外ネコ派は要注意! 新型コロナで「ネコからネコへ」の感染確認、しかも無症状
#新型コロナウイルス #ネコ
ペットにネコを飼っている家庭は、新型コロナウイルスに対して十分な注意が必要になりそうだ。
東京大学、米国ウィスコンシン大学、国立国際医療研究センター、国立感染症研究所は5月16日、「ネコが新型コロナウイルスに感染し、ネコ同士で容易に感染伝播する」との研究結果を発表した。
リンク:https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMc2013400
同研究は2匹ずつのネコを入れた飼育箱を3つ(計6匹のネコ)で行われ、各々の飼育箱には1匹にだけ新型コロナウイルスを鼻腔内に接種して感染させて、もう1匹のネコに感染するか鼻腔および直腸から検体を毎日採取して調べた。
新型コロナウイルスを接種したネコからは1日目で3匹中2匹からウイルスが検出され、感染が確認。3日目までには3匹目からもウイルスが検出され、すべての猫に感染が確認された。さらに、5日後には新型コロナウイルスの接種を行わなかった3匹のネコすべてからもウイルスが検出された。
感染した6匹のネコからはウイルスの検出が4~5日間続いたものの、5~6日経過するとウイルスは検出されなくなった。さらに、感染したネコには体温異常、大幅な体重減、結膜炎などの症状は見られず、飼い主が新型コロナウイルスに感染したと認識できるような症状を示さなかった。
この結果、新型コロナウイルスはネコの呼吸器でよく増殖し、接触感染によってネコ同士で容易に感染伝播すること、感染したネコは明らかな症状を示さないことが分かった。
4月6日には米ニューヨーク市のブロンクス動物園で、トラやライオンへの新型コロナウイルス感染が発表され、4月22日にはCDC(米疾病対策センター)がペットのネコ2匹が新型コロナウイルスに感染したことを確認したと発表している。
今のところ新型コロナウイルスがネコから人に感染した事例は報告されていないが、研究報告では、ネコ同士の感染のしやすさ、ネコを媒介とした感染の潜在的な連鎖、ネコがいる世帯の家族間の感染の可能性を考えると、「さらなる調査が必要」としている。
ペットフード協会の全国犬猫飼育調査によると、2019年10月現在のネコの飼育頭数は977万8000頭にも及ぶ。このうち75.6%が室内のみで飼われており、2.8%が屋外で、残りの21.6%が室内と屋外の両方で飼われている。
研究結果報告では、ネコを新型コロナウイルスの感染から守るためにも、ネコを外に出さずに室内で飼育することが必要だと強調している。
厚生労働省では、愛玩動物の衛生管理の徹底に関するガイドラインで、「人と動物が同じ病原体に感染して発症する疾患は動物由来感染症または人獣共通感染症と呼ばれ、そのほとんどは本来動物が保有する病原体が原因となる」としており、「動物由来感染症の予防のため、動物との過度な接触は控えるとともに、普段から動物に接触した後は、手洗いや手指用アルコールでの消毒等を行う」ことを推奨している。
新型コロナウイルスはネコから人への感染はまだ報告例はないというものの、感染することは明らかとなった。ネコが媒介となり、人が新型コロナウイルスに感染するようになれば、ウイルスの封じ込めが一段と難しいものになる可能性もある。ネコの飼い主はぜひ、飼育にあたって新型コロナウイルスへの感染がないように、十分に気を付けていただきたい。
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