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日刊サイゾー トップ > インタビュー  > DJ HASEBE語る志村けん

志村けんがソウルバーでガチの音楽トークを… DJ HASEBEが明かす、幻の音楽番組制作秘話

DJ HASEBE

 志村けんが逝去してから1カ月以上が経っても、テレビ業界をはじめ、一般層にも広がる志村ロス。同氏の訃報が届いた翌日、DJ/プロデューサーとして知られるDJ HASEBEが「自分の音楽の話を聞いていただけたこと、師匠の音楽の話を聞けたこと、本当に嬉しかった」と2人で写る写真をインスタにアップした。

 無類の音楽好きとしても知られる志村けんと、お笑いという分野とは、ある種、疎遠でもあるかのようなDJ HASEBEは、いかにして出会い、どのような音楽の話に花を咲かせたのか。

◇ ◇ ◇

――3月30日、HASEBEさんは自身のインスタに「志村けんさん、師匠から頂いたお言葉、一生忘れません」と、2ショットの写真をアップされていましたが、音楽的なつながりから親交があったのでしょうか?

HASEBE 友人が経営する飲食店に志村さんが通っていて、その友人が「私の友達がヒップホップのDJ/プロデューサーをやっている」と、僕の作品を志村さんに渡してくれたことがきっかけです。志村さんもブラックミュージックが好きだと聞いていたので、友人が気を利かせてくれた形ですね。ある日、「今、志村さんがお店に来てるから遊びに来ない?」と連絡があって、2016年くらいですかね、そこで初めてごあいさつしました。

――志村さんに抱いていたイメージというのは?

HASEBE 志村さんが『8時だョ! 全員集合』(TBS系)に出て活躍しているのをリアルタイムで見ていたドンピシャ世代なので、当時はとにかく腹を抱えてバカみたいに笑っていました。笑いという分野では、一番影響を受けた大スターですね。

――HASEBEさんは「お笑い」とは疎遠のようなキャラクターだと思っていたので意外な一面ですね。

HASEBE 特に大笑いしたのが鏡のネタです。半身だけ鏡に映して動くあのネタ。自分で実演してみて呼吸困難になるくらい笑いましたもん。その衝撃的な思い出を志村さんに酒の席で話すことができたのは、本当に幸せでしたね。

――その思い出を語ると同時に、お酒の席で音楽の話で盛り上がったと聞いていますが、どのような話を?

HASEBE 志村さんから、70年代に米軍基地のバーでバイトをしていて、そこでソウルミュージックにすごくハマったという話を聞いたんです。それがきっかけで「僕はヒップホップをメインとしたDJ/プロデューサーとして活動をしていて」とか自分の音楽の話をしたり、「昔の深夜帯は音楽的に刺激の強い番組が多かったですよね」って話をしたら、志村さんが「確かに面白い番組、やりたいね」って言ってくださって。

「場所はいなたいソウルバー。僕がバーカンの奥にあるDJブースで選曲を担当。志村さんが毎週ゲストを呼んで音楽をメインにトークする番組とかどうですか?」って提案したんです。それから数週間して、友人のお店に飲みに行ったら、「志村さん、こないだのHASEBEのアイデア、テレビ局のプロデューサーに話をしたみたいだよ」って言われて。結局、形になることはなかったけど、志村さんとそんな話をできたことが幸せでしたね。あまりに緊張して聞けなかったんですが、「どんなヒップホップが好きですか?」とか、いろいろ聞けばよかったなと後悔しています。

――志村さんが音楽に対する造詣が深いことは、広く知られていますが、HASEBEさん自身が面と向かって話して感じた点などはありましたか?

HASEBE 毎回酔っ払ってしまうんで記憶が曖昧なんですけど……(苦笑)、音楽の話というよりは、志村さんの芸に対する哲学やロジック、こだわりをすごく感じました。インスタにアップした写真は、『志村魂』を見に行かせてもらったときのものなんですが、そもそも僕自身、あまり舞台を見るのが苦手だったんです。でも、志村さんの舞台は、僕みたいなド素人が見ても構成やこだわり、面白さが伝わってきた。志村さんが亡くなったとき、ふとその時の感覚が蘇ってきたんです。コロナの影響でDJの仕事も極端に減った今、自分は何かに甘え、あぐらをかいていたんじゃないかなとか思わされて。

 今、自宅からインスタライブでDJプレイを配信しているんですけど、その部屋の雰囲気は、さっき話した「いなたいソウルバーのバーカン奥でDJをする自分」というのをイメージしているんです。たった数回、お酒の席でご一緒しただけではありますが、常にフレッシュであり続けないといけないことを改めて思わされたし、志村さんのような密度の濃い人生を送るのは難しい年齢ですけど、今からでも遅くないはずと、志村さんに教えていただいたような気がします。

DJ HASEBE

DJ/サウンド・プロデューサー。1990年よりDJとして活動をスタート。1998年にSugar Soul & Zeebraを迎えた「今すぐ欲しい」収録のミニ・アルバム「adore」をリリースし、その名を世に広める。以降、多くのアーティストのリミックスやプロデュースを手がけ、2018年にはOLD NICK名義でのファーストアルバム『natsuco』もリリース。昨年はラッパーのSALUとシンガーのSIRUPを客演に迎えた新曲「Midnight Dreamin’」が話題になるなど、キャリア30周年を迎え多方面で活躍中。Twitter〈@djhasebe〉Instagram〈@oldnick

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最終更新:2020/05/07 18:06
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