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日刊サイゾー トップ > 社会  > 風俗店経営者「7月末が限界」

歌舞伎町案内人・李小牧がコロナショックにあえぐ風俗店経営者にインタビュー

取材に応じてくれた風俗店経営者

 東京都は6月6日、新たに26人の新型コロナウイルスへの感染が確認されたと発表した。そのうち16人は、接待を伴う飲食店など「夜の街」関連の感染者で、新宿地区の同じ店に勤務するホスト男性12人が含まれていた。緊急事態宣言の発令以前から「接待を伴う飲食」として小池百合子都知事から営業自粛を求められていたホストクラブだが、世論からの冷ややかな視線にさらされているのは、風俗業をなりわいとする人々も同じだ。

 前回、コロナショックの直撃を受けながらも、公的支援策を受けられない風俗嬢にインタビューを行った(参照記事)。しかし、困窮しているのは彼女たちの雇用者である店舗経営者も同様のようだ。

 今回、都内で店舗型ヘルスを10年以上経営してきた男性に、話を聞くことができた。

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 新型コロナウイルスの感染拡大前と拡大後の、お店の変化について教えてください。

経営者男性(以下、男性) 私は都内で店舗型のヘルスを2店舗経営してきました。約10年前から営業していて、女性キャストは40人弱います。売り上げが極端に下がったのは、3月入ってすぐでした。ちょうど、キャバクラや風俗店でクラスター感染が発生して騒がれていた頃ですよ。まず、お店の女の子が怖がって、出勤が半数近くに減りましたね。お客さんの数も半数くらいに減って、一日50人以上から30人以下になりました。売り上げも、3月は普段の半分以下になってしまいましたよ。4月に入ってからは、客数は普段の8~9割減となりました。

 東京都は4月から、性風俗店に対して営業自粛の要請をしていましたよね? クラスター感染の危険性もあるのに、なぜ営業していたのですか?

男性 店舗にも同じような苦情が、市民の方からたくさん寄せられました。風俗店の営業には、事務所の賃料やスタッフへの人件費、光熱費、広告費など1カ月で最低でも500万円以上のコストが掛かります。我々のような風俗店は、持続化給付金や雇用関係助成金など、ほとんどの行政支援が対象外ですし、銀行からの融資も当然受けることはできません。風俗店に勤める女の子や内勤のスタッフにも家族がいて、生活があるんです。休業要請に従って営業を取りやめたとしても、私たちには補償も何もないんですよ。スタッフたちの生活を守るためには、店舗での感染予防を徹底した上で、営業していくしかないんです。

 今後の店舗運営の見通しはどうですか?

男性 非常事態宣言が解除されても、客足は全然戻ってきませんね。常連さんもまだ警戒しているんだと思います。この状況が続くと、営業は7月末が限界ですね。

 政府や行政に対して、何か要望はありますか?

男性 風俗業者も、支援対象に含めてほしいです。そうすれば、店の女の子やスタッフたちに、いくらか補償することができる。うちは店としてはもちろん、スタッフの給与も源泉徴収してしっかり納税してきた。法を犯しているわけでもないのに、ヒドイ職業差別だと思いますよ。

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 経済活動が段階的に再開し始めるにつれ、新宿歌舞伎町の人出も少しずつ増え始めているが、それでもまだまだコロナ前の半分以下の水準だ。この国の夜の街が、再び明るく楽しい場所になるには、まず、そこで働く人々の生活を明るくする必要があるだろう。

李小牧(歌舞伎町案内人)

1960年中国湖南省長沙市生まれ。88年に私費留学生として来日し、東京モード学園に通いながら「歌舞伎町案内人」として活動を開始。2002年『歌舞伎町案内人』(角川書店)がベストセラーに。15年に日本国籍を取得し、同年と19年の新宿区議会選に出馬するも落選。政界への挑戦は、ドキュメンタリー映画『選挙に出たい』として公開。

Twitter:@leekomaki

りこまき

最終更新:2020/06/08 21:12
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