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日刊サイゾー トップ > カルチャー  > 自粛明けのハプバーに来る人々

究極の“3密”現場は今どうなってる? 緊急事態宣言が明けたハプニングバーに集う人々を定点観察!

「チンコ、しごいてくださいよ!」

 すぐ横で男女がまぐわっていることに興奮したのか、女性客たちが男性常連客に服を脱ぐよう促す。ここで、自粛期間中は誰とも性行為をしていなかったと漏らした男性は

「女の人に裸見られるの、数ヶ月ぶりだなぁ」

 と感慨深そうにつぶやきながらうれしそうに脱衣する。緊急事態宣言明け早々にハプバーに来る人でも、今日この日まできちんと下心を自粛していたんだなぁとこちらも感慨深くなる。そうこうしてるうちに、他の男性客も次々と脱ぎ出し、女性たちによる品評会が始まった。

 男性たちは女性にも脱ぐよう促すも、しかしあくまで無理強いはしない。それがハプバーでの紳士の嗜みだ。

「アタシ、見てるんで。お兄さんがそっちのお兄さんのチンコしごいてくださいよ!」

 ある女性がそう切り込むと、皆で1人の男性の身体をまさぐるプレイがはじまる場面も。女性客が男性をじっと見つめていると、しごかれている男性の目が恍惚としてくる。そんな様子を見学していると、「お姉さんも、触ってよ……」と言われたが、勇気が出なかった。

 こうして時折「お遊び」に興じながら、ひたすら皆で酒を煽り、猥談を楽しむ。女性陣がどこまで脱ぐのか、男性陣はどこまで脱がせられるのか、攻防戦だ。男性がふざけて全裸のまま女性にまたがることもあり、ますます密とは程遠い。

 そう、自粛前となんら変わりのないハプバーの日常が帰ってきたのだ。

 通常であれば見知らぬ男女のスキンシップもここでは見慣れた光景だが、まだまだ“濃厚接触”がはばかられるこのご時世、女性の顔は笑顔ながら若干の緊張が走っていたような気も……。気づけばさきほどまで行為に及んでいた男女もしれっとした顔でそれぞれ別の席につき、またお酒を飲み直している。

 その、「セックスが当たり前に存在している」空気に、非日常を感じる。

 ……と、ここでタイムアウト。22時、お開きの時間となり、薄暗かった店内が蛍光灯で照らされ、夢から醒めたような瞬間が訪れた。

 この場で知り合った者同士が店外で再度会わないよう、女性と男性は時間差で退場する徹底した管理が最後までなされていた。ソーシャルディスタンスは気にしないけど、ハプバー鉄の掟はしっかり守られる。「もう会わないと思うけど、またね」と裸の男性たちに見送られ、店を後にした。

紳士淑女の集まる場も「ウィズコロナ」で生き残れるのか?

 日本での新型コロナウィルスの感染拡大に大きな影響を及ぼしたと言われている“夜の街クラスター”。入店時の消毒などは多くの飲食店と同じよう丁寧な対応だったが、ハプニングバーという性質上、店内でのソーシャルディスタンス問題のハードルは高く、まだまだ自粛前のように思う存分ハメを外すことのできる場になっているかと言えば難しい。

 ハンプニングバーと聞くと、ただセックスがしたいだけの人間が行き場を失くして集まっているように想像する人も多いかもしれない。

 だが、長くその場所に訪れる人たちは皆一様に紳士、そして淑女で、互いを尊重し合い、自分の趣向を愛し、他人の趣向にも寛大な温かい人たちばかり。彼らは、衛生面への配慮に対しても自己責任だとあくまで自覚しているようだった。

「今日みたいにみんなで飲むことが楽しくてここに来ているというのもあるけど、早く前のように人が戻ってきて女の子たちと入り乱れながら自由にエッチしたいなぁ」

 そうこぼした常連客の笑顔はとても正直だった。

 自粛が明けつつある夜の街。大人の社交場はまだまだ閑散としていたが、徐々に活気が戻ることを期待したい。

バジル二葉(ライター)

東京生まれアングラ育ち。悪そうなやつとだいたい同じ量産型女子。20代。SNSをやってないライター。

ばじるふたば

最終更新:2020/06/05 22:00
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