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千鳥・ノブの顔がやけにハマる、テレビの新しい角度と記憶の邂逅

千鳥・ノブの顔がやけにハマる、テレビの新しい角度と記憶の邂逅の画像1
『クイズ!THE違和感』(TBSテレビ系)公式ツイッターより

 テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(8月2~8日)に見たテレビの気になる発言をピックアップします。

南海キャンディーズ・山里「この番組一生できるんじゃないか」

 緊急事態宣言が発令されていた4月や5月ごろ、テレビのアーカイブ性がしばしば話題になっていた。テレビ局には過去に放送された多くの映像が眠っており、それがテレビの強みである、コロナ禍で番組収録が難しいのなら過去の名作ドラマや懐かしのバラエティ番組などを再放送すればよいのではないか、という話だ。実際、ドラマの再放送は多かったし、バラエティでもいくつかの試みが見られた。

 面白いなと思う。少し前まで、テレビは時間とともに流れて消え去っていくものと語られていたはずだ。その蓄積の無さが、本や新聞など活字メディアに対してテレビが劣る点とも言われていた。録画機器が普及しても、動画配信サービスが広がりを見せても、違法アップロードされた番組がネット上に転がるようになっても、その論調はあまり変わらなかったと思う。なのに、ここにきてテレビのアーカイブ性が称揚されている。

 それはテレビ以上の速度で情報が流れ去っていくネット(特にSNS)の登場によるテレビの相対的な位置の変化、メディアの移り変わりを象徴しているのかもしれないし、テレビの魅力が新たな角度から楽しまれ始めていることを意味するのかもしれない。テレビ好きとしては特に後者を推したいわけだけれど。

 ということで、アーカイブを利用した面白いバラエティ番組を紹介したい。まずは『山里亮太のまさかのバーサーカー』(朝日放送)。南海キャンディーズ・山里が司会を務める関西のローカル番組だ(TVerでも見逃し配信をしている)。

 ただ、同番組はもともと過去の映像を活用する番組ではなかった。本来は、文化人(辛坊治郎とか登坂淳一とか)が普段やらない過酷ロケに挑戦するさまをVTRで放送。その途中で出題されるクイズに、スタジオのくっきー!(野性爆弾)や西田幸治(笑い飯)ら芸人が大喜利的に回答する番組だった。いわばクイズ番組の皮を被った大喜利番組である。

 しかし、コロナ禍に伴いロケは中止。VTRは新たに撮影されたものではなく、過去に朝日放送の番組で使われたものになった。これまで『相席食堂』や『今ちゃんの「実は…」』などバラエティ番組の映像が使われてきたけれど、2日の放送で使用されたのは、毎週土曜の朝に放送されている旅行情報番組『朝だ!生です旅サラダ』で、勝俣州和が北海道を訪れたVTRである。

 クイズはVTR中に突然出題される。勝俣が飲食店に入り豚丼が出てくると、「豚丼を目にした勝俣。見た目をなんと表現した?」というお題が出る。それに対し、笑い飯・西田が「(肉の色が)うわぁ、藤岡弘、さんが着る革ジャンの色だぁ!」と回答する(実際の勝俣のコメントは「豚のお花みたいでしょ」)。ピンク色のノンアルコールカクテルを勝俣が飲んでいる映像が「この後どんな感想を言った?」とお題になると、やはり西田が「ローターの煮汁だな」である(実際の勝俣のコメントは「うわぁ! おいしい」)。

 多くの人がもっとも笑いを必要としていないだろう土曜の朝に放送されている旅行情報番組を、大喜利の猛者たちが笑いで読み替えていく。出会わなかったはずの豚丼と藤岡弘、の革ジャンが出会う。『旅サラダ』のアーカイブの中の勝俣のロケテクニックと、記憶のアーカイブの中の藤岡弘、の真っ直ぐな瞳が出会う。その一瞬の不一致の一致、不調和の調和、要はバカバカしさに笑ってしまう。

 番組が過去の映像からの出題に切り替わり始めた6月はじめ、司会の山里はこんなことを言っていた。

「このシステムが成立するとですね、ABCにあるロケ(のVTR)が無限にお題になるということで、この番組一生できるんじゃないか」

 朝日放送に眠るアーカイブを大喜利のお題にしていく『まさかのバーサーカー』。すでにロケは再開され、番組では新たに撮影されたVTRでの放送が少しずつ始まっているけれど、忘れたころにまたこのシステムで見てみたい。たとえば今度は『旅サラダ』のラッシャー板前のロケとかどうだろう。『新婚さんいらっしゃい!』はちょっと難しいかもしれない。一番見たいのは『上沼恵美子のおしゃべりクッキング』だけれど、それは突然番組が終わりを迎えてしまうかもしれない。我慢する。

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