「Go To」ゴリ押しで国民不在の安倍政権は、アベノマスク800万枚が命取りになる!
#週刊誌 #元木昌彦 #週刊誌スクープ大賞
お次はサンデー毎日から。
今やジャーナリズムの旗手となった感のある東京新聞の望月衣塑子記者だ。彼女の功績は、閉ざされた記者会見、菅官房長官の横暴、他の新聞記者たちの権力迎合と癒着構造を暴いたことだろうが、こんなことは大昔から指摘されてきたことである。
彼女にもいったが、彼女の記者としては当たり前の行動が持て囃されるほうがおかしいのだ。
だが今回のインタビューは歯切れがよくて感心した。
再び8000万枚の寸足らずのアベノマスクを配ろうとしているという。これはバカを通り越して、異常なというべきであろう。
もはや安倍首相は、どこかに精神的なものを抱え込んでいるのではないか。会見も開かず、官邸&自宅に閉じこもったままである。早くギブアップをして、楽になられたらいかがか。
断末魔の安倍政権を望月もこう批判する。
「検察官定年延長人事を無理やり通そうとしたあたりから潮目が変わった。コロナ対応の不手際も目立つ。PCR検査の目詰まり、10万円給付金騒動、アベノマスクの不評、Go To キャンペーンも迷走中だ」
「側近だけで決める安倍官邸の構造的な欠陥の表れだ。耳の痛い助言をする人が遠ざけられ、茶坊主ばかり集め、政策の多様性、柔軟性を欠いている。省庁が議論を積み上げるボトムアップ型の政策遂行になっていない。
危機管理に強い、というメッキがはがれ、地金まで腐食が進んでいる」
「国会閉会翌日(6月18日)以降、記者会見は1回も開かれていない。7月22日のぶら下がりでも『西村大臣、菅官房長官に説明させる』と逃げた。閉会中の国会審査にも顔を出さない。まっとうな発信がない。かといって最前線の医療現場や保健所を視察してメッセージを出したり、社会的弱者の生の声に耳を傾けるわけでもない。ボンボン首相の限界と感じざるを得ない」
安倍首相を見ていて、出るのはため息ばかりである。
朝日新聞(7月28日付)の(コラムニストの眼)で、ミッシェル・ゴールドバーグが「コロナ禍、米国の屈辱 トランプ氏に奪われる日常」を書いている。
以下の部分を、トランプを安倍に入れ替えて読んでも通じるというのは、同じ穴の狢だからだろう。
「新型コロナ以前から、孤独という病が米国で蔓延(まんえん)していると研究者たちは指摘していた。3月に医学誌『JAMA精神医学』に載った記事は、年間16万2千人の死が社会的孤立の影響によるものだとした。いま人々は、最も厳しい条件下でしか人と会ってはならないと求められる。人生の楽しみのほとんどが、数日でも数週間でもなく、何カ月も何年にもわたって失われるのだ。
『私たちはよろめきながら抜け出すだろう。素早く立ち直ることはない』。ゴスティン氏はコロナ禍について語る。さらに『すべてのトラウマから抜け出すには、数年はかかるだろう』と付け加えた。
だが、なぜか大統領の辞任を求める声は聞こえてこない。人々は無力感にさいなまれているようだ。地方では民主的に説明責任を果たそうとする姿勢が残っているので、デモ参加者たちの要求は、特に民主党の州知事や市長には届く。
だが国からは、そうした対応の素早さは消えた。誰も、大統領が任務を果たすことや、果たさない場合は説明を問われることに期待している人はいない。こうしたことから、新型コロナウイルスの出現前から、この国は壊れていたと人々は悟るのだ。
この苦難、あなたの苦しみは避けられないものではなかった。コロナウイルスは自然災害だ。共和党の、死を崇拝するようなトランプ氏への忠誠は、完全に人災だ」
この国のコロナ禍も、安倍と周辺の者たちによる人災だと思う。
さて、今週の第1位は、やはり文春のこの調査報道。新聞記者たちは、これを読んで悔しくないのだろうか。
