歌舞伎町案内人・李小牧が、コロナショックにあえぐ風俗嬢にインタビュー
#李小牧
東京都は2日、都内で新たに34人が新型コロナウイルスに感染していることが確認されるなど感染状況の悪化の兆候が見られるとして、都民に警戒を呼び掛ける「東京アラート 」を発動した。夜の繁華街などへの外出自粛を呼び掛けたが、そこで働く人々への配慮や補償などについては言及していない。
コロナ禍で、とかく「濃厚接触」となりやすい風俗店では客足が途絶えているが、それでも生活の糧を得なければならない風俗嬢たちの多くは、感染への恐怖心を抱えながらも、店の待機室に身を置き続けている。
そのひとり、都内のソープランド店で働くエリさん(21)に、私、歌舞伎町案内人・李小牧がリモートインタビューを試みた。
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李 エリさん、よろしくお願いします。早速ですが、今回の新型コロナウイルスの影響で、エリさん自身にどんな変化がありましたか?
エリさん 2年ほど前から、今のソープ店に週4回出勤しています。コロナの影響で、2月くらいから客足は減り始めました。3月末に外出自粛要請 が発表されて、それと同時にキャバクラや風俗店での集団感染のニュースが報じられてからは、指名してくれていた常連さんもほとんど来なくなってしまいました。正直、私自身、コロナに感染する恐怖心がないわけではないんですが、3歳になる子どももいますし、実家の両親も私の仕送りに頼っている状況なので、店を休むわけにはいかないんです。ただ、一日店にいても、お客さんは2人つくかどうかというレベルです。
李 具体的に、どのくらい給料は減りましたか?
エリさん 以前は、会社員の平均給与の2倍くらいは稼いでいたと思います。買い物や旅行も人並みにできるくらい余裕がありました。それが、コロナの影響で、収入は8割以上減ってしまいました。今は、家賃と食費を賄うのがやっとという感じですね。うちのお店は女の子が30人くらいいるんですが、トップの女の子であっても、常連さんがなかなか戻ってきてくれなくて厳しい状況だと聞きました。
李 生活も厳しくなっている状況で、今後はどのように生活を立て直していく予定ですか?
エリさん まず、両親への仕送りは難しくなると思います。今後は別のアルバイトをすることなども考えていますが、なかなか風俗と両立してできる時間帯のものは見つからなくて……。今は貯金を切り崩して生活していますが、あと3カ月この状況が続けば、貯金も底を尽きます。持続化給付金など、公的機関による給付金や補償金などもひと通り調べましたが、給与所得者として働いている私には 、対象となるものがありませんでした。
李 政府に、何か言いたいことやお願いしたいことはありますか?
エリさん 風俗嬢が金銭的な支援が受けられないのは、私たちの仕事に対して世間で持たれているイメージから、仕方ないところもあると思います。だったらせめて、風俗以外の仕事に就くための就業支援や職業訓練を充実させてほしい。私は、昔から介護士になるのが夢なのですが、例えば介護資格を取るための無料講座が、夜の仕事 をしながら通える時間にあればいいなと思います。資格取得の無料講座はハローワークなどでやっていると思いますが、昼の時間帯ですし、そもそも失業しているときじゃないと受けられないので……。
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臨時休校の影響で仕事を休んだ保護者への休業補償制度が、当初は風俗業を対象外にしていたことからもわかるように、夜の世界が受けたコロナショックに対しては、自己責任論がまかり通っている。しかし、そこに身を置く人々の多くは、自分や家族のため、合法的に働く一人の生活者であり、納税者だ。税金を使った公的支援に、職業差別があっていいものだろうか?
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