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日刊サイゾー トップ > エンタメ > テレビ  > EXITとナイツ、嗜好と世代の異文化交流

若い世代にわかる漫才を心掛けるEXIT、わからない漫才をぶっ放すナイツ

第7世代が凝視する中、少年隊の歌を歌うナイツ

 5月23日放送『ENGEIグランドスラム リモート【離れていても心は一つ!】』(フジテレビ系)でトップバッターを務めたナイツが飛ばしていた。

塙「僕、許せないなと思うのは首都高で何周か回ってタイム競う人いるじゃないですか。危ないでしょ? あの、ルーレットマンでしたっけ」

土屋「ルーレット族だよ。ルーレットマンは昔、『志村けんのだいじょうぶだぁ』で出てきた人間ルーレットするキャラクターだよ。懐かしいな」

 いきなり爆笑してしまった。はっきりと、ここで彼らにつかまれた。「ルーレットマン」なんて何十年ぶりに耳にしただろうか? 司会者席を見ると、ナインティナイン・岡村隆史が顔を横に向けてツボに入ったようなリアクションをしている。一方、隣にいる松岡茉優は見事に愛想笑いだ。

 申し訳ないが、40代以上からすると、このくだらなさは何物にも代えがたい。世の中全員が知っているような前提で、ほぼほぼの人が知らない情報をしれっとぶっ込んでいったナイツ。きっと、彼らは確信犯のはず。これぞ置いてけぼりの笑いだ。

 その後も、ナイツは止まらなかった。「新型コロナウイルスの騒動が収まったらカラオケに行きたい」という話題になり、塙が「あの曲を歌いたい」と選んだのは少年隊の「君だけに」である。令和の時代に昭和62年のヒット曲を堂々とゴールデンタイムで歌い上げる漫才師。第7世代たちがまじまじと見つめているというのに、まったく意に介していない。さらに、米米CLUB「君がいるだけで」、平松愛理「部屋とYシャツと私」、しまいにはラッツ&スターの情報まで盛り込んでいった、日和る気皆無の塙と土屋。

 内容が理解できたとしても、笑えないものはやっぱり笑えない。一方、中堅から離れた客層が明らかになった上で繰り出されたナイツの無茶な漫才はどうか? 20代にはわからないであろう内容をポップな顔してぶっ放していく姿は、余計に笑えた。いくらなんでも、フリが効きすぎている。笑ってしまったのだから、その事実の前にはどんなご託も不毛である。

 世の中が“みんながわかる笑い”ばかりになったら寂しい。各々に細かく突き刺さる“置いてけぼりの笑い”は、これからも残り続けてほしい。そして、時にはそれぞれの趣味嗜好の間で異文化交流ができれば、最高だ。

寺西ジャジューカ(芸能・テレビウォッチャー)

1978年生まれ。得意分野は、芸能、音楽、格闘技、(昔の)プロレス系。『証言UWF』(宝島社)に執筆。

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最終更新:2020/06/08 21:09
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