PTSDに悩む帰還兵が選んだ最後の戦場とは? 米国の暗黒史『ランボー ラスト・ブラッド』
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笑いのない『ホーム・アローン』
第1作が予想外のヒットを記録したことから、『ランボー 怒りの脱出』(85)、『ランボー3 怒りのアフガン』(88)とシリーズ化され、ランボーは無敵のヒーローとなっていく。この2作のランボーは特殊部隊時代の上官・トラウトマン大佐(リチャード・クレンナ)の命令で、再び戦場へと赴いた。20年ぶりとなったシリーズ第4弾『ランボー 最後の戦場』では、「何のために死ぬのかは、自分で決めろ」という台詞と共に、ランボーはミャンマー政府軍との戦いに挑んだ。そして、『ラスト・ブラッド』では自宅を戦場にして、最後の敵を迎え撃つことになる。
物語の序盤、ひとりぼっちだと思っていたランボーが温かい家庭を築いていることに驚く。アリゾナ州の実家に戻ったランボーは、亡くなった父が残した牧場の後を継いだという設定だ。牧場では、旧友のマリア(アドリアナ・バラーサ)とその孫娘のガブリエラ(イヴェット・モンレアル)も一緒に暮らしている。血の繋がりはないが、実の家族以上の信頼関係で結ばれていた。どこにも居場所がないと思っていたランボーが、穏やかに過ごせる場所を見つけたことが感慨深い。
一見すると幸せを手にしたように思えるランボーだが、夜は牧場の地下に張り巡らした暗い坑道の片隅で眠る。まだ戦場での記憶が脳裏に刻まれたままなことが分かる。そんなランボーだが、娘同然に愛情を注いできたガブリエラが大学進学を決めたことを知り、大喜び。しかし、幸せな時間は長くは続かない。ガブリエラは幼い頃に自分を捨てた実の父親に会おうと、単身でメキシコへ。人を疑うことを知らないガブリエラは、人身売買カルテットに拉致されてしまう。ランボーの決死の救出劇が敢行されるが、獲物を奪われたカルテットが黙っているはずがなかった。
年老いたランボーが最後の戦場に選んだのは異郷のジャングルではなく、自宅だった。人里離れた牧場に地雷を埋め、坑道に罠を仕掛け、メキシコから襲来する武装集団を迎え撃つ。ロベール・アンリコ監督の名作『追想』(75)のようでもあり、笑いのない『ホーム・アローン』(90)のようでもある。また、ランボーの生地であるアリゾナ州は、『OK牧場の決斗』(57)など多くの西部劇の舞台としても知られている。
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