櫻井よしこに杉田水脈の名も…「ヘイトスピーチ」で賠償命令の「フジ住宅」会長が資金サポートしていた“ネトウヨの神”
#フジ住宅 #ネトウヨ
特定の国や人々への憎悪をあおる「ヘイトスピーチ」が社会問題になる中、ある判決に注目が集まった。
職場で「在日は死ねよ」などの中傷を含む文書を配布され、精神的苦痛を受けたとして、大阪府岸和田市の不動産大手「フジ住宅」の会長を相手取り、在日韓国人3世の50代女性が3300万円の損害賠償を求める訴訟を、2015年に起こしていたのだ。7月2日、その第一審で、大阪地裁堺支部は、同社と会長に110万円の支払いを命じた。
「訴状などによると、フジ住宅では13年ごろから、在日朝鮮・韓国人を差別するような文書や、『南京大虐殺は歴史のねつ造』などとネット右翼の主張と見紛うような記事などが社内で配布されるようになったというのです。裁判では会社側による文書の配布が違法といえるかが大きな争点になっていますが、もし原告の主張が認められれば、職場内での特定の個人を標的にしない差別的言動の違法性が初めて認定されることになります。今後のヘイトスピーチ規制にもつながるため、注目度が高まっているのです」(在阪の社会部記者)
渦中のフジ住宅は、1973年に今井光郎会長が創業し、主に大阪や兵庫などでの戸建て住宅の販売で急成長した。03年には東証2部上場を果たし、05年に1部に昇格したが、今井氏は、09年に社長を退任し、経営の一線から身を引いた。
14年に「一般社団法人今井光郎文化道徳歴史教育委員会」なる組織を立ち上げるなど、引退後は社会活動に熱心に取り組む今井氏だが、この訴訟トラブルに限らず、今井氏の思想傾向が遠因になったとみられる不祥事が相次ぐようになったのも、この頃からだという。
「今井氏の名前が取り沙汰されるようになったのは、15年に『新しい歴史教科書をつくる会』の元幹部が編集に携わり、国家への自己犠牲やナショナリズムをあおる内容が批判を浴びた育鵬社の教科書採択推進運動にかかわってからです。訴訟につながったヘイトスピーチ騒ぎが起きたのも、この頃です」(同)
「戦後レジームからの脱却」や「美しい国」を掲げる安倍晋三政権の主張と近い育鵬社への傾倒や、排外主義的なヘイトスピーチを連発する今井氏。その活動をつぶさに見ていくと、「ネット右翼」と称される保守界隈への傾倒ぶりも際立っている。
「今井氏が主宰する社団法人は毎年、『優れた日本の文化・道徳・歴史・教育に関する活動を行っている個人・法人・グループ』を対象とした活動助成事業を行っています。15年には2000万円超が拠出され、毎年数千万円が支払われているのですが、助成を受けたメンツがすごいのです。動画サイトで韓国や中国へのヘイトを連発して一部ネットユーザーからの支持を集める『テキサス親父』や、LGBTへの差別発言で炎上した参院議員の杉田水脈氏、さらにはジャーナリストの櫻井よしこ氏が共同代表を務める『美しい日本の憲法をつくる国民の会』などにも助成金が支払われていた。まさに『ネトウヨの神』たちを資金サポートする存在だったのです」(先の社会部記者)
今井氏の影響からか、現社長も全国紙の紙面で、「明治天皇の玄孫」と喧伝してネトウヨ界隈で根強い人気がある竹田恒泰氏と対談し、「親孝行を推奨するために設けた」という自社の「親孝行月間」なる制度を紹介するなどしている。
「保守界隈のパトロン的存在」のようにも映る今井氏に対して、司法はどんな審判を下すのか? 裁判の行方から目が離せない。
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