2019年度の日本の脱税総額は120億円! チュート徳井よりもぶっ飛ぶ巧妙なやり口
#脱税 #税金
国税庁はこのほど、2019年度の査察調査の概要と特徴的な脱税の事例を発表した。
2019年度に検察庁に告発した件数は116件、脱税額の総額は約120億円で、告発分の脱税総額は93億円だった。脱税の種類では法人税が約56億円、消費税が約20億円、所得税が約16億円だった。告発の多かった業種では、建設業が19件、不動産業が19件、人材派遣業が10件で順位に変動はなかった。
19年度の重点事案としては、消費税受還付事案を11件、無申告ほ脱事案を27件、国際事案を25件告発した。重点事案とは、消費税受還付事案、無申告ほ脱事案、国際事案及びその他社会的波及効果が高いと見込まれる事案を指す。
国際事案では、海外に不正資金を隠した所得税ほ脱事案で、国外財産調書の不提出犯を初適用した。無申告ほ脱事案では、11年に創設された単純無申告ほ脱犯も含め、過去5年間で最も多い27件を告発した。そのほか、インターネット広告会社や消費税還付コンサルにより多額の利益を得た税理士など、市場が拡大する分野や時流に即した社会的波及効果の高い事案も告発した。
この結果、124件の一審判決すべてに有罪判決が言い渡され、5人に実刑判決が下された。最も重い実刑判決は、査察事件単独に関わるものでは懲役10月、ほかの犯罪と併合されたものが懲役9年だった。
それでは、特徴的ないくつかの事例を取り上げてみよう。
無申告ほ脱事案では、「競艇で得た多額の払戻金」が告発された。脱税者は競艇選手と結託して勝舟投票券の払戻金による多額の収入を得ていたが、他人名義でのインターネット投票を行うことにより所得を秘匿し、所得税の確定申告を一切せずに納税を免れていた。
また、「芸能スタイリスト会社」も告発されている。脱税社は大手芸能プロダクション等から衣装デザインおよびコーディネート等のスタイリスト業務を受注し、多額の利益を得ていたにもかかわらず、確定申告を一切せずに脱税を行っていた。
国際事案では、「投資に関するノウハウ」が標的となった。脱税者は投資目的の情報商材のプロデュースなどを行う法人3社を主宰し、業務に関する請求書を偽造するなどして海外法人に対する架空支払報酬を計上し、法人税を脱税した。この事案では、外国との間で締結した租税条約に基づく情報交換制度を活用するなどして、不正取引を解明した。
その他の社会的波及効果の高い事案では、「投資用不動産販売」の大掛かりな摘発が行われた。脱税者は投資用不動産の販売や賃貸借の仲介などを行うグループ法人5社を主宰しており、投資用不動産の販売等により得た多額の利益を隠し、不正加担先と通謀し、虚偽の契約書を作成して架空の雑損失(違約金)を計上するなどの方法で法人税を脱税していた。
また、「東京電力の福島原子力発電所の除染」に関係した事案も摘発されている。福島原発の除染に関しては、当初から反社会的勢力の関与なども指摘されており、いまだに多くの問題を含んでいるようだ。
この事案では、建設会社社員が所得税脱税で告発された。脱税者は福島県の除染工事にからみ、複数の下請け業者から多額の謝礼金収入を得ていながら、謝礼金を借名口座に振り込ませるなどの方法により申告から除外し、所得税を脱税していた。
インターネット関連でも、「インターネット広告会社」が告発されている。この会社は国内有数のインターネット掲示板への広告掲載により多額の広告料収入を得ていたが、不正加担先と通謀し、虚偽の契約書等を作成させ架空の外注費を計上するなどの方法で法人税を脱税していた。
最後に、脱税には税理士が関与しているケースも多い。19年度は、コンサルティング会社2社を主宰する税理士が不動産投資家に対して金地金売買を利用した消費税還付のコンサルティングを行い多額の利益を得ていたが、所得税の確定申告において架空の支払手数料を計上するほか、コンサルティング会社2社の売上高の一部を除外するなどの方法で所得税及び法人税を脱税していた。
脱税はあらゆる業種において行われており、その手口はIT化や国際化の進展により、一段と複雑・巧妙化している。
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