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中国国内トップのサーバーメーカーが日本上陸! ゲームや動画の膨大なデータを爆速で処理するAIサーバーの新常識

InspurのAIサーバー

 シェア世界3位、中国国内トップのサーバーメーカー・Inspur(インスパー)が、今年3月に満を持して日本に“上陸”した。主力製品として市場に投入するのは、中国国内でシェアトップを誇る「AIサーバー」だ。

 AIサーバーとは一般的に、膨大なデータを処理するための容量や低消費電力など、人工知能の開発・運用のための要件を揃えた高性能なサーバーを指す。「ミニスーパーコンピューター」とも呼ばれ、人工知能(AI)の社会実装や5G時代に欠かせない新たなデジタルインフラの礎となる可能性を秘めている。

 Inspurはすでに、アリババ、バイドゥ、テンセントなど中国大手IT企業や国内有名AI企業、マイクロソフトをはじめとする欧米企業など、多数のクライアントを世界中に抱えている。韓国では、NAVERやSK、カカオなどもクライアントだ。日本では、ソフトバンクとアリババのジョイントベンチャーであるSBクラウドを主要顧客に抱える。

 インスパーは日本市場にどのような商機をみているのか。インスパー・ジャパンの代表、王遠耀(オウ・エンヨウ)氏は、「AIサーバーの需要は少しずつ確実に増えていくだろう」と市場の変化を予測している。

「日本のサーバー市場はこの十数年間、横ばいで推移しています。しかしながら、ヤフー、楽天、ラインなど大手IT企業、またオンラインゲーム開発企業、動画ストリーミング企業などにおいては、5GサービスやAIサービスに適したAIサーバーの需要が着実に増えていくと考えています。また、自動運転技術を開発するメーカーにとっては、シミュレーションのためのハイパフォーマンスコンピューティングが必須になってくる。弊社としては、新たな需要に応えながら、日本でのセールスを伸ばしていきたい」

 王氏は日本進出に際し、自社AIサーバーに「絶対的な強みがある」と自信をのぞかせる。技術のみならず「価格と納品スピードで高い競争力を保有する」からだ。

 「我々は後発として日本に進出しました。正直、まだまだ無名です。従来のサーバーのみであれば、国内企業や外資大手に勝つことは難しいでしょう。しかしながら、AIサーバーに関しては、絶対的な優位性・競争力があります。InspurのAIサーバーは月間生産台数が数万台にのぼります。日本国内大手は月間まだ僅かな規模です。生産台数のスケールメリットは、AIサーバーに使うGPUなど部材調達にも有利に働きます。販売価格は他社の追随を許さない。納期までのスピードも強みです。最短1週間で納品が完了できます」

 昨今、コロナ禍の影響で人々がデジタルライフに割く時間は増加している。今後もその傾向はしばらく続くだろう。加えて、時代は第四次産業革命期に突入しようとしている。AIや5G、IoTなど先端技術は世の中をより便利にしていくだろうが、そのパフォーマンスは、膨大なデータを処理するための高性能なハードウェアやデジタルインフラに支えられなければならない。

 「日本に高性能なAIサーバーが普及することで、AIを開発するベンチャー企業のエコシステムなどにも寄与できると考えています。AI企業やスタートアップ企業のほとんどは、アイデアのある小さな企業。補助金や投資が入る場合もあると思いますが、資金には限りがあるでしょう。非常に洗練されたアイデアや技術を持っているのに、高性能なコンピューターを導入できない企業もあると思います。我々としては販売だけでなく、外部パートナーと組んでレンタル業務なども行うことで、需要やユースケースをどんどん増やしていきたいと考えています」

 人々のデジタルライフの“縁の下の力持ち”として役割を果たしてきたサーバーだが、その最新事情は、新たなプレイヤー参入とともに大きな変化の時を迎えそうである。

河 鐘基(ジャーナリスト)

リサーチャー&記者として、中国やアジア各国の大学教育・就職事情などをメディアで発信。中国有名大学と日本の大学間の新しい留学制度の設置などに業務として取り組む。「ロボティア」「BeautyTech.jp」「Forbes JAPAN」など、多数のメディアで執筆中。著書に「ドローンの衝撃 」(扶桑社新書) 「AI・ロボット開発、これが日本の勝利の法則」 (扶桑社新書)、共著に「ヤバいLINE 日本人が知らない不都合な真実」 (光文社新書)など。

Twitter:@Roboteer_Tokyo

はじょんぎ

最終更新:2020/07/15 12:12
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