が真剣に言うと、嫁の目が急にキラキラ輝き始めるんですよ。「なんやそれ♡ 純士、格好いい! もういっぺん言うて♡」なんておねだりしてきたり。そう考えると我が家の場合、標準語には、険悪なムードを緩和する効果があるみたいですね。
――関東男性の「~だよね」「~じゃん」などの語尾が女々しくて無理という、関西女性の意見をよく聞くのですが。
麗子 嫌う人が多いけど、ウチはキュンキュンしてまう。純士の場合、見た目とのギャップ萌えもあるんかも。でも、あんまり言うてくれへんな。
――純士さんが好きな関西弁はありますか?
純士 関西の人のお礼の言い方が好きですね。関東では「ありがとう」の「り」にアクセントがくるけど、関西だと「と」にアクセントがくるでしょう。あれ、いいよね。
嫁が以前、混雑しているコンビニで公共料金の支払いをして、レジに大行列を作っちゃったことがあるんですよ。並んでいるお客さんは明らかにイライラしているんだけど、会計を終えた嫁が、待っているお客さんに向かってペコッと頭を下げながら「ありが“と“う」と関西流のアクセントで言ったら、店内の空気が一気に和んだんです。
それを見ていて、これはもしかしたら人をいい気持ちにさせる言葉なんじゃないかと思って、俺も取り入れるようにしたんですよ。そしたら結構、効果大で。短気で「ざけんなよ」が口癖のうちのお袋も、嫁の「ありが“と”う」を真似るようになってから、日常における要らぬトラブルが減ったそうです(笑)。
――ところで最近、初めての行動に対しても「また」を使う関西弁の用法が、関東人には伝わらないという記事が話題になっていました。一緒にディズニーランドに行ったことがないのに、「またディズニー行こな」と関西人から言われ、関東人が「は?」と戸惑う事例などがあるそうですが、お心当たりは?
純士 聞き慣れたせいか、特に引っかかったことはないですね。
麗子 関西人にとって「また」は軽い挨拶であり、相手に対する礼儀みたいなもん。初対面同士でも一度喋ったら「じゃあまたな」とか次がなくても言うし、相手の電話番号も知らんのに「また電話するわ」とかもよく言う。関東だと「また=再び」という意味やけど、関西だと「また=いつか」というニュアンスもあんねん。
純士 「また」で思い出したけど、俺は生真面目なところがあるから、「またメシ食いに行こう」と誘われたら、行かなくちゃいけないんだということがストレスになる。そのせいで誰かからメシに誘われただけで「やめときます」とその場で断っちゃうことがあるんですよ(笑)。そしたら嫁から、「あんなん言うたらカドが立つやろ。向こうも本気で誘ってないねん。あくまで社交辞令やねん」と注意され、以後、嫁が俺の対人関係をさばいてくれるようになったんですよ。
麗子 純士は、いちいち真に受けて考え込んじゃうんですよ。あのまんまやったら、ストレス抱えて死んでたで(笑)。そやから、私が間に入ってあげるようになったんです。
純士 嫁は柔らかい関西弁を駆使しつつ、対人関係を穏やかにまとめるのが上手いんですよ。だから俺がLINEで誰かに返信するときなどは、その文面を嫁にチェックしてもらったり、代筆してもらったりしています。嫁がいないときは自分で文面を考えるしかないんだけど、そこで俺が編み出したのが、自分のYouTubeでもよく使う「アレ」という言葉ですよ(笑)。「アレしといてよ」「アレしときますよ」「アレするわ」と書いておけば、気がラク。具体的なことは何も書いていないので、それは約束でもなんでもないですから(笑)。
――言葉以外のことで奥様が感じる、「大阪と東京の違い」はありますか?
