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日本も人ごとじゃない? 中国で大学生の就職率が急激悪化! 大卒者28万人、院卒者7万人が出前配達人に

日本も人ごとじゃない? コロナ禍の中国で大学生の就職率が急激悪化! 大卒者28万人、院卒者7万人が出前配達人にの画像1
Getty Imagesより

 中国の国家統計局が7月16日に発表したところによると、中国の20歳から24歳の「大専」以上の学歴を持つ人の今年6月の失業率は19.3%で、昨年同期に比べて3.9ポイント増加し、過去最悪の数字になったという。

「大専」というのは「大学専科」の略で、高中(=高級中学。日本でいうところの高校)を卒業した後に入る高等職業学校(高職)と4年制大学に設置されている専科(高専)のことを指す。これらの大専の就学期間は、一般的には3年間である。ちなみに、日本でいう4年制大学のことは「大学本科」という。

 つまり、大専や大学を卒業して間もない若い人の失業率が、過去最悪になっているというわけである。

 今年6月に卒業した大学(大専含む)卒業生の数は874万人で、その数も増加幅も過去最大だった。しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響などにより、今年の就職状況は例年ほどではない。特に大学卒業生に対する企業の新卒需要は明らかに下降しているという。

 新卒者の就職を促進するため、各地方政府はさまざまな方策を取っている。特に例年と異なるのが、多くの市が大学新卒者に対して「先落戸、後就業」の政策を行っていること。「先落戸後就業」とは、就職先が見つかる前にその市に戸籍を移し、それから就職することである。

 中国事情に詳しいフリーライターの吉井透氏は、中国の戸籍事情についてこう説明する。

「中国は日本と異なり、戸籍を別の市に移すことは容易ではありませんでした。しかし最近では制限が緩和されてきており、以前に比べて容易になってきている。各地方政府も、高学歴の人材を呼び込むために、積極的に他の市からの戸籍移動を受け入れるようになっています。しかし、たとえ大きな都市の戸籍を取得できても、そういった高学歴の人材が求めるような就職先は、今年は例年に比べてかなり数が落ち込んでいるようです」

 そのため、新卒者の中には宅配便の配達や飲食店の外売(出前配達)といった、学歴を問わない職業に就く者も多く出てきているという。ある資料によると、700万人に及ぶ外売業に従事する人たちのうち、28万人が大学卒で、7万人が修士号取得者であるという。

 一方、中国メディアが暴露したのは大学のズルイ手口。卒業生を送り出す大学側は、この就職難の中、自校の就職率を高くでっち上げるために、インターンや実習などで学生を企業に送り出した数も就職率の中に含めてカサ増しするところも多いという。

 中には、企業と就職協議書を結んだ学生にだけ卒業証書を出すという、とんでもない大学もあるとか。つまり、就職できなかったものは卒業もしていないことになり、卒業生の分母が減り、就職率は自動的にアップするというわけだ。そのため、就職先が見つからなかった学生たちは、卒業証書を得るため、ネットなどでニセの就職証明書を購入せざるを得ないという。

 せっかく大学を卒業したのに、希望する職業に就くことができないどころか、就職先さえ見つからない中国の新卒者たち。彼らの怒りはどこに向かうのだろうか。

佐久間賢三(ライター)

前職の関係で10年近く中国で生活し、その後フリーライターに。得意分野は中国のおバカネタ、エロネタ。

さくまけんぞう

最終更新:2020/08/11 09:00
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