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NHK大河ドラマ『麒麟がくる』放送再開を待つ間に!

鎧兜100万、馬15万、出陣費用は総額500万!? 大河ドラマ“合戦シーン”で見る戦国時代の金勘定

大河ドラマ『麒麟がくる』(NHK)の放送が、新型コロナウイルスの影響で中断を余儀なくされている。放送再開が待ち遠しいが、この空白の時期を使って主人公「明智光秀」についてより理解を深めてみるというのはいかがだろうか? 今回は、歴史エッセイストの堀江宏樹氏が大河ドラマでも描かれる「合戦」の金勘定について解説する──。前回はコチラ

鎧兜100万、馬15万、出陣費用は総額500万!? 大河ドラマ合戦シーンで見る戦国時代の金勘定の画像1
関ヶ原の戦いをたった1分で描いた“超高速関ヶ原”も話題だった『真田丸』(ポニーキャニオン公式サイトより)

 ここ何年か前までは、控えめな印象の強い「NHK大河ドラマ」での合戦シーン。『葵 徳川三代』(2000)を境に、縮小傾向とさえいわれています。『真田丸』(2016)ではついにナレーションだけで合戦を語って終了……という例さえ生まれていますしね。

 昭和の大河ドラマにあったような、大量のエキストラを使用した、CGでは絶対に出すことのできない「熱量」の感じられる合戦の映像は、もはや望むべくもないのかもしれませんが、それなりに迫力ある映像が、再び見られるようになってきた感もあります。

 本年度の大河『麒麟がくる』の明智光秀も、すでに何回か大規模な合戦に出陣していますね。そして、なかなかハードな経験をしています。

「天下布武」を掲げ、戦のない世を作ろうとしている(と明智には思えた)織田信長に仕えるのは、『麒麟~』の心優しい明智ならごく自然な発想だと思います。

 しかし、史実の明智光秀ではどうでしょうか?

 仲間には優しいが、金にはシビアなのが史実の明智です。正直なところ、戦に出陣すれば稼げましたから。戦国時代の戦はハイリスク・ハイリターン型の投資行為でもあったのです……。

 戦争に行く者には”トップ”から給付金が出るなどと考えてはいけません。命を担保に稼げる場を作るまでが”トップ”の役目で、それに参加するかどうかは各人の勝手なのでした。そう、武士の本業とも思える戦への出陣には、大河の合戦シーン撮影と同じか、それ以上になかなかの大金がかかるわけです。

 大河ドラマでの明智のように馬に乗って戦えるのは、いわば上級武士の証です(前回のコラムも参照)。そして上級武士は、自分で雇った複数の使用人と共に出陣するのがデフォルトです。

 騎馬の上級武士たちの出征費用ですが、現代の貨幣価値でいえば、最低で数百万円、下手すれば500万円以上はかかったと考えられます。当然ですが、武士1人につき、です。上級武士の出陣時にまず問題となるのは、自分の身分にふさわしい鎧兜(よろいかぶと)を準備できるかということです。

 先祖代々の鎧兜を使えればよいのですが、兄弟が多いとか、貧乏ゆえに売り飛ばしてしまっているといった事情を抱えている場合もありました。戦国当時の鎧兜……つまり当時の言葉で「具足」を標準的な装備で新調すれば、現代の貨幣価値では100万円以上かかります。職人に頼んですべて作らせますから、オートクチュールのようなものです。

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