リアル記憶喪失は複雑で壮絶！　実録マンガ『交通事故で頭を強打したらどうなるか？』

丸暗記大作戦で無事、大学卒業！

　しかし、理解できないものは理解できない。障害により、単語暗記しかできなくなったハジメさんは、なんと“丸暗記大作戦”で試験を乗り越えることにしたのです。父親やサークルの友人にも助けられ、ギリギリの単位で卒業。重いハンディキャップを負った状態でも、あらゆる手を尽くし決してあきらめない、ものすごい努力です。

　なんとか大学を卒業した後は就職ですが、もちろんそこでも脳障害によって苦難の道を歩むことになるのです。

　就活中の企業説明会で、自分はとても健常者と同レベルで労働する能力はないと悟り、アルバイトをしながら社会復帰へのリハビリをしていくという道を選んだハジメさん。自分のリハビリのためだと割り切って仕事をやる……なかなかできない発想です。

　最初に始めたリサイクルショップの店員は、細かい単純作業ができず、1年半ほどで退職。

　その次は、コミュ力を鍛えるため、あえてネット回線の販売営業にチャレンジ。リハビリのためとはいえ、わざわざ自分の苦手な業種を選ぶというチャレンジスピリットがすごいのですが、ディレクターという立場に昇格した後、複雑になった業務に適応することができず、仕事を干されてしまいます。

　その後、10社以上不採用が続いたりしますが、趣味のWEBマンガ執筆を心の支えに、幾度となく挫折を乗り越えていきます。

「悪いことは考えない、反省もしない！」

　無理にでも自分を肯定するポジティブさ、見習いたいですね。

　そして、コンピューター販売店員やテレフォンアポインターなどを経て、コールセンターのスタッフに。ここでハジメさんの能力は開花することになります。