逆境続きのNHK大河『麒麟がくる』 川口春奈抜擢は不幸中の幸いだった?
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新型コロナウイルスの影響でNHK大河ドラマ『麒麟がくる』は放送休止中だが、ここまでの展開を振り返ると、期待以上に面白くなっていると思う。
時代劇では敵役として描かれることの多い明智光秀(長谷川博己)を主人公にした本作は、大河ドラマでは定番の戦国時代を舞台に、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康といった馴染みのある武将の物語が展開されるのだが、その描き方は今までにないもので、まさに温故知新、令和時代の戦国絵巻を意図的に作ろうとしていると感じる。
それが最も現れていたのが、織田信長と信長の妻・帰蝶(きちょう)の存在だ。
染谷翔太演じる信長は、乱世の覇者とは程遠く、演技ではなく、本当にうつけ者(馬鹿)に見えて、母親に愛されなかったことを気にしているマザコン野郎。そのくせ、いくさ(戦争)に関しては天才的で、そのギャップが今までにない不気味さにつながり、新しい信長像となっている。
対して川口春奈が演じる帰蝶は、そんな信長の幼さを受け入れた上で、時に母親として振る舞い、ダメダメの信長を支えるカミさん女房。しかし、その内実は「普通の女」という難しい役どころに挑んでいる。信長と話している時に帰蝶が見せる慈愛の心と嫌悪感が混ざり合ったような複雑な表情が最高で、この前半の立役者は間違いなく彼女だと思う。
もともと帰蝶は、沢尻エリカが演じる予定だった。しかし、沢尻が2019年11月16日に麻薬取締法違反で逮捕されたことで放送前の降板となり、急きょ抜擢されたのが川口だった。
沢尻は近年、女優としても評価が高まっていたため、この大河ドラマ出演が彼女のキャリアにとってひとつの達成となるのは間違いなかった。そんな沢尻と比較されることは、相当のプレッシャーだったのではないかと思う。
幸い、沢尻の登場シーンは全編撮り直しとなったため、番組内で川口が帰蝶を演じる場面は、そこまで違和感はなかった。しかし、それでも視聴者は、沢尻が演じただろう帰蝶を想像しながらドラマを観てしまう。
特に帰蝶は、従来、“気性の激しいお姫様”というイメージだった。
先日、再放送されたNHK大河ドラマ『国盗り物語』ではの松坂慶子が演じており、信長と対峙できる強い女性という帰蝶のイメージそのものだった。沢尻の起用も、そういった既存のイメージを踏まえてのものだろう。
映画『謝罪の王様』で、「別に」発言で叩かれた頃の沢尻を思わせる、お騒がせ女優を演じたこともある川口だが、彼女の代役は簡単ではなかったはずだ。だが、川口が帰蝶を演じたことは『麒麟がくる』にとっても、川口にとっても、大きなプラスに働いていると思う。
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