『チコちゃんに叱られる!』NHKらしからぬ絵面とブラックユーモア…ヒロミ、因縁アリの花火問題に「なんで俺。背負う?」
#武田真治 #ヒロミ #フワちゃん #チコちゃんに叱られる!
8月7日放送の『チコちゃんに叱られる!』(NHK)のゲストは、ヒロミとフワちゃん。“かつての問題児”と“現代の問題児”が並び立つ絵面は、NHKっぽさがなくて新鮮だ。それにしても、フワちゃんはこのところ毎日どこかの局に出演しているな……。
チコちゃんから「精神年齢は5歳でしょ?」と問われたフワちゃんは「精神年齢は5億6000歳! ヤバい、デーモン閣下みたいなこと言っちゃった」と返答した。しかし、彼女の最終学歴は東洋大学中国哲学文学科である。決して、頭は悪くない。
かつて、ティッシュにマヨネーズを付けて食べていた武田真治
今回の最初のテーマは「なんでティッシュのまとめ売りは5箱なの?」。番組スタッフはこの質問に答えてもらうため、わざわざ武田真治の元へ向かった。なぜ、ティッシュで武田真治なのか? 実は武田、お金のない下積み時代にティッシュにマヨネーズを付けて食べていたらしいのだ。ヤギじゃないんだから……。
結果、スタジオにいる3人の回答者と武田は正解ならず。チコちゃんが発表した答えは「女性が持てる限界だから」だった。
ヒロミ 「限界って、もうちょっと持てるんじゃないの?」
武田 「5個しか持てない? もっとイケるでしょう」
事実、番組の女性スタッフはティッシュ5箱を軽々と持っている。一体、何が限界なのか? どうやら「女性が持てる限界が5個」とは、今ではなくて昔の話らしい。
そもそも、ティッシュはアメリカで開発された物で、日本では東京オリンピック開催年の1964(昭和39)年に発売がスタートしている。しかし発売当初、ティッシュという言葉は日本人に馴染みがなく、使い方もよくわからなかったため、あまり売れなかった。加えて、日本にはティッシュと同じ役割を果たす物がすでにあった。和紙を加工したちり紙だ。鼻をかんだり、お尻をきれいにしたり、今のティッシュやトイレットペーパーと同じ用途で用いられていたのだ。当時のティッシュ1枚あたりの値段は、ちり紙のおよそ2倍(ちり紙が200枚あたり約40~45円で、ティッシュは200枚あたり約80~100円)。しかし、汗の拭き取りやメイク落としなどティッシュの用途を説明したCMが流れ、それを機にティッシュは日本でも浸透! ちり紙よりも肌触りが柔らかく丈夫な“万能紙ハンカチ”として消費者に受け入れられていった。
そして1980年代になるとスーパーマーケットでティッシュペーパーのまとめ売りが始まる。この頃からティッシュの5箱パックは販売されるようになった。でも、どうして5箱なのか? 実は、発売当時のボックスティッシュと現代のボックスティッシュでは高さが全然違う。今のボックスティッシュは高さ62mmで、昔のボックスティッシュは83mmである。5箱重ねると、その差は10cm以上! 昔のボックスティッシュの高さだと、当時の女性の平均身長(155 cm)では持って5箱が限界だった。6箱になると、地面にこすりかねない。高さ的に女性が持てる限界だったのだ。
当時の時代背景などについても知れる、良問題だったと思う。今度は、インスタントラーメンがまとめて5袋入りになっている理由も教えてほしい。
日テレより先にDAOKO×米津玄師の映画主題歌を流すNHK
2問目の回答者を指名するべく、チコちゃんはスタジオにいる3人にこんな呼びかけをした。
チコ 「この中で一番、花火が似合うステキな大人ってだーれ?」
岡村 「怒られちゃうかもわからないですけど……ヒロミさん、花火行きますか?」
ヒロミ 「なんで俺、花火なの。背負う?」
ヒロミはかつて、バラエティ番組『1or8』(フジテレビ系)で、背中に背負った大量のロケット花火に点火して宇宙に旅立つ企画にチャレンジし、大火傷を負ったことがある。彼に花火の問題を振るのは、かなりのブラックユーモアだ。
