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日刊サイゾー トップ > 社会  > 壮絶DVからの回復、カギは?
「モラハラのトリセツ」第10回

夫は逮捕され、妻はシェルターに避難……同級生夫婦が壮絶DVから回復するまで(後編)

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※前編はこちらから

 結婚後、本格的なDVが始まってしまったKさんとHさん夫妻。夫・Kさんの暴力で妻・Hさんは鼻を骨折。警察が介入し、Kさんは逮捕され、Hさんはシェルターに入ることとなりました。

 公的な支援やカウンセリングを受ける中で、「DVは絶対に治らないから、別れるしかない」という言葉にどうにも納得できなかったHさんは、加害者の話も丁寧に聞いてくれるという民間の脱暴力ワークに出会い、実際に参加してみることにしました。

 脱暴力ワークとは、DVやモラハラの加害者も被害者も、男女関係なく集まる当事者会で、それぞれが心に抱えた傷を癒やし、自分の価値観を語り、相手の価値観に耳を傾け、DVをしない、受けないためのコミュニケーションを身につけていく場所です。

 Hさんは脱暴力ワークに、当時まだ1歳だったお子さんを連れてやってきました。自己肯定感がゼロに近く、なかなか自分を語るということができなかったHさん。

「子連れだということも最初は後ろめたく、自分はこの場になんの貢献もしていないのに、なんでみんな話を聞いて、温かく受け入れてくれるのか、意味がわからなかった」

と振り返ります。

 そんな中でもHさんは居心地の良さを感じ、月1回のグループワークへの参加を継続していきます。

 Hさんは、ぽつりぽつりと自分のことを語り始めました。Hさんが生まれ育った家族でもDVがあり、酒を飲んで暴れる父親から殴られ、母親からも蹴られ、両親から暴力を受けていたHさん。そんな親からは「結婚する時は婿養子を取れ」「家から出ることは許さない」などのパワーコントロールを受け続けていたそうです。

 暴力とは無縁の家庭で育った人にはなかなかイメージしづらいと思いますが、Hさんにとって、家庭内暴力は「普通のこと」でした。

 そんな親との関係の中で自己肯定感が育たなかったHさんは、「親よりも暴力の程度がマシ」という理由でKさんを選びました。また、とにかく子どもが欲しかったという理由もありました。

 グループワークの仲間たちは、それを否定することなく、ただ聞いてくれます。

 その後、Hさんは拘置所から出たKさんに、子どもへの面会と再同居の条件としてグループワークへの参加を促し、Kさんもそれを承諾しました。

 こうして何度かグループワークに参加するうちに、Kさんも自分のことを少しずつ語り始め、ほかの参加者の話にも耳を傾けるようになりました。そんな変化を間近で見ていたHさんは、再同居を決意します。僕の目にも、Kさんは順調に立ち直りつつあるように見えました。

 しかし再同居後、次第にグループワークからKさんの足は遠のき、Hさんとお子さんのみ参加するという状況が続きます。そしてまた、暴力が再発してしまいます。

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