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日刊サイゾー トップ  > メガ盛り弁当はサンクスの遺伝子
コンビニ新商品「Tuesday Morning Reviews」#5

1109キロカロリーで健康志向はくそくらえ! ファミマ「メガ盛り弁当」はサンクスの遺伝子?

「コンビニの新商品はいつ並ぶのか?――それは火曜の朝である」

 1年間に5000品超の新商品が並んでいる日本のコンビニエンスストア。「バスチー」のように大ヒットするものがある一方で悲しいかな、日の目を浴びずに消えていくものが山ほどあるのもまた現実だ。本コラムでは、火曜朝に発売されるコンビニ新商品を独断と偏見でチェックし、そのポテンシャルを予測。また、ひっそりと消えていくコンビニ新商品を記録しておくのが「Tuesday Morning Reviews」である。

 なおこのレビューは、流通アナリスト・渡辺広明氏と主夫リーマン・テキパキオ氏の私見たっぷりな辛口対談によってお届けします。

◇ ◇ ◇

テキパキオ(以下パキオ):ローソンのプライベートブランド(PB)のパッケージデザインがすごく女性向けになったと話題になってますね(『ローソン、PBデザイン一新も批判殺到! おしゃれさ先行の新パケをセブン、ファミマと比較してみたら…』(https://www.cyzo.com/2020/06/post_242976_entry.html)。

渡辺広明(以下渡辺):コンビニはシニアと女性のお客様が増えているからね。

パキオ:お弁当も健康志向になっていますけど、2日に発売されたファミマの「ドーンとベーコン! メガ盛り弁当」(税込み598円)のビジュアルがすごかったです。なかなかご飯の上にベーコンは乗せませんよ(笑)。

渡辺:これ一食で1109キロカロリー。僕なんかが食べると明らかにカロリーオーバーだとわかっているけど、たまにこういうの食べたくなるんだよね。サークルKサンクスがファミマに吸収合併される前は、大手3社が女性客狙いの健康志向に向かう中、あえて腹ペコ男性を狙う戦略をとっていた時期があって、それを踏襲したのか、ファミマは時折この手のメガ盛り系弁当を出すんです。

パキオ:そうなんですね。特筆すべきはほぼ野菜がない点。グリーンはポテトサラダに入っていた枝豆だけでした。

渡辺:毎食必ず野菜を食べなくても大丈夫でしょう。それかあとでサラダ食べたらいい。

パキオ:ハンバーグの厚さは25ミリ以上。甘めのデミグラスソースになぜかマヨネーズ感の強いタルタルソースが加わってかなりご飯が進みます。豚焼き肉も味濃いでおいしかったですね。そしてライスの上に乗っているベーコンはあらびき黒コショウがふられていて、これまた食欲を増進してくれました。あえて欠点を探せというなら、(おそらく冷凍)コロッケがフツーすぎてパンチ不足というところでしょうか。

渡辺:僕もペロリと食べちゃいましたよ。あ、そうだ。ゆで卵も入ってたよね? 僕が注目している茹で卵は、セブンでも販売されてるんですよ。

パキオ:4日に発売された「エッグポット 味付きゆで卵とブロッコリー」(税込み205円)ですね。お店を調べて回ったら、3日までは「味付きゆで卵とほうれん草」でほぼ同じものが売っていましたけど、渡辺さんはなぜ今注目したんですか?

渡辺:それはね、「ブロッコリーは神の野菜」だからです!!

パキオ:えーっと……それ、何かの宗教でしか?