そんなヒロミに出題されたのは「花火が打ち上がる時、なんでヒュ~って音が鳴るの?」という疑問だった。そして、この問題になんとヒロミは正解している。やはり、花火といえばヒロミだ。答えは「ちゃんと花火を見てもらうため」であった。あの「ヒュ~」という音は、花火を見てもらうためにわざと出している音なのだ。そして、音が鳴る花火には笛が付いているそうだ。
諸説あるが、日本で最初に花火を見たのは徳川家康と言われている。江戸時代に書かれた書物『駿府政事録』(すんぷせいじろく)によると、1613年に中国の花火師が家康の元を訪れ、花火を披露したという記録もある。ただ、この頃の花火に笛は付いていなかった。当時の花火は打ち上げ式ではなく、手持ちのような花火だったため、音を鳴らす必要がなかったのだ。“ヒュ~”という音が付いたのは花火大会が始まって以降の話で、花火大会が始まったのは徳川8代将軍・吉宗の時代だ。この頃、疫病が流行して多くの死者が出た。そして、1733年に死者の供養と疫病を追い払うため、隅田川で開催の「水神祭」(隅田川花火大会のルーツ!)で花火が打ち上げられた。花火大会には屋台があり、みんな夢中で並ぶ。人もごった返している。そんな中、“ヒュ~”という音がなく花火が打ち上がったと想像してみてほしい。花火は開いてから少し遅れて音がする。いきなり“ドン!”と音が鳴ったのを聴いて、そこから振り返ってももう遅いのだ。せっかくの綺麗な花火を見逃してしまう。職人たちは、ちゃんと花火を見てもらうため「今からこっちで花火が上がりますよ」という、いわば“フリ”として“ヒュ~”と音を付けたのだ。
続いて、”かぎや~!”の掛け声でおなじみ、1659年創業の宗家花火鍵屋の15代目・天野安喜子さんが登場。笛の説明をしてくれた。実は、花火に仕込まれている笛は口で吹いても音が鳴らない。そして、実は笛そのものも花火だそうだ。笛花火の筒の中には、燃焼したときに気体を発生させる火薬が詰まっている。火薬が燃えて筒の中に大量の気体が充満すると、勢いよく気体が外に飛び出す。すると、“ヒュ~”という音が発生するのだ。
実は、笛が鳴る花火は全体の2~3割とのこと。なぜ、笛が鳴る花火と鳴らない花火があるのか? 答えは単純で、笛が鳴る花火のほうがダイナミックなつくりになっているから。笛が鳴る花火は、その日のメインだったり、クライマックスだったり、職人たちが特に注目して欲しいここぞのときのアイテムなのだ。ちなみに、花火が打ち上がって“ヒュ~”と鳴った後に“バン!”と花火が開くまで、少しだけ間がある。この間も、花火職人のこだわりだ。間を作る意図は、いわば焦らしである。
「ジェットコースターってカタカタカタと上がってすぐに落ちるわけじゃなくて、上がった後に少し平坦な道がありますよね? あのドキドキ感と同じです。花火のあの間は『これからどんな花火が見られるのか?』と、観客に期待を持たせる私たちの演出なんです」(天野さん)
花火に、フリと焦らしがあるとは思わなかった。花火もお笑いも、間が大事ということ。観客を喜ばせるための、職人さんのなんとも粋な計らいである。花火職人のこだわりって、凄いんだな……。
残念ながら、今年は新型コロナウイルスの影響で、花火大会も中止や延期が多数だ。そこで、番組は絢爛豪華な花火の映像を紹介した。長岡まつり大花火大会(新潟)、隅田川花火大会(東京)、諏訪湖祭湖上花火大会(長野)、江戸川区花火大会(東京)……。美しい映像のバックで流れるBGMは、DAOKO×米津玄師による楽曲「打上花火」だった。ちなみに同日夜、日本テレビの金曜ロードSHOWで同曲を主題歌にした映画『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』が地上波初放送されていた。日テレより先にこの曲を流してみせる、NHKの勇気が凄い。
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