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本多圭の「芸能界・今昔・裏・レポート」

『テラスハウス』行き過ぎた“炎上商法”で視聴率を狙ったフジテレビの責任問題

テラスハウス公式サイトより

 人気リアリティ番組『テラスハウス』(フジテレビ系、Netflix)に出演し、5月23日に急逝したプロレスラーの木村花さん(享年22)。アンチ派のSNSによる誹謗中傷に耐えられず、自ら命を絶ったとみられるこの不幸な事件は、社会に衝撃を与え、国会でもSNS規制に向け、法制化が議論される事態に発展した。

 放送・配信を行っていたフジテレビとNetflixが、番組の打ち切りを発表したものの、今後の再開の可能性について含みを残していて、非難の声が上がっている。

 2012年にフジテレビの深夜番組としてスタートした『テラスハウス』は、若い男女6人が共同生活を送る様子を視聴者に届けるリアリティ番組。「番組が用意したのは家と車だけで、台本はない」という設定のもと、当時AKB48に所属していた北原里英や、グラビアアイドルの筧美和子、モデルの今井華らが出演し、業界では“新人タレントの売り出し番組”といわれていた。

「若い男女が共同生活を送るんですから、女性タレントを出すのはリスクがありましたが、露出面を考えると、フジからのオファーは断れませんでした」(芸能プロのマネジャー)

 ただ、フジテレビは“台本はない”と強弁していたものの、ヤラセ疑惑を指摘する声は絶えなかった。

 実際、同番組は14年9月に突然、打ち切りになっている。フジテレビは、その理由を「視聴率が取れなくなったから」と説明していたが、同番組は、深夜にもかかわらず、9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)前後の視聴率を稼ぐこともあった人気企画だった。

「当時、番組の卒業生が次々に“ヤラセ“を告発したんです。それだけでなく、制作を担当しているイースト・エンタテインメントのディレクターが、出演者に対してパワハラやセクハラを行っていたと『週刊文春』(文藝春秋)に報じられた。どう考えても理由はこちらでしょう」(マスコミ関係者)

 いずれにせよ、打ち切りは正解だったと思われたが、ところが、高視聴率に目が眩んだフジテレビは、15年、Netflixと組んで新シリーズをスタートさせた。

「“台本がない”という設定はそのままですが、ネットの書き込みが活発化するような仕掛けをしていく“炎上商法”で視聴率アップを狙っていたのはミエミエでした」(番組制作プロデューサー)

 たしかに、視聴者を刺激して誘導する番組作りは否めなかった。

「女子プロレスをもっと広めたい」との思いを抱いていたという花さんは、昨年9月に『テラスハウス』に入居すると、プロレス同様、他のメンバーの生活態度にキレるというヒール役を買って番組を盛り上げていたとみられているが、それによってアンチ派から連日SNSで100件近い誹謗中傷を受けていたという。

「なかでも、ある男性出演者が、花さんの大切なプロレス衣装を洗濯機で収縮させてしまい、花さんが激怒した“コスチューム事件”をきっかけに、SNSでは花さんに対する誹謗中傷が殺到しました。もちろん、フジテレビはそれを把握していましたが、そんななか、番組の公式YouTubeチャンネルに、この時の未公開シーンを公開したんです。典型的な“炎上商法”で、視聴率アップを狙ったのは明らかでしょう」(前同)

 溢れる誹謗中傷に耐えきれず、命を絶ったとみられる花さん。今回の悲劇が、視聴率至上主義の番組作りによって招かれたことは、火を見るよりも明らかだ。しかも、かつて“ヤラセ疑惑”が指摘され、1度は打ち切った番組を再開したフジテレビの責任は重大。今シーズンの打ち切りだけでなく、社長自ら謝罪して、番組作りを根本から見直し、改善策を打ち出すべきだ。再開云々の議論はその先にあるべきものだろう。

本多圭(ジャーナリスト)

芸能取材歴40年以上、タブー知らずのベテランジャーナリスト。主な著書に『 スキャンダルにまみれた芸能界のトンデモない奴ら』など。

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ほんだけい

最終更新:2020/06/01 22:00
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