アンジャ渡部を“爽やかタレント”に安住させなかった、有吉弘行の送る言葉「いいポン酢はあるかな?」
#渡部建 #有吉弘行 #テレビ日記
テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(6月14~20日)見たテレビの気になる発言をピックアップします。
アンジャッシュ・渡部「一切出ておりません」
アンジャッシュ・渡部が不倫報道を理由にテレビから姿を消したのは今月9日。同日お昼に生放送された『ヒルナンデス!』(日本テレビ系)が、今のところ最後のテレビ出演となっている。
ただ、私はその日の同番組が見られなかった。そのため7日の『行列のできる法律相談所』(日本テレビ系)が最後に渡部の姿を見た番組となっている。
この番組はエンディングに”お約束”がある。ゲスト出演した俳優がドラマの番宣などを始めると、渡部がその番宣の拙さにツッコミを入れ、俳優以上に流暢なプレゼンを見せつけるという流れだ。この日も同様のやりとりがあった。そしてプレゼン終了後、いつものように周囲から「渡部さんも出演してるんですか?」などと振られると、彼はいつものように答えてオチをつけた。
「一切出ておりません」
それ以来、私はテレビで彼の姿を見ていない。
現在、渡部に対する世間の声は厳しい。たとえば19日の『快傑えみちゃんねる』(関西テレビ)で、上沼恵美子は彼に対し「救いようないぐらい嫌い」と言及した。さらに、「なんか確信犯というか、ちょっと女性蔑視があるな」「ああいう女性の扱いをするんだったら結婚する権利ないわ。もしも結婚というのに検定試験があったら、ゼロ点やわ」「男の人やから(出演者の)みなさんは心開いて寛容や思うんやけど、女から見たら嫌なニュース」「単なる不倫とか浮気とか、そういうことじゃないでしょ。それ以上ですよ。だから私は苦いもんを感じる」「頭良くて、いい奴で、感じ良くて、人たらしで、みんなに好かれるんですよ。そやけどそれ(=不倫)においても頭回して。もう女は物ですわ。気分の悪い」と言い連ねた。
上沼の渡部への批判は”唾棄”という表現が適切だろうか。事実が報道内容の通りなら、上沼の批判ももっともだ。渡部の払うツケは大きい。
で、あまりワイドショーは見ていないけれど、おそらく今回上沼と似たような厳しい批判が(上沼ほどストレートではないにしても)渡部に向けられているはずだ。批判の厳しさは何より、報じられている彼の行動それ自体の不快さに比例しているのだろう。それと同時に、”知的さ”や”爽やかさ”といった彼のこれまでのイメージとのギャップもまた、印象を悪くしているように思う。ワイドショーのコメンテーター風に言うと。
ただ、今回の件で渡部に「知的だったのに」「爽やかだったのに」といったコメントが寄せられるのを見ると、その評価を不思議に思う。多くのテレビ番組での芸人としての彼は、”爽やかさ”などの芸人らしくない部分がイジられていたからだ。それこそ、『行列のできる法律相談所』のエンディングでの”お約束”も、関係ないのに横から口を挟んで巧みなプレゼンで一枚噛もうとする情報通、みたいな彼のイメージがイジられていたはずだ。
芸人が面白いことから降りているのが面白い。そんなねじれた解釈での渡部の面白がり方が繰り返し視聴者にお届けされてきたのに、今回の件で「爽やかだったのに」と真正面から彼の”爽やかさ”などを受け止めるコメントを見聞きすると、本当かな、と思う。興味なかったよね、と思う。それはなんだか関係ないのに横から口を挟んで巧みなプレゼンで一枚噛もうとする情報通のようだよ、とも思う。私も同じ穴のムジナだけれど。
有吉弘行「いいポン酢はあるかな?」
渡部がメディアから消えて以降、最初にバラエティ番組で今回の件に言及しているのを私が見たのは18日の『アウト×デラックス』(フジテレビ系)だった。
久々のスタジオ収録となったこの日、「何から喋る?」と矢部浩之から振られたマツコ・デラックスは、「いっぱいあるね、話したいことね。最近ニュースだらけだね」と前置きし、次のように言った。
「私は普段から多目的トイレしか使ってないからね。だからやめてよ」
その翌日、同じくマツコが出演した19日の『マツコ&有吉 かりそめ天国』(テレビ朝日系)。この日はスタジオに台所のセットが用意されていたのだけれど、この台所を見回しながら有吉弘行は言った。
「いいポン酢はあるかな?」
同番組をあまり見ていない人のために説明すると、有吉の「ポン酢」発言の背景には、2019年1月に始まった有吉と渡部の間のポン酢をめぐる言い争いがある。番組内で「ポン酢大戦争」と名付けられているこの争いは、酸味の強いポン酢をむやみに料理に使うのは考え直したほうがいいと発言した渡部に、ポン酢好きの有吉が「徹底的に戦うしかない」と応じたことに端を発する。
この抗争はその後、「ポン酢の瓶で頭ぶん殴ってやる」「渡部さんは反面教師であって、飯を語るようになったら終わり」などと有吉から渡部へのほぼ一方的な口撃が続くことになるのだが、今年の1月になり、渡部の側からのカウンターが始まっていた。渡部は難癖をつける有吉らに、「早く人間的なステージを僕のところまで上がってきてほしい」などと言い放ったのだ。番組ではこの件を「ヒューマンステージの乱」と呼んでいた。
そんな文脈があった上での今回である。収録は週刊誌報道の翌日だったらしい。「通らないわけにはいかない部分ではあるわよね」(マツコ)などと前置きし、2人は渡部について語り始める。
「この番組だけじゃない? マジで渡部さんのこと叩いてたの。渡部さんが好感度高い爽やかタレントだなんて、ひと言も言ったことない」(有吉)
「ヒューマンステージが置き土産って」(マツコ)
有吉の言うように、この番組では渡部を”爽やか”みたいなイメージで一切扱わなかった。芸人が面白いことから降りているのが面白い。そんなポジションに渡部を安置せず、抗争関係を作り、「ヒューマンステージ」などのキラーワードを引き出した。”グルメ王”などと呼ばれ意識の高さを見せつけてきた、そんな彼が言うことでしか面白くならない言葉だった。今後も、渡部と有吉の間の信頼関係に基づいた抗争は、視聴者を楽しませてくれるはずだった。しかし――。
有吉は言う。
「悪役は番組に必要なんだけど、大悪党になっちゃうとなかなかね」
世間の渡部への評価は手のひらを返すように大きく変わった。そんな中、有吉だけはいつもと変わらず扱った。あえて言えば、これまでどおりに“唾棄”した。彼の手のひらはずっと返っており、その手で渡部を誰よりも芸人として扱っていたのだと思う。
渡部が払うツケは大きい。
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