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日刊サイゾー トップ > インタビュー  > 蝶野正洋が教えるwithコロナ時代の防災

【“防災のカリスマ”蝶野正洋・短期集中講座第1回】withコロナ時代の防災新常識! 消防も警察も…もう国は守ってくれない!? 自分で自分の命を守る「自助」を鍛えろ!

【防災のカリスマ蝶野正洋・短期集中講座第1回】withコロナ時代の防災新常識! 消防も警察も…もう国は守ってくれない!? 自分で自分の命を守る「自助」を鍛えろ!の画像1
蝶野正洋さん(撮影:二瓶彩)

 プロレス界を代表する悪役(ヒール)として活躍し、現在はアパレルブランド「ARISTRIST(アリストトリスト)」を経営しながら、年末にはテレビで熱きビンタを放つなど活躍中の“黒のカリスマ”蝶野正洋さん。近年は、防災や救命における“防災のカリスマ”としても、全国各地でバリバリ活動を行っている。

「災害大国」と呼ばれる日本。今年も、九州を中心に甚大な被害をもたらした豪雨をはじめさまざまな被害が報告されているが、さらに新型コロナウイルスの影響によって、消防や防災、避難などの“常識”も大きな変化を余儀なくされているのだ。

 そこで今回、日刊サイゾーが蝶野さんを特別講師としてお招きし、防災への意識改革のための短期集中特別講座を開講!「withコロナ」時代の防災・救命について、語り尽くしてもらった。

蝶野正洋(ちょうの・まさひろ)

【防災のカリスマ蝶野正洋・短期集中講座第1回】withコロナ時代の防災新常識! 消防も警察も…もう国は守ってくれない!? 自分で自分の命を守る「自助」を鍛えろ!の画像21984年、新日本プロレスでデビュー以来、G1クライマックス、IWGPヘビー級王座、NWA世界ヘビー級王座をはじめ数々のタイトルを獲得。 2010年2月に新日本プロレスを離れてフリーとなったが、いまなお絶対的な存在感を放ち、黒のカリスマとして、プロレス界に君臨し続けている。現在はリング以外にも活動の幅を広げ、日本テレビ系『ガキの使い大晦日スペシャル』 のレギュラーを始めとするTVやイベント、講演に出演するなど多方面で活躍。 近年は、「AED救急救命」ならびに「地域防災」の啓発活動に力を入れており、2014年7月には(一社)ニューワールドアワーズスポーツ救命協会を設立。(公財)日本消防協会の「消防応援団」、(公財)日本AED財団の「AED大使」などを務める。YouTube:【蝶野チャンネル】CHONO Network/ARISTRIST・蝶野正洋公式Twitter:@managem87085834

第1回「もう、国は守ってくれない」

 

【防災のカリスマ蝶野正洋・短期集中講座第1回】withコロナ時代の防災新常識! 消防も警察も…もう国は守ってくれない!? 自分で自分の命を守る「自助」を鍛えろ!の画像3

ーーさっそくですが、蝶野さんといえば“黒のカリスマ”というイメージが強いのに、防災・救命の啓発に力を入れられるようになったのはなぜですか?

蝶野正洋(以下、蝶野):俺が最初に東京消防庁の救急救命講習を受けたのが2010年、ちょうど新日本プロレスを退団してすぐなんだよ。その前年に、プロレスリング・ノアの社長でエースだった三沢光晴さんがリングの事故で亡くなったこともあって、プロレス界全体で救急救命の知識が必要だという流れがあったんだ。俺も、退団後も何かできることはないかと思っていたときに講習に参加して、ちょうど広報の方から「蝶野さん、手伝ってくれませんか」と声をかけてもらって。詳しく話を聞いてみると、「救急救命や防災について広めたいけど、なかなか市民のみなさんに伝わらない」ということだったから、「それなら俺は、啓発という部分でお手伝いができます」ということで、防災や救命についての啓発運動をするようになったんだ。

