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日刊サイゾー トップ > ビジネス  > ビューティーテックの実例が続々

いちはやくDX化が進む5Gとビューティーテック、「AIを使った肌分析」ほか、実例続々誕生中!

イメージ画像/出典:acworks

 コロナ禍への対応策としてデジタルトランスフォーメーション(DX)が盛んに叫ばれ始めるなか、いち早く先端テクノロジーを取り入れてきた業界の動向が際立つ。代表的な例として、コスメやファッションなどを扱うビューティー業界が挙げられる。

 日本最大のコスメ・美容の総合サイト@cosmeなどを運営するアイスタイルでは、テック×ビューティーの潜在力を確信し、およそ2年前から「BeautyTech.jp」という専門メディアを新たに立ち上げている。同メディアで編集長を務める矢野貴久子氏は「さまざまなテクノロジーが企業の価値を高め、一般消費者やユーザーの購買・利用体験を変革しようとしている」と業界の現在地を解説する。

 すでに多くの技術が現場に導入されているが、矢野氏が今後可能性を見出している分野のひとつに「5G」がある。日本でも今年から本格的に展開が予定されている次世代通信規格である。

 「5G、ひいては6Gが普及すると通信は“空気”になると言われています。つまり、通信容量やスピードが劇的に向上することで、人はタイムラグや違和感を意識することなくデジタルライフを享受できるようになる。一方で、信頼を得ることに成功したブランドや企業は、顧客からこれまで得ることができなかったさまざまなデータを収集することができるようになるでしょう。美そのものや美の欲求に関するビックデータが集まることで、企業はさらに価値の高いサービスを提供できるようになると考えています」

 矢野氏は5Gの普及が、コロナ禍への対抗策としての「非接触リテール」などビューティー業界の“新たな小売”の実現も円滑にしていくだろうと指摘する。例えば、昨今コスメの売り場などでは感染防止の観点から「タッチアップ」(美容部員が顧客に実際にメイクをして販売を促す接客方法)が自粛される傾向にある。ブランドや小売各社としては危機感を抱いており、オンラインやECで「タッチアップ」に代わるような接客が実現できないかと日々、方法を模索している。

「ここ数年、有力IT企業がARバーチャルメイクアップツールの開発に力を注いでおり、国内外の大手化粧品会社はそういった企業を傘下にいれたりもしています。ユーザーの認知度も高まっており、バーチャルにメイクという行為は普通のこととして受け入れられ始めました。今後、5Gでさらに通信が円滑になれば、一瞬で大量のデータを解析し、鮮明かつ多様なメイクアップの提案をしていくことが可能になるでしょう。美容部員とオンラインでバーチャルメイクアップを試しながら購入まで終えるという販売の仕方が、当たり前になるかもしれません。さらに、5GはVR/MRサービスの普及も促します。そうなれば、実際の店舗で美容部員の方にメイクを試してもらっているような没入感を実現していけるはずです」

 矢野氏は、「AIを使った肌分析」も新たな小売を実現するひとつの手段になると示唆する。近年、日本や韓国では、スマートフォンや専門端末などで写真を撮影するだけで、瞬時に肌の質や状態を分析してくれるAI肌診断サービスが相次いで登場している。自分の正確な“肌の現在地”が分かれば、ユーザーはより効率的に相性の良い商品を見つけることができる。これまで、肌分析やそれに付随するアドバイスは美容部員などが提供していた専門サービスだった。いまや、その一部をテクノロジーが、しかもオンライン上で担い始めている。

 「肌診断AIやARメイクアップなど、顧客とのオンラインにおける接点が増えるということすなわち、人間の美の専門家が不要になるということではありません。むしろ、そのようなツールを専門家やスタッフが使いこなすことでより人と人同士のコミュニケーションが豊かになり、オンラインでのセールスを伸ばしたり、既存のオフラインでの接客がより価値を持つようになる可能性もあります。なお、これまでオンラインでの売り上げにどれくらいスタッフが寄与しているかという数字は見えづらかったのですが、昨今では『STAFF START』というツールが登場し、ひとりひとりのスタッフの方がどのくらい販売したかを可視化するサービスも登場してきています」

 5GやAI/ARといった先端テクノロジーは、ビューティー業界にとって“絵に描いた餅”ではない。すでに現場とビジネスを変革する手段として着実に根付き始めている。

河 鐘基(ジャーナリスト)

リサーチャー&記者として、中国やアジア各国の大学教育・就職事情などをメディアで発信。中国有名大学と日本の大学間の新しい留学制度の設置などに業務として取り組む。「ロボティア」「BeautyTech.jp」「Forbes JAPAN」など、多数のメディアで執筆中。著書に「ドローンの衝撃 」(扶桑社新書) 「AI・ロボット開発、これが日本の勝利の法則」 (扶桑社新書)、共著に「ヤバいLINE 日本人が知らない不都合な真実」 (光文社新書)など。

Twitter:@Roboteer_Tokyo

はじょんぎ

最終更新:2020/06/20 12:00
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