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日刊サイゾー トップ > エンタメ > ドラマ  > 『麒麟がくる』が描かない明智光秀
NHK大河ドラマ『麒麟がくる』放送再開を待つ間に!

『麒麟がくる』が描かない明智光秀──“稀代の裏切り者”は側室ゼロの愛妻家だった?

「旦那の金策のために髪を売った」は本当か?

 しかしこれも、歴史的な根拠はなし。江戸時代に書かれた、豊臣秀吉を主人公とする歴史物語『絵本太閤記』の中のエピソードです。ちなみにこの時、熙子の髪は現代の貨幣価値で数千円~数万円程度にしかならなかったということになっていて、さすがに安すぎるのです。

 本当に熙子が「賢妻」だったなら、宴会費用になるかならないかくらいの二束三文で大事な髪を売り飛ばしたりはしなかったでしょう。熙子は(没落気味ではあっても)明智という名のある武将の妻です。夫は越前の戦国大名で権力者の朝倉家ともパイプがあるわけで、朝倉家といえば室町幕府の名門です。朝倉家の女性たちは儀式などの際に、「かもじ」という部分かつらを必要としているはず。ですから、誰のものともしれぬ髪を買うより、明智の正室・熙子の髪なら言い値で買ってくれた気がします。

 このエピソード「明智と熙子といえば……」という有名逸話ですが、今回の大河では出てくるのやら。

 いずれにせよ、逸話からは明智光秀と妻・熙子の愛の伝説はなかなか実証できないことがわかりますね。しかし、筆者は明智と熙子は本当に愛し合う夫婦だったのでは……と思っているのです。次回に続きます。

堀江宏樹(作家/歴史エッセイスト)

1977年、大阪府生まれ。作家・歴史エッセイスト。早稲田大学第一文学部フランス文学科卒業。日本・世界を問わず歴史のおもしろさを拾い上げる作風で幅広いファン層をもつ。原案監修をつとめるマンガ『La maquilleuse(ラ・マキユーズ)~ヴェルサイユの化粧師~』が無料公開中(KADOKAWA)。ほかの著書に『偉人の年収』(イースト・プレス)、『本当は怖い江戸徳川史』(三笠書房)など。最新刊は『日本史 不適切にもほどがある話』(三笠書房)。

Twitter:@horiehiroki

ほりえひろき

最終更新:2023/02/21 12:16
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