ローソンのからあげ、肉が“フェイクミート”に!コンビニ各社から大豆ミート商品が発売ラッシュ

　1年間に5000品超の新商品が並んでいる日本のコンビニエンスストア。本コラムでは、流通アナリスト・渡辺広明氏と主夫リーマン・テキパキオ氏が火曜朝に発売されるコンビニ新商品を独断と偏見でチェックし、そのポテンシャルを予測する。

テキパキオ（以下パキオ）：今週は大豆ミートを使った新商品がどどっと登場しました。

渡辺広明（以下渡辺）：僕はビーガンじゃないからあまりピンとこないけど、大豆ミートが世界的に注目を集めている食材であることに間違いない。米国ではケンタッキーフライドチキン（KFC）がカリフォルニア州の50以上の店舗で、大豆ミートを使った「フライドチキン」を販売するという報道もあったし、波が確実に押し寄せているね。パキオさんは食べたことある？

パキオ：はい、一度だけ。大手町のアイリッシュパブで飲んだときに大豆ミートのフィッシュ・アンド・チップスがあるというので食べました。揚げ物だったせいもあると思いますけど、かなり肉っぽくて驚きましたね。

渡辺：日本のコンビニではセブンが中食総菜として「野菜と大豆ミートのタコスミート」「大豆ミートのボロネーゼペンネ」を出したり、ファミマが3月に都内約2400店舗限定で「ベジバーグ丼」を出したりしていました。

パキオ：はい。そんな中ローソンが、おにぎりやからあげといったコンビニの主力商品にまで一気に大豆ミート関連商品を投入したのは驚きです。まずはカウンターフードの「大豆ミートのから揚げ　４個」（税込み200円）から食べてみましょう。

渡辺：「からあげクン」よりはちょっと小さいサイズだね。でも見た目は完全に唐揚げだし、「からあげどうぞ」って手渡されたら100％鶏肉だと信じ込んでしまいそう。

パキオ：また今週も「からあげクン」と比較するんですか、渡辺さんは「からあげクン」への愛がハンパないですね。でも、食感は確かに肉！　できればもう少し醤油とかしょうがの味付けが濃いめでも良かったけど。鶏モモ肉というより鶏ムネ肉の食感に近くて、ジューシーさに欠ける部分はスパイスで補ってほしかった。

渡辺：次はもち麦入おにぎり「生姜とDAIZU MEATそぼろ」（税込み135円）ですか。話が大豆ミートからそれますけど……最近コンビニおにぎりで感じたことをひとつ指摘いい？

パキオ：何が気になってるんですか？

渡辺：海苔がついていないおにぎりが増えすぎて、食べるときにボロボロとこぼれるのが嫌なんだよ。

パキオ：食べ方の問題じゃないですか？　でも確かに海苔がついていないおにぎりって形が崩れやすいですよね。パリパリ海苔がコンビニおにぎりの代名詞だった時代から、直巻きおにぎりが増え始めて、今は海苔すらついていないものまで並んでいる。で、「生姜とDAIZU MEATそぼろ」おにぎりなんですけど、はっきり言ってそんなにおいしくない。もち麦の食感と大豆ミートのボソボソ食感があっていないんですよ。もしも生姜つかっていなかったら食べられたもんじゃないと思います。

渡辺：厳しいこと言いますね。確かにこれなら「鶏五目」のほうがおいしい気がする。おにぎりよりは「DAIZUMEAT　かつのバーガー」（税込み378円）のほうが組み合わせがうまくいっている気がする。パッケージをよく見ないで買ったら大豆ミートと気づかずにおいしく食べちゃうんじゃないかな？

パキオ：え、専用のロゴマークついているのに気づきません？

渡辺：いや、ついているけどみんなそんな細かいところまでは見ていないもんだよ。見てほしいならもっとわかりやすくしないと。あとは価格がちょっと高いかな。マクドナルドのチーズバーガー（税込み）140円、モスバーガーですら（税抜き）343円ですからね。

パキオ：そうですね。最後にファミマの「大豆のお肉！7種野菜のビビンバ丼」（税込み498円）にいってみましょう。リリースによると、「日本においても植物性食中心のライフスタイルに対して関心を持っている人は約3割存在し、手軽に無理なく植物性食を取ることを意識する人が増えています」と。

渡辺：なるほど、3割が興味を持っていたとして、その中の何パーセントが実際に購入するかが気になるね。一方で濃い味やデカ盛りなんかもあって、コンビニではヘルシーとジャンクの二極化が進んでいると思います。

パキオ：確かに。とはいえ、このビビンバ丼はぜんまい、豆もやし、大根、ニンジンのナムルにほうれん草、きんぴらごぼう、黄ピーマンまで入っていて彩りが鮮やかですね。

渡辺：この豚肉に見えるのが大豆ミートか。食べてみても、やっぱりお肉の味がする。

パキオ：コチュジャンと焼肉のたれみたいな濃い味の組み合わせにしたら大豆ミートかどうかなんて判別できないでしょうね。野菜不足解消にはちょうどいいかもしれません。ただ主夫目線では野菜ジュースのほうが安いよねと思ってしまいます。

【今日のまとめ】

・遂にコンビニ大手３社が大豆ミートを使った商品を投入
・食感だけではわからないレベルに大豆ミートは肉だった
・ヘルシーとジャンクの二極化が進むコンビニ

渡辺広明（流通ジャーナリスト）, テキパキオ（ライター）

浜松市出身。2児の父。マーケティングアナリスト、日本唯一の流通アナリスト、コンビニ評論家、流通ジャーナリスト、約730品の商品開発に携わるマーケター、元コンビニバイヤー、元コンビニ店長、現コンビニアルバイター、「浜松市やらまいか大使」（観光大使）など、さまざまな顔を持つ。フジテレビ『Live Newsα』レギュラーコメンテーター『ホンマでっか⁉TV』レギュラー評論家として活躍する他、スポーツ紙「東京スポーツ」に連載を持ち、ニュース・ワイドショー・新聞・週刊誌・ラジオなどのコメント・講演会・アドバイザリー・顧問業などでも幅広く活動中。趣味は「ドラゴンズ熱烈応援」「時折フルマラソン」「発展途上国の教育支援（ガーナ・ラオス）」。著書に『コンビニが日本から消えたなら』（KKベストセラーズ）

わたなべひろあき

渡辺広明（流通ジャーナリスト）, テキパキオ（ライター）

都内に住む30代サラリーマン。小学生のとき、母親の手伝いで料理に目覚め、兄の夜食を作るようになる。大学時代にはカジュアルイタリアンの厨房でアルバイト。就職後は自炊することがなかったが、３年前にアーティストとして働く妻と結婚して家事全般を担当。猛スピードで掃除洗濯をこなす様子から妻に「テキパキオ」と名付けられる。PB食品の食べ比べがスーパーの売り場徘徊が趣味。蛇口とシンクを磨くのが好きで、行きつけの飲み屋の閉店作業に加わりがち。

Twitter:@@tekipakio

てきぱきお