HIKAKIN、はじめしゃちょー、そしてグーグル頼み?――YouTuberビズの覇者UUUMの“ホント”の財務
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リスクを懸念する投資家たち
リスクを懸念する投資家たち
こうしたマイナス要素が次々と明るみになる中、コロナショックの影響が追い打ちをかける形で、同社の株価は急落している。また、直近の四半期の売上高を見ると、19年5月期第4四半期(3~5月)62億3300万円から、20年5月期第1四半期(6~8月)55億800万円、20年5月期第2四半期(9~11月)54億1100万円と2期続けて売り上げ減が続いている。
「同社では、連結売上高260億円を通期の計画としているが、進捗率は42%と計画を下回っています。事業別に見ると、広告は進捗率53%だが、同社の売り上げの半分以上を占めるアドセンスの進捗率は39%と伸び悩んでいる。また、所属するYouTuberのマネジャー採用などの人件費が大きく膨らむなど、9~11月期の営業利益は同11%減の3億5100万円と業績は落ち込んでいる。TikTokなど新たな動画サービスが台頭し、視聴者の奪い合いはより加速している。計画の達成はかなり厳しいでしょう」(経済ジャーナリスト)
さらに、前出の公認会計士も決算書からUUUMの経営基盤の脆弱性を読み解く。
「UUUMは一時期、時価総額1000億円を超え、株価も6870円まで高騰しましたが、現在(3月27日時点)の時価総額は399億1600万円、株価は2043円と、いずれも半値以下となっています。そもそも上場当時、株式市場から過大評価されていた感は否めない。また19年5月期の通期決算では大幅な増収増益となり、同社の売上高は197億2600万円でしたが、その売上高に対して現預金が47億円しかないのも気がかりです。現預金47億円というのは、売上高の割に少ない数字。これはM&Aや資本提携による巨額投資によるものと考えられますが、こうした先行投資の効果はほとんど出ていない、つまり回収できていない状況。個人商店でも大企業でも同じなのですが、未曾有の災難が起こったりした際に必要なのが現金。現預金が少ない会社は売り上げが落ち込めば落ち込むほど、現預金は目減りする一方なので、倒産してしまうリスクは当然高くなる。現状、優良企業であることは間違いないでしょうが、機関投資家たちはそのあたりのリスクも懸念しており、株価が低迷しているのだと思います。ZOZO創業者の前澤友作氏のように、鎌田氏が会社を手放す可能性もあるかもしれません」
東京商工リサーチの調査によると、19年の倒産企業の平均寿命は23・7年。さらに産業別に見ると、情報通信産業の平均寿命は16・7年となっている。特に、日進月歩のインターネット・情報通信の分野は、競争も激しく、繁栄を謳歌できる期間は短いといえる。
「人間にも寿命があるように、ビジネスにも寿命があります。例えば富士フイルムは、世の中がデジタル化に展開する中、主力だった写真フイルム事業から撤退してヘルスケア事業に特化することで復活を遂げました。UUUMがこの先も生き残っていくためには、こうしたドラスティックな構造改革ができるかどうかがポイントになる」(前出・経済ジャーナリスト)
4月2日、鎌田氏は自身のツイッターに「この世の中の状況を吹っ飛ばすレベルのものをちゃんと仕込んでいる。いまはここまでしか言えないけど、今月末から5月頭くらいには発表できるかなと。お楽しみに(本当に世の中ガラッと世の中変わると思う)」と意味深な投稿をした。起死回生の手段とは……。
(文/編集部)
(絵/河合 寛)
※「サイゾー」2020年4・5月合併号【特集:YouTube”新”論/実録・狂気の関西ラップ】より
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