裏技か、正攻法か? “解説”することで生き残る、アンガールズ田中というポジション
#テレビ日記 #ゴッドタン #田中卓志 #逃走中 #小木博明
テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(5月30~6月6日)見たテレビの気になる発言をピックアップします。
「どんな状況でもなんとか答えようとする。それって“おバカ”タレントに必要な部分なんですよ」
以前『逃走中』(フジテレビ系)を見ていて思った。アンガールズの田中、このゲームの裏技を編み出してんじゃん。
同番組は規模の大きな鬼ごっこ番組だ。毎回多くの芸能人が集められて、閉店時間中のショッピングモールなどで鬼役のハンターから逃げ回る。捕まったら牢獄行き、最後まで逃げ切れたら賞金獲得。そんなゲーム仕立ての番組である。
そこに田中がプレイヤーとして出演していた。しかし、ハンターに見つからないように走り回るのが醍醐味のこの番組で、田中はほとんど動かない。特定の場所にしばらく留まって、今のゲームの流れや今後の予測、他の出演者の性格などをカメラに向かって解説し続ける。その結果、アクティブに動き回ってハンターに追われる機会が多いタレントよりも、ほとんど動きのない田中のほうが画面に映る機会が多くなっていた。
田中は途中でハンターに見つかりゲームオーバーとなった。けれど、番組的に”使える”解説をすることで、誰よりも多くの時間にわたり画面を専有していたのは彼だったのだ。そしておそらく、田中はその立ち回りの上手さを評価され、別のテレビ番組にも呼ばれるのだろう。鬼ごっこを最後まで生き残って賞金を獲得した人よりも、長く芸能界を生き残ることになるのかもしれない。それはなんだか、このゲームの裏技のようだった(もちろん、田中は番組から割り当てられた役目を遂行していた面もあるだろうけれど)。
振り返ってみると、この番組に限らず田中は最近いろいろなところで何かを解説していることに気づく。若手のネタの面白さのポイントを解説し、バラエティ番組での望ましい立ち回りを解説し、情報番組にコメンテーターとして出たときのそつのない表情の作り方を解説している。その解説範囲は広い。もちろん広いだけでなく鋭い。
先週も田中は解説していた。たとえば、4日の『探シタラTV』(テレビ朝日系)。この日は伝え下手の“おバカ”キャラの発掘が試みられていた。伝え下手とは、青森のアイドルグループ「りんご娘」の王林や、滝沢カレンのような人たちのことだ。
集められた4人のタレントは、与えられたテーマで1分間のトークを披露するといった課題に挑戦する。しかし、さすがオーディションを勝ち抜いてきた精鋭、見事にほとんど伝わってこない。ゲストの田中は、メインMCのバナナマン・設楽とともにその“おバカ”ぶりを解説する。
「(“おバカ”タレントは)漢字が読めないのに適当に読んでごまかそうとするとか、その感覚をもってる。なんとかこの場をごまかすみたいな能力が必要なんですよね」
「どんな状況でもなんとか答えようとする。それって“おバカ”タレントに必要な部分なんですよ」
アンガールズが“キモかわいい”でブレイクしたのは2004年ごろ。そこから田中は現在まで、15年以上にわたり多くのテレビ番組で活躍している。そんな一線級のプレイヤーが語るテレビの解説は、聞いていて「なるほど」と膝を打つことも多い。
今回でいえば、さすが田中は元ヘキサゴンファミリーだけある。”おバカ”タレントは単にトンチンカンなことを言っているだけではない。そこにしつこさや諦めの悪さが伴わなければいけない。そんな現場の知、実践知を、”おバカ”が大量に生まれたシーンに居合わせた田中が解説するのだった。
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事