ーー14年には、蝶野さんが代表理事となって一般社団法人「ニューワールドアワーズスポーツ救命協会(NWH)」も立ち上げていますよね。

蝶野:こういう活動は、基本的には無償のボランティアなんだよ。でも、全国の自治体を回ってイベントをやるにも、移動や宿泊に経費がかかる。それに協力や協賛してくれる企業も出てきてね。だったら、受け皿となる財団法人を作ったほうが透明性もあるということで、NWHを立ち上げた。いまはここを母体に活動を広げていて、最近ではYouTubeの「蝶野チャンネル」の中に、防災・救命の啓発をメインにしたチャンネルも作って動画を配信してるよ。

ーー防災の啓発活動が、蝶野さんのライフワークになっているわけですね。水害、台風、地震と災害大国の日本ですが、さらに今年は新型コロナウイルスの感染拡大もあって、さらに厳しい状況に置かれたのでは?

蝶野:新型コロナウイルスという敵は、正体がわからない。だから人々も混乱する。これと同じことが防災の現場でも起こっていて、どこがどう対応していいかわからなくなってると思うんだよ。
 そもそも「防災」というのは、各省庁にそれぞれのセクションがある。文部科学省だったら教育現場やスポーツの現場での防災を取りまとめる部署があるし、国土交通省なら道路や建物についての防災の基準がある。だから、どうしてもタテ割りになってしまうんだ。
 でも、東日本大震災の被災地でもそうだったけど、現場ではとにかく迅速に動かないといけないから、消防も警察も自衛隊も、上の命令を待ってなんかいられないし、それぞれが現場でどんどん判断していかなきゃならない。コロナではそれが長期化しているから、より混乱が大きくなってるんだ。この状況はなかなか変わらないね。だから、行政を頼りにしすぎてもダメ。国も、いざとなったら助けられないからね。

ーーそうなんですか! 高い税金を払ってるんだから、最後は国が守ってくれるものと思ってました。

蝶野:もちろん、消防でも自衛隊でも、現場の人間は全力で守ってくれるよ。ただ、その体制が万全かといえば、残念ながらそうじゃない。というのも、その地域に住んでる人口比に対して、各自治体の消防も警察の数もぜんぜん足りてないんだよ。特に都市部とか観光地は人の流動性が高いから、いざという時に対応できない。例えば、軽井沢には年間何十万人も訪れてるけど、実際に住んでいるのは2万人ほど。別荘地で、週末やバカンスをゆっくり過ごすなんて人も多いけど、こういう人たちの住民票は別の場所にあるから、数に入ってないというカラクリだね。でも、消防署や病院なんかは住民票の人口比に合わせて配置しているから、足らないわけ。こんな所が全国的にたくさんある。これはつまり、広域で被害が起こった時には、地域防災ではもうカバーしきれません、ということなんだよ。コロナでは、もう国が補償しきないから休業要請を出せないという話もあるけど、それと同じことかもな。

ーーだから、何か起こるとすぐキャパオーバーになってしまう、ということですね。

蝶野:ただ、国もない袖は振れない。コロナでも、症状が出ても病院や保健所に受け入れてもらえないということがあるみたいだけど、それは患者や検査したい人に対して、保健所の人員が少なかったりと、十分な体制を整えられていないということでもある。
 だから本当は、いざという時にパニックにならないように、もっと行政が正直に情報を出して、みんなに説明していかなきゃならないんだよね。何の説明もなく、ただ『3密を避けてください』て言われたって、そんなのこっちからすれば肝試しだよ。
 
ーー行政が頼れないとなれば、私たちはどうやって自分の身を守っていけばいいんでしょうか(涙)?

蝶野:防災には、「公助」「共助」「自助」という段階的な考え方がある。

ーー「公助」「共助」、そして「自助」……3密ならぬ、3つの“助”?

蝶野:そう。「公助」は、政府や自治体による活動。「共助」は、消防や警察、それにボランティアや地元の消防団も含めた市民同士で助け合うということ。そして「自助」は、自分の身を自分で守るということ。東日本大震災では、広域で被害があった時は「公助」にも限界があることがわかって、さらに「共助」も頼れないとなれば、俺たちがそれぞれ「自助」を強くして備えるしかないんだよ。

ーーどうやって備えればいいんですか? 詳しく教えてください!

■講座第2回に続く!

(取材・文=出洲待央)

最終更新:2020/08/14 12:00
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