麗子 たとえば夫婦で散歩中、純士の昔の知り合いとばったり会うことがあるんですけど、東京の人はそういうとき、私の目すら見ない人が多い気がします。これって、大阪やったらありえへんこと。大阪の男性は、知人の恋人や奥さんをものすごく立ててくれるんですよ。
純士 嫁の言っていることもわかるけど、それは一般的な話じゃなく、俺のいた不良の世界特有の文化じゃない? 俺も不良系の知人が女性を連れていたら、女性に対して会釈程度はするけど、目は合わさないし、男としか喋らないよ。なんでかというと、トラブルの元になるから。
特に、女性がホステス風の場合は要注意。俺と敵対している誰かが、その女性の客である可能性もあるわけだから、うっかり目を合わせて会話でもしようものなら、あとあとややこしい問題にも発展しかねない。だから初めから誤解を生まないように、知り合いが連れている女性とは「目を合わさない、喋らない」という習性が身についている。それは不良をやめた今も変わらないね。
麗子 大阪ではそれ、考えられへんけどな。「友達の友達はみな友達」「知り合いの恋人も昔からの知り合いのように仲良くもてなし、思いやろう」という感覚の人が多いから。不良の人ほどその傾向が強く、連れの恋人や奥さんのことをすごく立てて、内助の功を尊重してくれる。大阪の不良は基本的に優しくて、情に厚い気がするで。
それに引き換え、東京の人は男女ともに、女性をものすごく下に見てて、「女のお前は下がってろ。瓜田さんとお前は別物だ」的な冷たい態度をする人が悲しいかな多い。でも東京でも人の上に立つ人や、人間ができてて心のある人は、私ともちゃんと目を見て話してくれて、大切に扱ってくれますけどね。
純士 東京の不良は基本的に、女を信用していないんですよ。マンガみたいな話だけど、飲み屋の姉ちゃんと付き合ったがために情報が敵に筒抜けになって、キャバクラで襲撃されたとかの事件もよく起きていたから。
――「笑い」に対する東西の感覚差に戸惑ったことは?
麗子 もともと東京と大阪の笑いは違うから、純士の好きなビートたけしさんの笑いはウチにはわからへんかったし、純士もよしもと新喜劇を見てどこで笑っていいのかわからへん言うてます。けど、「瓜田純士」という男に関しては、ふたりともめっちゃ面白いって思ってます。
純士 俺はどういうわけか、関西人に受け入れられやすいんですよ。関西の地下格闘技の人たちと六本木で飲んだことがあるんだけど、そのときも拳月選手にこう言われました。「大阪の男をこれだけ笑かすのはたいしたもんや」と。
――純士さんが大阪へ行くことは?
純士 仕事や遊びで何度も行ったことがあるけど、いつも丁重にもてなしてもらった記憶しかない。よそもんに恥をかかせたらあかん、みたいな感じでね。
麗子 大阪人は、ゲストを大事にするやろ。
純士 確かに。「わざわざ東京から来とるんやから」と、歓迎してくれるから嬉しいよね。その点、我が身を振り返ってみると、地方から来た人と接するとき、「〇〇から来たんですか。へえ、行ったことないなぁ」で会話を終わらせてしまうような、素っ気ない態度を取っていたかも。もっと、もてなしてあげないとダメな気がしてきた。そこは大阪人を見習わないといけないな。
麗子 大阪は商人の町やから、「いらっしゃい、いらっしゃい」の文化が根づいてるんやろな。そういえば、こっちに来てビックリしたんは、純士って、出禁の店だらけやん? 大阪やったら、そんなことにならへんで。もし出禁を言い渡されても、「なんで? お願い! 店長頼むわぁ」「しゃあないなぁ、今回だけやで」みたいな流れになることが多いから。でも純士は、ダメならダメでさっさと諦めて帰るよな。
純士 東京人は、ケンカにしてもなんにしても、無駄な熱量を使わない傾向にある。でも大阪の人は「なんやワレ?」「やるんかボケ?」みたいなやりとりに熱量を使うでしょう。
麗子 ケンカして仲良くなんねん、大阪は。出禁を食らっても平気でまた行って、絆を深めて親友になる、みたいなところがあんねん。
純士 その点、俺の辞書には「明日になったら仲直り」という言葉がない。俺に一度でも弓を引いた人間がいたら、その場では許しても、心の中では決別します。仮にそいつが心を入れ替えて謝りにきても、もう二度と、お手手つないでランランランとはならない。そこでズルズルと関係を続けてしまうと、また同じことを繰り返し、必ず後悔することになりますから。
――人間関係にシビアですね。
純士 あ、夫婦ゲンカは別ですよ。嫁には口では勝てないし、本当に出て行かれたら俺が困るから、ケンカになったら、こちらから早々に負けてあげることにしています。ちなみに瓜田家ではある時期から、「毎晩一緒に散歩する」ことを習慣化しているんですよ。その結果、気まずい空気のまま散歩に行くのはイヤだから、どんなに口論をしたとしても、夕方ぐらいになるとお互い自然と歩み寄るようになった。
嫁は短気だけどさっぱりした性格なので、甘いものを食べさせたらすぐに機嫌が良くなり、遺恨が翌日まで残らない。とはいえ、翌日にはまた新たな火種が生まれるんですけどね(笑)。いまだに週5ペースで夫婦ゲンカをしていますけど、まぁ、なんやかんやで仲良くやっていますよ。
――それは何よりです。これからも末永くお幸せに!
(取材・文=岡林敬太)
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