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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 伊集院光も踊らされる『M』
テレビウォッチャー飲用てれびの「テレビ日記」

伊集院光も踊らされる『M 愛すべき人がいて』というワニワニパニック

伊集院光「こうやってちゃかしてると、ちゃかさせられてるのかな監督にっていう」

テレビ朝日『M 愛すべき人がいて』

 コロナ禍でさまざまな対応が求められる中、収録の継続が難しいドラマ枠は、放送延期や過去のドラマの再放送へと差し替えられている。今は順調に放送されているNHKの大河ドラマや朝ドラも、そのうちストック切れが起きるといわれている。

 そんな中、9日のドラマ『M 愛すべき人がいて』(テレビ朝日系)が再放送となった。第3話までは順調に放送されていたものの、撮影スケジュールの遅れのため、第1話が改めて放送される運びとなったのだ。

 同作は、浜崎あゆみが”平成の歌姫”となるまでの出会いと別れを描いたドラマ。ジャンルとしてはラブストーリーになるのだろう。浜崎がモデルのアユと、現エイベックス会長の松浦勝人氏がモデルのマサの関係を中心に物語は進む。

 もちろん、そのラブストーリーの部分を楽しんでいる視聴者もいると思う。ただ、SNSを中心に、ネットでは別の楽しみ方がなされている。アユの棒読みのセリフだったり、マサのクサいセリフだったり、脇を固める俳優の演技のアクの強さだったり、奇天烈なストーリー展開や演出だったり――。そんな「ここをツッコんでください」と言わんばかりのわかりやすいツッコミポイントに、ツッコミを入れながら見る。そんな楽しみ方である。次から次へとツッコミどころが飛び出してくる様子は、なんだかクレー射撃かワニワニパニックのようでもある。

 そうやって楽しまれてきた同作の第1話が、改めて放送された。ただの再放送ではなく、伊集院光と古市憲寿の副音声付きで。

 伊集院は第1話の放送当初からラジオでツッコミを入れていた。古市も早くからSNSで同作に言及してきたし、何より90年代のJ-POP、中でも浜崎あゆみのへの愛着を幾度かメディアで語ってきた。そんな2人のそれぞれの視点が掛け合わされることで、ドラマはさらに奥行き深いものとなった。奥行きを作ってどうするという話もあるが。

 たとえば、第1話の冒頭、アユが海を見ながら「あの日も海を見ていたな……」と棒読みでつぶやくシーンで、古市は言う。

「いわゆる普通のドラマじゃなくて、『仰天ニュース』の再現ドラマみたいな、ああいう感じですって宣言された気持ちですよね」

 これに、伊集院がコメントを重ねる。

「これが『仰天ニュース』『アンビリーバボー』あるいは最終的に青汁のCMになるんじゃないかっていう”香ばしさ”なんですよね」

『ザ!世界仰天ニュース』(日本テレビ系)『奇跡体験!アンビリバボー』(フジテレビ系)の再現ドラマや、青汁のCMへと通じる香ばしさ。このドラマの特徴を、これほどまで的確に捉えた表現はないだろう。

 2人のツッコミは放送中ずっとさえ渡る。それを聞き、何度も膝を打つ。そして、そんな秀逸なツッコミをメインに再放送を楽しんでいる自分に気づいてしまうのだ。もはやどちらが本編でどちらが付録なのかがわからない。両A面のような。いや、両B面のような。

 もちろん、伊集院はこう付け加えるのも忘れない。

「こうやってちゃかしてると、ちゃかさせられてるのかな監督に、っていう」

 制作者側の手のひらで踊らされてる感。ワニワニパニックを無理やりやらされてる感。そんな感覚が残ってしまうのは否めない。いや、面白いのは確かなのだけれど。

 今後も同作は、何度か再放送があるのではないかと思う。そのときはまた、副音声を付けてはくれないだろうか。伊集院らも言っていたけれど、モデルとなった浜崎・松浦両人の副音声も聞いてみたい。田中みな実バージョンも聞いてみたい。

 全然関係ない人でもいい。フワちゃんに「え、意味わかんないんだけど」とかバッサリ言ってほしい。そうやっていっそのこと、ワニワニパニックの電源を抜いてほしい。

飲用てれび(テレビウォッチャー)

関西在住のテレビウォッチャー。

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いんようてれび

最終更新:2021/09/21 10:38
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