混沌から生まれたハイな雑種――Jin Dogg擁するレーベルが提唱! ハイブリッドな“DIRTY KANSAI”
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教師も犯罪者もいるコミュニティの実相
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そして彼らの名前を全国的に知らしめたのが、例えば17年4月にリリースされたJin Doggの「アホばっか(feat. Young Yujiro & WillyWonka)」。ヘヴィなトラップ・ビートに、ストリートで話されるような怠い関西弁のラップを乗せたこの曲は、同地で新たなムーヴメントが起こっていることを気づかせるのに充分な魅力を持っていた。ただし当人たちに言わせると、それは日々生まれていた膨大な作品のひとつなのだという。
Y「僕がインスト(のビート)をストックしていて、Jin Doggがスタジオに来たらダベりながら聴いて、『これいいっすね』みたいになったらラップ乗せて。でも既存のインストだとリリースできないんで、アカペラをWARKARに投げたらオリジナルのトラックに差し替えて返してくれて。そういう曲がいっぱいあるんですけど、中でも『アホばっか』は流行ったというか、爆発したっていう」
J「僕はあれ、『ボツや』と思ってましたもん。でも、『魑魅魍魎』(KID NATHAN feat. Jin Dogg, Cold Rose, KilVVicious)も『AM 2:00』(Jin Dogg feat. 23vrsz)も『ボツ』と思って出したらバズったんで、自分がおかしいのかもしれない(笑)」
また「アホばっか」は、外部の人間からすると“関西トラップ”とでも呼びたくなるスタイルだったが、Jin Doggがそれに対抗するように考えたのが“DIRTY KANSAI”という名前だ。
J「“関西トラップ”ってなんかダサいなと思ったんですよ(笑)。トラップだけやってるわけではないし」
B「で、ダーティ・サウス(アメリカ南部のラップ・ミュージックを指す言葉)のドキュメンタリーかなんかを観てるときに、ジェイクが『オレら、DIRTY KANSAIや!』って」
J「イメージにも合ってたから。僕のライヴもぐっちゃぐちゃになるし、BULL君もDJでハードな曲めっちゃかけるし。あと、僕ら(〈HIBRID〉)だけじゃなくて関西(のラップ・ミュージック)全体を“DIRTY KANSAI”としてとらえてほしいと思ってつけた」
確かに近年のJin Doggのディープな表現はトラップの枠だけに収まるものではない。ちなみに、彼は楽曲の中で“Team Tomodachi”という言葉も使っていたが、インタヴューに参加したプロデューサーのLil YamaGucciは両手を徐々に広げながら、それらの言葉が意味するところを示す。
「HIBRID < Team Tomodachi < DIRTY KANSAI!」
Lil YamaGucciはカナダ出身で、普段は大阪市内の高校で英語の教師をしているという。
J「生徒が『先生、Jin Doggとやってるの!?』って言ってくるらしいです(笑)」
Lil YamaGucciのアルバムも〈HIBRID〉から近々リリースされる予定だ。ほかにも、現在は服役中のBKことBYUNGSUNG KIMのアルバムも控えている。
J「高校教師から極悪犯罪者まで(笑)。いや、極悪ではないですけど。BKはめっちゃ古い友人で、僕をラップに誘ってくれたのも彼なんですよ」
Y「だから、うちから出すのが自然かなって」
DIRTY KANSAIのサウンドは狂気じみているが、それは既存の社会に比べればよっぽど人間らしさに満ちている。
(取材・文/磯部涼)
(写真/cherry chill will.)
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