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中華チェーン「福しん」のパンチ効いてない実家味、その“ゆるい”魅力をエレコミやついも“ゆるく”力説

中華チェーン「福しん」のパンチ効いてない実家味、そのゆるい魅力をエレコミやついもゆるく力説の画像1
『ひかくてきファンです!』(テレビ朝日系)公式Twitterより

 様々な対象を応援するファンをあらゆる角度から深堀りする番組『ひかくてきファンです!』(テレビ朝日系)が、6月3日放送回で中華料理チェーン店「福しん」を取り上げた。福しんを応援するファン代表として登場したのは、エレキコミックのやついいちろうと、いつもここからの菊地秀規である。

 というか、福しんって、そんなに有名なチェーン店なのだろうか? 正直、あまり耳馴染みがない。中華料理チェーンといえば、真っ先に思い浮かぶのは餃子の王将か日高屋だ。

 無理もない。王将は全国に500店舗以上展開しているが、福しんはわずか32店舗である。しかも、出店エリアは六本木や銀座といったおしゃれタウンではなく、池袋周辺に密集している。あと、特急が止まらない駅に出店しがち、らしい。

「特急が止まるところにもあるんですけど、潰れるんですよ(笑)」(やつい)

 ちなみに、福しんの歴史は古い。1973年創業の日高屋や1967年創業の王将と比べ、福しんは1964年創業。老舗である。

激ウマにする自信は「ない」社長が断言

中華チェーン「福しん」のパンチ効いてない実家味、そのゆるい魅力をエレコミやついもゆるく力説の画像2
「福しん」公式Twitterより

 福しんには、密かに熱狂的ファンがついている。ということは、さぞかし味が美味しいのだろうと思ったが、常連客が口にするのは「味は家の素朴な感じ」「薄味だから無料のにんにく胡椒を入れてちょうど」など、冴えない感想ばかりだった。さらに、やついと菊地は福しんの魅力について「まずうまの最高峰! 実家で食べられるような“ゆる~い味”」と、微妙な文言で福しんをバックアップする。

「可もなく不可もない。中華って味にパンチがありますけど、福しんの中華は食べてて疲れないんですよ。とにかくパンチがないんで。ポイント制の、当てていくボクシングなんです。一口食べたら何かを足さずにいられない味です」(やつい)

 事実、司会の今田耕司が福しん名物「手もみラーメン」や「ギョウザ(6個入り)」を試食すると、「絶妙に何かが足らん」と失笑する始末だった。しかし、ラーメンににんにくを入れた途端、すごく美味しくなったことも認めている。

 実はこれ、意図的なのだ。福しんの高橋順社長は、客が自分なりに店の味をカスタマイズするよう推奨している。

「元々そういうコンセプトがありまして、他のチェーンに比べると調味料の入れ物も大きめなんですよね。ドバドバかけてもらっても大丈夫というのは、福しんの1つの売りです」(高橋社長)

 さらに、福しんは開き直った。公式ツイッターでは、2016年に「福しんを美味しくするコツは、福しんより美味しい中華料理を食べないことです」と発信しているのだ。

「一生懸命戦って勝ち抜くのも大事だと思うんですけど、でも、今を許してくれるお客様と一緒に成長していければいいかなあという心を込めてツイートしました」(高橋社長)

 福しんの独特の“ゆるさ”からくる魅力は、このマインドに起因するものだ。

 でも、「一生懸命戦って勝ち抜く!」とスイッチが入れば、話は変わってくるのだろうか?

今田 「じゃあ、“激ウマにしようと思ったら明日にでもできますよ”という自信は社長にはあるわけや?」

社長 「無いですね」

PayPayやサブスクっぽい画期的サービスをいち早く取り入れていた奇跡

 福しんの魅力は“ゆるさ”だけじゃない。創業者・高橋保次氏は「お客様に寄り添う」の考えを福しんのモットーとし、現在に至るまでその考えが前面に打ち出されている。

 例えば、価格面について。福しん名物の「手もみラーメン」の値段は390円だ。この時点ですでに異常な安さなのだが、2010年には、なんと100円でラーメンを販売していたという。さらに、ラーメンを注文したお客さんには100円無料券をプレゼントしていたそうだ。つまり、実質0円である。

「これは画期的で、PayPayより早いですよ!」(やつい)

 餃子も価格破壊している。ひと月に500円払えば、1回の来店ごとに6個入りの餃子1皿が無料で食べられるらしい。朝昼晩の3食を福しんで済ませるとすれば、月に540個の餃子をワンコインで食べられるという計算だ。餃子が1個1円以下! これは、いわゆる餃子のサブスクと言えるだろう。

 しかも、臨機応変だ。番組はある実験を行った。テレビ収録と名乗らず一般人を装い、福しんに無茶な注文をしてみたのだ。それは以下の3品である。

・「五目あんかけラーメンを麺抜きでお願いできますか?」

「麺なし大丈夫ですよ! 30円引きになりますけどよろしいですか?」と、快諾するだけでなく、値引きまでしてくれる福しん。

・「マーボー豆腐の豆腐を切らないでデカマーボーでお願いできますか?」

「見た目があまりよろしくないかもしれないんですけど、それでもよろしければ!」と快諾する福しん。

・「マーボー豆腐定食とレバニラ定食で迷う。あと、定食のご飯がチャーハンだったらいいなあと思っている。これら合体させて1つの丼にした『マーボーレバニラチャーハン丼』でお願いできますか?」

「一緒に乗せることは可能ですけれど、グチャグチャになってしまう可能性がありますが……できますよ!」と、やはり快諾する福しん。

 しかも、これらのイレギュラーなメニューを、全て10分以内に作り上げてみせた。実際に食べると、ちゃんと温かくて美味しい。安い、早い、美味しい! 福しんは、手抜き無しである。実際に「マーボーレバニラチャーハン丼」を食べた今田は、「一つひとつの薄かったメニューが助け合って、合わせ1本になった!」と絶賛した。

 こんなにも魅力をプレゼンされると、福しんのサービスを体験したくなる。しかし、都内でなかなか発見できないのが玉に瑕だ。食欲を促進しないカラーと言われるブルーを基調に、簡素な似顔絵がウインクする妙なロゴが描かれたシュールな看板こそが、福しんの目印である。

寺西ジャジューカ(芸能・テレビウォッチャー)

1978年生まれ。得意分野は、芸能、音楽、格闘技、(昔の)プロレス系。『証言UWF』(宝島社)に執筆。

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てらにしじゃじゅーか

最終更新:2020/06/10 19:06
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