ちょい固めの「素朴系プリン」がヒット中!? コンビニ3社のネオ・プリンを食べ比べてみたら…
#セブンイレブン #コンビニ #ローソン #ファミリーマート #ネオ・プリン
「コンビニの新商品はいつ並ぶのか?――それは火曜の朝である」
1年間に5000品超の新商品が並んでいる日本のコンビニエンスストア。「バスチー」のように大ヒットするものがある一方で悲しいかな、日の目を浴びずに消えていくものが山ほどあるのもまた現実だ。本コラムでは、火曜朝に発売されるコンビニ新商品を独断と偏見でチェックし、そのポテンシャルを予測。また、ひっそりと消えていくコンビニ新商品を記録しておくのが「Tuesday Morning Reviews」である。
なおこのレビューは、流通アナリスト・渡辺広明氏と主夫リーマン・テキパキオ氏の私見たっぷりな辛口対談によってお届けします。
◇ ◇ ◇
テキパキオ(以下パキオ):今週は大手3社がそろってプリンを新発売しています。
渡辺広明(以下渡辺):コンビニスイーツの多くは、デパ地下やスイーツ専門店の流行を取り入れて開発されるので、各チェーン同じ時期に新発売されることは決して珍しいことじゃないですよ。
パキオ:そうなんですね。でも、今回は各社とも完全な新発売じゃなくて、リニューアルしての新発売なんです。
渡辺:ということは、第一弾がそこそこヒットしてさらなる人気爆発を狙っているということなんだけど、そんな話題になったプリンあった?
パキオ:どうやらフツーのプリンよりもねっとり濃厚なプリンが流行していたようです。僕も、普段からあまり甘いもの食べないので気づきませんでした。
渡辺:じゃ、まずセブンの「イタリアンプリン」(税込み248円)から食べてみましょう。カップに詰められてなくて自立している時点でケーキみたいだし、従来のプリンとは別物だよね。
(一口食べて)おぉ、これすごく濃厚だね!
パキオ:はい。食べる前に「コレ小さくない?」と思っていたのが吹き飛ぶレベルに濃厚。
渡辺:うん、イメージとしては高級レストランの最後に出てくる感じのプリンだよね。
パキオ:でも渡辺さん、一番甘いのはローソンの「ミチプー」(税込み240円)ですよ!
これ1個で328キロカロリーもありますから。セブンの「イタリアンプリン」の230キロカロリーと比較しても突出して砂糖使ってます。
渡辺:そうなんだ。この2つがきっかけに昨年末あたりからねっとりしたプリンが流行していたようだけど、ファミマも「ねっとりイタリアンプリン」(税込み213円)を出していたんだね。確かファミマはカスタードプリンの上にチーズスフレが乗った「スフレ・プリン」(税込み278円)を推していたと思うけど……。
パキオ:はい、「スフレ・プリン」も売れ行き好調らしいのですが、ねっとりプリンの流行にも乗っかったということでしょう。ちなみにファミマの「ねっとりイタリアンプリン」だけがカップに充填されていて、「ミチプー」のような艶々プルプルのカラメルソースがかかっていました。唯一バニラビーンズが見える形で入っているところが個性でしょうか。ちなみにファミマの「ねっとりイタリアンプリン」は260キロカロリーで、カロリーもローソンとセブンのちょうど真ん中。
渡辺:両者のいいとこどりをしたのかもしれないね。ところで、肝心のローソン新発売「ブラボーミチプー」(税込み380円)はすんなり購入できた? 僕なんか4店舗探しても見つからなかったけど……。
パキオ:僕は発売日に2店舗目で見つけましたよ。ただ面白いことに、既に発売されていた「ミチプー」が置いてある店に「ブラボーミチプー」がなくて、逆に「ブラボーミチプー」が置いてある店には「ミチプー」が置いてありませんでした。
渡辺:なるほど、いいところに気づいたね。実は僕も探し回っている最中に、「ブラボーミチプー」は単価が高いから廃棄を恐れて発注をできなかった店舗が多いのかな……と思っていたんだ。380円を5個仕入れて全部売れ残ったら、1900円も廃棄が出てしまうからね。それに「ミチプー」と「ブラボーミチプー」を両方並べたところで、その日プリンを食べたいと思って購入する人が2倍に増えるわけじゃない。両方並べることで140円高い「ブラボーミチプー」が価格差で敬遠されてしまうことだって考えられる。それならどちらか1品に絞って発注するというのは発注担当者の戦略だよ。
パキオ:深いですね。そもそもコンビニで380円のスイーツって高くないのですか?
渡辺:高いですよ。僕がローソン勤務時代の2002年ごろ、北海道でバイヤーをしていたときに北海道のヤマザキパンと150~180円の高級デザートブランドを立ち上げたことがあります。
パキオ:へぇ~、200円以下でも「高級」になるんですね。
渡辺:もちろん北海道限定の話だよ。北海道はスイーツ王国なので街のケーキ屋さんやスイーツ店も価格が安いので、全国採用のスイーツブランドだと高すぎて道民には見向きもされないという事情があったんです。ただ、今回のコロナ禍で客数減に苦しんだコンビニでもスイーツの売れ行きは好調だったし、「ブラボーミチプー」以外の商品はすべて200円台でも売れているというのはコンビニスイーツの高級化が進んでいると見てもいいでしょう。
パキオ:外出自粛があったころは街のケーキ屋さんが休んでいたからコンビニにスイーツ需要が流れたこともありますよね?
渡辺:うん。昨年大ヒットしたローソンの「バスチー」が税込み215円で税抜きだとギリギリで100円台になっているところが、200円がコンビニスイーツとして一種のボーダーラインになっている。
パキオ:よく売れているシュークリームは100円台ですしね。最後にひとついいですか?
イタリアンプリンと聞いて最初に思い浮かべたのは、サイゼリヤの庶民的なプリンだったんですよ。
渡辺:僕もそう。庶民的な味のほうが量は食べられるよね。コンビニのイタリアンプリンはどれも濃厚すぎて3個食べたらくどかった……(苦笑)。
パキオ:同じく。3個食べたら夕飯いらなかった。ただ「ブラボーミチプー」はプリンの下にリンゴ、洋ナシのカラメルゼリーとスポンジが挟まれているのに369キロカロリーで、「ミチプー」と大差ないんです。いくらか甘さ控えめにメニュー開発しているのはさすがだなと思いました。
渡辺:細かいとこまで見てますね~。スポンジは空気が含まれているからカロリーゼロなんじゃない!?
パキオ:それはサンドイッチマンのネタでしょ!
【今日のまとめ】
・コンビニのねっとりプリンはどれも超濃厚で小さくても大満足、むしろ食べすぎ注意
・コンビニスイーツの高級化が進むも主力商品はいまだに100円台
・コンビニスイーツは客を誘引する重要な商品
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