芸人・ニューヨーク『テラハ』の構造的問題を語る、2月に「弱いものいじめに見える瞬間もある」と指摘していた!
#テラスハウス #お笑い芸人 #ニューヨーク
5月23日、プロレス団体「スターダム」に所属する女子プロレスラーの木村花選手が急逝した。5月25日現在、詳細は明らかになっていないが、多くの人が憤りを覚え、城田優、本田圭佑、ダルビッシュ有ほか著名人たちも、SNSにおける誹謗中傷を批判する呼びかけを行っている。
同時に、アンチの暴走に原因を求めるだけでなく、「番組の演出にも原因があったのではないか」と批難する声もあがってきている。住人たちの恋愛模様を見守る南海キャンディーズ・山里亮太らスタジオコメンテーターたちの発言が、テラハメンバーへのアンチを生み、中傷を加速させたのではないか――というのがその指摘だ。
そんな中、お笑いコンビ・ニューヨークの屋敷裕政が2月の時点で『テラハ』の構造的問題を指摘していたことが一部で話題になっている。
ニューヨークといえば、2019年の『M-1グランプリ』(朝日放送系)決勝に進出した実力派若手芸人だ。屋敷はパーソナリティを務めていたラジオ『ニューヨークのオールナイトニッポン0』(2016~17年)で、当時『テラハ』視聴者に衝撃を与えた「隠れてキス事件」を取り上げて熱弁を振るうなど、筋金入りのファン。19年に始めたYouTubeチャンネル「ニューヨーク Official Channel」でも、たびたび『テラハ』の感想を語っている。屋敷の高い熱量につられて、同番組を観るようになった人も少なくない。
“予言的だ”とされているのは、2月23日にYouTubeで配信された「ニューヨークのニューラジオ #57」後半のくだりだ(60:00~)。
「確定申告の時期じゃないですか」と口火を切った屋敷が、「そろそろ徳井さん、復帰さしていいんじゃないかな?」と、相方・嶋佐和也と同席している構成作家・奥田泰に話しかける。そのまま、以下のように語り出した。
「『テラスハウス』が前から好きやからさ。おもしろいのよ、今Netflixでやってんねんけど。でもなんか、徳井さんがおらんことによって山里さんが、ボロカス言うのよ、いっつも。素人に対して。徳井さんがそれを守りつつ変なこと言って笑いになって、山里さん一人だけ暴走してるなぁ、みたいな感じになんねんけど、今もう山里さんが暴走してめっちゃおもろいから、それに流されてトリンドルさんとかもそっち側について、みんなで暴走してんのよ」
その後も、「『テラスハウス』って今、誰が得すんねん、って番組になってきてるの。みんな叩かれんの」と屋敷の弁は止まらない。2月4日に配信された第32話で、出演者の一人が自身の行動をスタジオメンバーたちに批判され号泣した事件について、
「それを観てる山里さんたちが、さすがにこれはフォローすんのかなって思うたら、『いやいやダメだろ』みたいな。『お前が言ったことなんだから責任とれよ』みたいなスタンスで言うねん」
「本当に今、山里さんも良くないよ。山里さんはボケとして変なこと言うてるって見えたほうがいいやん。ボケる山里さんに『いやいや、あんた一人だけ暴走しすぎやろ、だからモテないんだよ』みたいな感じで言ったらいいのに、今山里さんがメインストリームになってそこに附随してみんなが言うてるから。しんどいのよ」と、芸人らしく「ボケの見え方が良くない」という観点から嘆いた。
その後も「今の『テラスハウス』は良くねぇっすよ。本当に弱いものいじめに見える瞬間もあるし」「出んくなるよ、このままやと。誰も『テラスハウスに』。損するもん。ボロカス言われすぎて」と言い募る。
実は屋敷は、芸人になる前、新卒でテレビ制作会社に就職しADとして働いていた経験の持ち主だ。当時は『ネプリーグ』(フジテレビ)や『ザ!鉄腕!DASH!!』(日本テレビ)に携わり、ADらしい過酷な生活を送っていたという。ニューヨークとしてのテレビ出演回数はまだまだ多いとは言えないが、番組制作のあり方には並の若手芸人より詳しい立場だといえる。
だからこそ、その後奥田に「なんで編集で落とさないんだろうね? すごく悪く見えてるところを」と問われたとき、「盛り上がるからじゃないですか? だから、ちょっとボロカス言わそうとしてる部分もありますよ。編集が。悪く映るように多分してますから、絶対」と答えたのだろう。重ねて、「山里さんは悪くないのよ。もうひとり、山里さんを中和する人がほしいってことで」と、出演者に責を追わせることは良しとしなかった。
徳井の不在による山里の暴走をそのまま放送してしまう制作スタンスが、出演者にマイナスに働いているという屋敷の批判は、今巻き起こっている怒りの声とぴったり重なっている。
『水曜日のダウンタウン』(TBS)の人気を見てもわかるように、“悪意”の笑いが好きな人間は決して少なくない。そして何よりニューヨーク自身も、「偏見がすごい」「悪意にあふれている」と評されるネタでここまで勝ち上がってきた芸人だ。だからこそ、そうした笑いの生み出し方には敏感なのかもしれない(もちろん彼らもそのコントロールに失敗していることは多々ある)。
ニューヨークのこの動画が配信された翌日、徳井の活動再開が発表された。もし屋敷の言う通り、徳井が早々に『テラハ』に復帰していたら……と、あり得たかもしれない未来を考えてしまう。
『テラハ』は現在、放送・配信を休止しているが、打ち切りは免れないだろう。だが番組を畳んで終わりにするのではなく、こうした演出に問題がなかったかどうか、公に問うていく必要がある。
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