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日刊サイゾー トップ > その他  > 亀梨和也「僕らってこういうことやっちゃダメな部類」
【wezzy】

亀梨和也インスタライブで「僕らってこういうことやっちゃダメな部類にいた」ジャニーズの急激な変化

 4月29日、山下智久とKAT-TUN亀梨和也のインスタライブが話題をさらった。山下の公式Instagramで配信し、亀梨がゲスト出演した形だが、亀梨は<僕らってこういうことやっちゃダメな部類にいたじゃん。だからやりたくならないように、興味を持たないようにしてた>と発言したのだ。

 確かに亀梨和也は「こういうこと(インターネットを使った生配信)」をやってはいけない部類のタレントだった。可否を判断するのは所属する芸能プロダクション、つまりジャニーズ事務所である。ジャニーズ事務所は一貫してインターネットを使った無料のコンテンツ発信に否定的であり、所属タレントのブログなども有料ファンクラブ会員に限定してきた。

 だが、2019年5月になってようやく山下がInstagramのアカウントを開設。ジャニーズ事務所所属のタレントがInstagramを開設するのはこれが初めてで、すでにTwitterやInstagramなどのSNSを通じて芸能人がファンとコミュニケーションをとることが主流になって久しい時期だった。

 そうしたジャニーズ事務所のネット戦略に、KinKi Kidsの堂本光一は苦言を呈していた。「日経エンタテインメント!」(日経BP社)2017年4月号の連載エッセイで、<個人的な本音としてはもう、配信は絶対積極的にやるべきだと思ってるんです。ただ、うちの事務所はネットに対して非常にお堅いので、ここは僕と意見が分かれるところなんですけど>と、事務所の方針に不満を漏らしていたのだ。

 しかし2018年9月に表舞台を引退した滝沢秀明がスタッフとして入って以降、ジャニーズ事務所は大きく変化している。まず2019年11月、嵐がTwitter、Instagram、Facebook、TikTok、Weiboのアカウントを開設し、Apple MusicやSpotifyなどの定額制音楽配信サービスに全シングルを配信。2020年2月にはアルバムの配信も開始している。

 今年3月以降は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に伴って公式YouTubeチャンネルの更新を活発化。無観客で行ったコンサートの模様、手洗いや家事のやり方を教える動画などオリジナルコンテンツを続々配信し、嵐、関ジャニ∞、King & Princeなど、事務所の主要なタレントはほぼ全員がこれらの企画に参加している。

 5月6日にはV6のミュージックビデオ計66本がYouTubeで公式に見られるようになった。こうした動きは今後も加速していくだろう。

 ジャニーズは巧みなメディアコントロールのみならず、コンサートや舞台を通してアイドルとファンの絆を強めることで規模を拡大してきた。しかしコロナ禍ではそうしたイベントを延期・中止せざるを得ず、大規模イベントを再び行うことができる日がどれだけ先になるか、現時点では予想もつかない。

 止むに止まれぬ事情は、ネット進出を加速させた。堂本光一の「日経エンタテインメント!」連載での発言を先に引用したが、2020年5月号でも光一はこのことに触れている。

 堂本光一は主演舞台『Endless SHOCK』が休演になったことを受けて、出演者が参加するインスタライブを配信したうえ、3月22日には『Endless SHOCK』の全編をInstagramで配信した。

 スタッフがステージのすぐそばからスマホで動画撮影した生配信は計2時間以上に及び、視聴者は6万人超え。フライング場面では光一自身がスマホを手に持ち、視聴者が光一に抱かれて一緒に宙を舞っているかのような臨場感あふれる映像が届けられた。

<休演してから何度かやったインスタライブもこうした事態でなければやってなかったことです。読者の方は「いやいや、インスタライブぐらいすぐできるでしょう」って思うかもしれませんが、そもそもやることを常識としていないのがうちの事務所なので、すんなり許可が降りたわけではないんですよ(笑)。でも今じゃなきゃ意味がないことがいっぱいあると思ったので、社長に直訴したら、その場で快諾してくれました>

 すんなり許可が出たわけではないとはいえ、3年前とは明らかに事務所の姿勢が変化していることが読み取れる。

ジャニーズが男性アイドル市場を独占する時代は終わった
 コロナ以前から、ジャニーズ事務所は変革の時を迎えつつあった。2016年12月31日付のSMAP解散以降、ジャニーズ事務所は主力タレントのグループ活動休止や、退所が相次いでいる。

 渋谷すばる・錦戸亮(関ジャニ∞)、山口達也(TOKIO)、今井翼(タッキー&翼)など、グループからの脱退および事務所退所が続出。長瀬智也など先々に退所するのではないかと噂されるタレントもいる。2020年いっぱいで嵐もグループとしての活動は休止だ。

 しかし中堅~若手で、SMAPや嵐のような規模の国民的人気を獲得するグループはまだ誕生したとは言えない。残念ながらHey! Say! JUMPやKis-My-Ft2は、老若男女誰もがメンバー全員の顔や名前、曲を知っているグループにはまだなっていないだろう。もちろん時代の変化、テレビの影響力低下とチャンネルの多角化は大きな要因だが、テレビ業界におけるジャニーズアイドルというブランドの貧弱化は如何ともし難い状況だ。

 同時にLDHなど、アイドルという枠組みではないものの複数の男性グループが躍進。K-POPの台頭も目覚ましく、いまやアジアのみならず世界を代表する男性グループとなったBTSの世界ツアー日本公演(コロナの影響で延期)は、福岡PayPayドーム2日間、京セラドーム大阪6日間、メットライフドーム(旧:西武ドーム)2日間、東京ドーム2日間という、合計50万人近くを動員する凄まじい規模を予定していたほどだ。

 オーディション番組『PRODUCE 101 JAPAN』(TBS、GYAO!)から生まれた男性アイドルグループ・JO1も勢いがある。デビューシングル「PROTOSTAR」がオリコン週間シングルランキング(3月16日付)で32.7万枚の売上を記録し1位を獲得。今年1月にパシフィコ横浜国立大ホールで行われたファンミーティングもチケット入手困難な人気公演となった。

 日本の男性アイドル市場をジャニーズ事務所所属タレントが独占していた時代は、すでに過去となりつつある。これをジャニーズ帝国の崩壊などと煽る向きもあるが、決して悲観するようなことではないだろう。独占的な支配は、理不尽な圧力と排他性も伴っていた。少なくともこれが改められることは、業界にとって是だ。

 多種多様なグループがそれぞれに切磋琢磨し、よりよい表現を模索することは業界の繁栄につながっていくはず。群雄割拠の時代が楽しみだ。

最終更新:2020/05/11 05:30
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