渡辺:僕の友人のバズーカ岡田先生に「エッグポット」の写真を見せて、どう思うか聞いてみたんです。そうしたら、「ブロッコリーは神の野菜。卵は筋肉を含む生命の源」とおっしゃっていたんです。

パキオ:なるほど筋肉的には卵とブロッコリーは最強の組み合わせだと。

渡辺:ええ、「筋肉界隈ではアントニオ猪木とジャイアント馬場のタッグぐらいの破壊力だ!」と興奮していました。ただサラダチキンをヒットさせたのがセブンということもあって、マッスルボディを目指すかたがたにはたまらない、筋肉系商品を出すコンビニとして浸透しているようです。

パキオ:へぇ~。僕なんかヒョロヒョロなので「誰が買うんだよ」って思ってましたけどね。だってコンビニって、そもそもおにぎり棚に殻付きのゆで卵を売っているじゃないですか。殻をむく手間が省けますけど、ゆで卵2つとブロッコリー2個で205円は高い気がしてしまいます。

渡辺:ラーメン屋の味玉トッピングがだいたい100円と考えればそんなに高くないんじゃない?

パキオ:いやいや、ラーメン屋にとって味玉はドル箱ですよ。スーパーで買ったとして鶏卵は1パック(10個入り)200~240円ほどで、1個あたり20円ちょっと。キロ単位で仕入れる業務用ならもっと安くなります。それにランチがゆで卵とブロッコリー2つずつって、ちょっと寂しい。

渡辺:筋肉愛好家はストイックなんですよ! プロテイン飲料も広まったし、コンビニで〝筋肉の冷戦〟が始まるかもしれません。最後にローソンがスタートした「鬼滅の刃」キャンペーンに触れておきましょう。「炭次郎の日輪刀をイメージした漆黒の炒飯風おにぎり」(税込み130円)どうだった?

パキオ:味は可もなく不可もなく。ただ黒っぽいチャーハンおにぎりで、イマイチ良さがわかりませんでした。

渡辺:原作を読んでないとそうなるよね。こういう人気のあるキャラクターやタレントを使った企画は一時的に売り上げをあげるコンビニの黄金キャンペーンです。ただ、おにぎりありきで企画を考えた感じがして、商品企画者の苦悩がにじみ出ていることは確か。個人的には「禰豆子の竹パン」(税込み140円)のほうがマンガを知っている人には面白いと思いました。

パキオ:やっぱり読まなきゃダメか……。

渡辺:男なら「生殺与奪の権を他人に握らせるな!」

パキオ:何ですかそれ!?

渡辺:「鬼滅の刃」の名言です(笑)。それじゃまた来週。          

【今日のまとめ】

・ファミマはときどきメガ盛り弁当を出すので腹ペコな人は要チェック

・ブロッコリーは神の野菜、卵は筋肉を含む生命の源

・セブンは単に健康だけでなく、マッチョまで取り込む商品を鋭意開発している

渡辺広明(流通ジャーナリスト)

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浜松市出身。2児の父。マーケティングアナリスト、日本唯一の流通アナリスト、コンビニ評論家、流通ジャーナリスト、約730品の商品開発に携わるマーケター、元コンビニバイヤー、元コンビニ店長、現コンビニアルバイター、「浜松市やらまいか大使」(観光大使)など、さまざまな顔を持つ。フジテレビ『Live Newsα』レギュラーコメンテーター『ホンマでっか⁉TV』レギュラー評論家として活躍する他、スポーツ紙「東京スポーツ」に連載を持ち、ニュース・ワイドショー・新聞・週刊誌・ラジオなどのコメント・講演会・アドバイザリー・顧問業などでも幅広く活動中。趣味は「ドラゴンズ熱烈応援」「時折フルマラソン」「発展途上国の教育支援(ガーナ・ラオス)」。著書に『コンビニが日本から消えたなら』(KKベストセラーズ)

わたなべひろあき

テキパキオ(ライター)

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都内に住む30代サラリーマン。小学生のとき、母親の手伝いで料理に目覚め、兄の夜食を作るようになる。大学時代にはカジュアルイタリアンの厨房でアルバイト。就職後は自炊することがなかったが、3年前にアーティストとして働く妻と結婚して家事全般を担当。猛スピードで掃除洗濯をこなす様子から妻に「テキパキオ」と名付けられる。PB食品の食べ比べがスーパーの売り場徘徊が趣味。蛇口とシンクを磨くのが好きで、行きつけの飲み屋の閉店作業に加わりがち。

Twitter:@@tekipakio

てきぱきお

最終更新:2020/06/08 12:23
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