7月22日から、史上まれに見るお粗末な景気浮揚策「Go To」トラベルキャンペーンが始まった。
これはこう読む。「強盗」トラブルキャンペーン。こういうものは、新型コロナウイルス感染が落ち着いてからやるべきものである。
さらに、世界中で笑いものになったアベノマスクを、またまた性懲りもなく8000万枚も配るというのである。
今のマスクの値段は一枚10円程度だという。私も10枚は持っている。
国民のほとんどが要らない、送って来たら捨てるといっているのに、われわれの血税を使って無駄の上に無駄を重ねるのは、嫌がらせか。
あんな不細工なマスクをしているのは、日本中であんた一人しかいないかもしれない。
バカなことはやめて、GoTo何とかも即刻やめて、辞任しなさい。気力も体力もない人間に、この難局を乗り切れるわけはないからだ。
皮肉なことに、GoToキャンペーンが始まった日に、「都内での感染者数は累計で1万人を超え、月別では7月の感染者数が、最多だった4月の3748人を超えた」(朝日新聞DIGITAL7月22日 11時21分)、記念すべき日になってしまった。
国民の大多数が、なぜこんな性急にやるのかと首を傾げているが、文春によれば、これをゴリ押ししたのは、安倍首相と官邸の忖度補佐官&官僚だけではなく、菅官房長官と二階幹事長だというのである。
菅が、土壇場で東京を外したのは、菅の小池憎し、小池潰しだそうだ。小池が「二十三区の感染対策は政府がやるべきだ」といい、「Go To」についても「冷房と暖房を同時にかけるようなもの」と皮肉っていたため、官邸内では東京、神奈川、千葉、埼玉を除外する案が有力だったが、菅が強硬に東京だけ除外を主張したそうである。
文春によれば、神奈川の黒岩知事、千葉県の森田知事は菅のポチだから、彼らが「外さないでくれ」と頼んで、セーフになったそうだ。
菅と小池の「遺恨試合」のために、右往左往されられる都民や、旅行業者はたまったものではない。
さらに、これに絡んで奔走したのが二階幹事長だそうだ。二階は観光族議員の親玉であり、全国に5500社の旅行業者を傘下に収める「全国旅行業協会(ANTA)」の会長だ。
最初、この「Go To」事業を受託する予定だったのが悪名高い電通だったが、批判が高まり、「ツーリズム産業協同提案体」なるところが受けた。
ここは先のANTAはもちろんのこと、日本旅行業協会、日本観光振興協会と、JTBなどの大手旅行会社から構成されているから、その上には二階がいるということになる。
自民党内の観光族議員の集まっているのが「観光立国調査会」というところで、二階派が要職を占めている。
文春が凡百の新聞紙(ガミ)と違うのは、調査会の役職者37名の政治資金収支報告書を精査して、「共同提案体」全14団体、およびその加盟業者からの献金額を調べたことである。
このぐらいのことは、手間暇かければ新聞でもテレビでもできるのだが、今の大メディアはそんなことさえ思いつかないのであろう。
すると、11年分から18年分の間で、該当する団体や業界からの献金は約4200万円にも上ったという。当然ながら二階への献金が突出して多い。ANTAは収支報告書に名前は出ていないが、二階派のパーティー券を小口に分けて購入しているからだそうだ。
もちろん、これ以外にも、「袖の下」というのがたっぷりと二階や、その手下たちに配られていることは想像に難くない。
かくして、国民不在のばら撒きキャンペーンが堂々開催となったのである。もちろん、安倍首相も了解済みであろう。彼の頭の中には、見せかけだけでも景気がよくなってくれれば、今秋、解散・総選挙を打とうと心に決めているからである。
だが、アベノマスク8000万枚が命取りになる。それほど国民はバカじゃない。私はそう思いたいのだが。(文中敬称略)
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