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日刊サイゾー トップ  > ローソン「アイスバーバスチー」
コンビニ新商品「Tuesday Morning Reviews」#3

「思ってたよりもバスチー」と初日から大反響、ローソン新発売の「アイスバーバスチー」割高でも本家よりは安い!

ローソン公式サイトより

「コンビニの新商品はいつ並ぶのか?――それは火曜の朝である」

 1年間に5000品超の新商品が並んでいる日本のコンビニエンスストア。「バスチー」のように大ヒットするものがある一方で悲しいかな、日の目を浴びずに消えていくものが山ほどあるのもまた現実だ。本コラムでは、火曜朝に発売されるコンビニ新商品を独断と偏見でチェックし、そのポテンシャルを予測。また、ひっそりと消えていくコンビニ新商品を記録しておくのが「Tuuesday Morning Reviews」である。

 なおこのレビューは、流通アナリスト・渡辺広明氏と主夫リーマン・テキパキオ氏の私見たっぷりな辛口対談によってお届けします。

◇ ◇ ◇

渡辺広明(以下渡辺):コンビニでは多くの期間限定アイスが登場します。短いものだと2週間ほどで姿を消すので、「夏のセミみたいだな~」と僕は思っているんです。

テキパキオ(以下パキオ):ウマいこと言いましたね。でも確かにその通りで、よほどのアイスマニアじゃない限り追いかけられないくらい、次々新商品が出てくる。これは製菓業界の人に聞いた話ですが、「ガリガリ君」で知られる赤城乳業は年間に150~180の新商品を投入しているそうです!

渡辺:2日に1商品か。もちろん他のメーカーも新商品を出すわけだし、それでなくても「チョコモナカジャンボ」(森永製菓)や「エッセルスーパーカップ」(明治)などブランド力のある定番アイスも存在している。ということは、ほとんどの新商品アイスは消えていく運命にあると……。

パキオ:めちゃめちゃ厳しいこと言ってますけど、今日はアイスを取り上げるんですよね?

渡辺:そうそう! ローソンの大ヒットスイーツ「バスチー」のアイスバー「ウチカフェ アイスバ―バスチー」(税込み192円)が5月12日に全国発売されたので、まずはこれからチェックしましょう。あ、製造元は赤城乳業でしたね!

パキオ:本家と同じく強烈なイエローのパッケージが目を引くので、売り場でもすぐに見つけられました。焦がしカラメルソースがかかっていて、中のチーズアイスにはアイスクリームならではの濃厚さもあるから「なかなかよく再現されてるな~」と思いました。

渡辺:本家バスチー(税込み215円)より安いのもいい気がする。カロリーも本家より低いし。そして片手で食べられるバータイプのアイスは、現在のスマホ文化とも相性がいい。

パキオ:う~ん、僕はそもそも192円のアイスが高く感じてしまうんですよね。子供のころから【普通のアイス=100円】で育っているから、「チョコモナカジャンボ」がコンビニで税込み151円で売られているのを見るとやっぱり「高い……」って。もちろん「ピノ」も「雪見だいふく」もコンビニだと151円なんですけど、スーパーに行けば安売りされているんですよ。たとえばミニスーパーの「まいばすけっと」だと同じものが税込み106円。値札には税抜き98円と表示されているから、いまだに【普通のアイス=100円】が抜けきらない。

渡辺:さすが主夫リーマン! 価格に敏感だね。実はアイスが高級になっているのはここ数年のトレンドなんです。パキオさんが言っている〝普通のアイス〟で言うと2019年3月、希望小売価格が130円から140円に値上げされています。理由は原料や包装資材の高騰、国内の物流費、人件費の上昇。なかでも冷凍品ならではの物流コスト増が大きかったと言われています。一方で、コンビニではアイスのスイーツ化も同時に起こっていて、消費者の需要も“子どものおやつ”から“自分へのご褒美”へと変化していて、ナショナルブランド(以下、NB)以上にこだわりが細かくなっている。

