『チコちゃんに叱られる!』かの名ゼリフ「汚物は消毒だ~!!」より「滅菌だ~!!」の方が非道である学術的理由
#チコちゃんに叱られる!
7月3日放送『チコちゃんに叱られる!』(NHK)のゲストは、6回目のゲスト出演となるかたせ梨乃と、2回目の登場の野々村真。野々村は、初出演の2019年3月1日放送回で見事にチコった(正解した)のだが、チコちゃんいわく「当てちゃったから1年呼ばれなかったって説もあります」とのことだ。
この日、取り上げられたのは以下の3つのテーマだった。
・なんで赤ちゃんの瞳はキラキラしているの?
・なんで日本中の池や湖にスワンボートがあるの?
・殺菌・滅菌・除菌・抗菌ってなにが違うの?
“キラキラした瞳”の表現を発明した少女漫画家は、実は男性だった
最初の問題は「なんで赤ちゃんの瞳はキラキラしているの?」という疑問。回答者に指名されたかたせは「赤ちゃんの目には水分が多くて潤っている」と答えたが、これは不正解だった。そのタイミングで「赤ちゃんはよく泣きますよね」とフォローに入ったのは野々村である。
野々村 「僕もよく泣くんですよ」
チコちゃん 「だってあなた、いいとも青年隊のときも本番前に喧嘩して泣きながら本番迎えたんでしょ?」
野々村 「なんで、そんなことまで詳しいの(笑)!?」
チコちゃんが発表した答えは、「涙が油っぽく粘りけがあるから」だった。キラキラしている瞳の正体は涙で、人間の目は常に涙に覆われているそうだ。涙はまぶたの奥にある涙腺で作られ、絶えず目の表面を通り鼻に向かって流れている。目の表面に広がった涙に光が当たることで黒目が輝き、キラキラした瞳になるのだ。でも、大人の瞳だって涙で覆われているはず。なのに、なぜ赤ちゃんの瞳ばかりキラキラして見えるのか?
実は、涙は外側から油でできた「油層」と主に水分でできた「液層」の2層構造になっている。そのうち、油層は涙が空気に触れて蒸発するのを防ぐ働きをする。赤ちゃんの涙はもともと大人より油層部分が厚く、こってりしているため、水分が蒸発しにくく潤った状態を保っていられるのだ。
さらに赤ちゃんの涙は、液層にある粘り気の多いネバネバ物質の「ムチン」が大人よりも多く含まれている。ムチンは納豆やオクラなどにも含まれる糖とタンパク質が集まった物質である。赤ちゃんの涙には多くのムチンが含まれており、その粘り気で涙がサラサラ流れ落ちるのを防ぎ、より潤いが長続きする働きをしているということ。つまり、赤ちゃんの涙は油っぽくて粘り気があるから目の表面が乾きにくく、常にキラキラした潤った状態を保てているのだ……ということは、ドライアイ用の目薬って油分が多いのだろうか? あと、いつも目がキラキラしているのん(能年玲奈)の涙も、ネバネバして油っぽいのかしら。
それにしても、なぜ赤ちゃんはそうまでして瞳を潤わせる必要があるのだろう? その理由は、赤ちゃんは無菌状態で生まれるため。外の世界に住む多くの細菌への抵抗力がまだ弱いので、涙で瞳を潤わせて細菌が目から侵入しないようにしているのだ。さらに、赤ちゃんはまばたきの回数も大人の半分以下。0歳児で1分間に1回、2歳児で6回とかなり少なく、そのままでは目が乾燥してしまうので瞳を潤わせる必要がある。だから、赤ちゃんってあんなに見つめてくるのか……。
ところで、少女漫画に出てくるキラキラした瞳の輝きを日本で初めて描いた人をご存知だろうか? それは、1958年(昭和33年)に発表した漫画『あらしをこえて』で一躍人気作家となった高橋真琴さんである。あのキラキラを発明したきっかけは、以下だ。
「バスの中でね、綺麗な瞳の少女がいましてね。キラキラ輝いている、そういうのに出くわしたことがあるんですよ。嬉しかったり楽しかったり夢中になるものがあるときは、キラキラ輝いているなあということで。星の形にキラキラ輝くような表現を取るようになったんです」(高橋さん)
ご本人に電話取材してみると、高橋さんは現在85歳になる男性だった。画風とお名前の印象から女性作家を想像していた人は多かったと思う。でも、美少女画の描き手は意外と男性が多い。江口寿史もあだち充もそうだ。
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