自分で自分にガヤを入れる、本木雅弘のひとりひな壇
#テレビ日記 #本木雅弘
テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(5月10~16日)見たテレビの気になる発言をピックアップします。
テレ東・佐久間P「ガヤ芸人が邪魔だっていうのがあります」
新型コロナウイルスの影響で、大きな変化の中にあるテレビ番組。その現状と今後の展望について語り合う『あたらしいテレビ 徹底トーク2020』(NHK総合)が、10日放送された。パネリストは、芸人のフワちゃんや音楽クリエイターのヒャダインなど5人だ。
語られたテーマは多岐にわたる。再放送の再評価、ワイドショーや報道番組の課題、コロナ禍をドラマの表現にどう織り込んでいくか、バラエティ番組の役割は何か、などなど。このタイミングでテレビのどんな課題が露呈したのか? 可能性が見いだされたのか? 何を守り、何を変えていくべきか? 密度の濃いトークが繰り広げられていたように思う。
で、最近多くの番組で取り入れられているリモート収録の話題になったとき、テレビ東京プロデューサーの佐久間宣行が、こんなことを話していた。
「ガヤ芸人が邪魔だっていうのがあります。あんなにスタジオ収録だと助かったガヤ芸人が、リモート収録だと、ただかぶるだけなんで」
なるほど、声がかぶると聞き取りにくいリモート収録では、誰かが話しているときに声を重ねることが難しい。タイムラグもあるので、会話と会話の間にタイミングよく声を挟めなかったりもする。必然、ひな壇バラエティでよく聞かれる“ガヤ”、つまり、誰かが話しているときに周囲から浴びせられるツッコミのような声は邪魔になりやすい。
リモート収録の番組では、正面から捉えた複数の顔を一度に見る。誰かの話を聞いている誰かのリアクションを、同時にいくつも眺めることになる。そのため情報量が視覚的には多いように思えるのだけれど、ガヤが入れにくいという話を踏まえると、聴覚的には情報量が少なくなっているのかもしれない。これまでのバラエティ番組が多声的だったとすると、リモート収録は単声的になりがちなのかもしれない。
だから、特に次のような場面は、しばらく見られないのだろう。16日の『さんまのお笑い向上委員会』(フジテレビ系)。過去の放送が振り返られていたこの日、「OFFガヤ」がフィーチャーされていた。ひな壇に座る芸人たちが、画面に映らないところでボソッ寄せるガヤのことだ。
たとえば、新幹線内でもせわしなく動き回る明石家さんまのモノマネを、中川家の剛がやっているとき。ずん・飯尾は、自席に座ったまま静かにつぶやく。
「生き急いでるなー」
ひな壇というと、その視覚的なゴチャゴチャ感もあって、やかましいイメージがある。けれど、こういう小さな声によっても支えられ、奥行きが生まれている。そんなことに、あらためて気がついた。
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