パキオ:なるほど、コンビニは冬アイスにも力を入れてますもんね。NBだけじゃなく限定品が増えたのも「今しか買えない!」や「ここでしか買えない!」という付加価値をつけて購買を促すということですね。

渡辺:そのとおり。ちなみにコンビニのアイス売り場に陳列されるかどうかの当落線上にいるのが「ピノ」(森永乳業)だと言われていて、NBよりも利益率の高い自社限定アイスと最後のイスを争っています。

パキオ:なんだか古参議員と新人の議席争いみたいに聞こえてきました(笑)。

渡辺:同じく12日に発売されたファミリーマート限定の「明治 THEザクザクアイスバー チョコバナナ味」(税込み140円)はどうでしたか? 僕みたいなオジサンにとってはホームランバーやソーダバーみたいな懐かしさがあって、つい買ってしまいそうだなと思いました。

パキオ:そうですね。口当たりがさっぱりしていますし、こちらのほうがおやつ向けだと感じました。一応、バナナパウダーも入っているようですが、昔ながらのバナナ感っていいですよね。ファミマ限定で言うと「たべる牧場ミルク」(税込み198円、赤城乳業)シリーズはかなりヒットした部類に入りますよね。

渡辺:SNSでもよく見かけるね。パッケージの「うし」がカワイイとウケてるし、アレンジメニューなんかもアップされている。今はファミマ限定だけど、実は「たべる牧場ミルク」はもともとサークルKサンクスが2007年4月に限定商品として販売していたんです。それをファミマがリニューアルして、17年10月からファミマのオリジナル商品となっているんです。

パキオ:お~、サークルKサンクスから受け継がれたオリジナルブランドだと思うと胸が熱くなる。それにしても、10年後にヒットすることもあるんだから不思議なもんですね。

渡辺:それが商品開発の面白いところですよ。面白いアイスを探すならコンビニ、定番を楽しみたいならスーパー。値段も含めて今は住みわけがハッキリしていると言えるでしょう。

【今日のまとめ】

・コンビニのアイスは「おやつ」というよりもはや「スイーツ」

・コンビニのアイスはいつの間にか150円超が当たり前になった

・コンビニのアイス売り場で定位置を確保するのは激ムズ

渡辺広明(流通ジャーナリスト)

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浜松市出身。2児の父。マーケティングアナリスト、日本唯一の流通アナリスト、コンビニ評論家、流通ジャーナリスト、約730品の商品開発に携わるマーケター、元コンビニバイヤー、元コンビニ店長、現コンビニアルバイター、「浜松市やらまいか大使」(観光大使)など、さまざまな顔を持つ。フジテレビ『Live Newsα』レギュラーコメンテーター『ホンマでっか⁉TV』レギュラー評論家として活躍する他、スポーツ紙「東京スポーツ」に連載を持ち、ニュース・ワイドショー・新聞・週刊誌・ラジオなどのコメント・講演会・アドバイザリー・顧問業などでも幅広く活動中。趣味は「ドラゴンズ熱烈応援」「時折フルマラソン」「発展途上国の教育支援(ガーナ・ラオス)」。著書に『コンビニが日本から消えたなら』(KKベストセラーズ)

わたなべひろあき

テキパキオ(ライター)

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都内に住む30代サラリーマン。小学生のとき、母親の手伝いで料理に目覚め、兄の夜食を作るようになる。大学時代にはカジュアルイタリアンの厨房でアルバイト。就職後は自炊することがなかったが、3年前にアーティストとして働く妻と結婚して家事全般を担当。猛スピードで掃除洗濯をこなす様子から妻に「テキパキオ」と名付けられる。PB食品の食べ比べがスーパーの売り場徘徊が趣味。蛇口とシンクを磨くのが好きで、行きつけの飲み屋の閉店作業に加わりがち。

Twitter:@@tekipakio

てきぱきお

最終更新:2020/05/18 10:00
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