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コロナ禍で“非接触”アイドルが急増中! オンラインサイン会にZOOMファンミーティング…アイドルビジネスの命運は?

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Getty Images

 2000年代後半にAKB48がブレイクし、アイドルは必ずしもテレビの向こう側にいるものではなく、ファンの側から“会いに行ける”存在となった。今やこうしたアイドルの在り方は当たり前のものになっていて、メディアに露出しないライブアイドルや地下アイドルの世界においても、ライブの前後に実施される“特典会”(グッズ販売や握手会、写真の撮影会など)ではファンとの接触イベントが盛んに行われている。ファンの楽しみのひとつであることはもちろん、アイドル側にとっても大きな収入源だ。

 しかし、新型コロナウイルスの感染拡大により、アイドルのライブや握手会、イベントは次々と中止が決定。いまやファンとアイドルが近距離で交流できる機会はほぼゼロになってしまっている。

 そんななか、一部のアイドルはファンとの“非接触”イベントに活路を見出だそうとしているようだ。無観客ライブをネット生配信したり、オンライン握手会やサイン会、Web会議サービス「Zoom」を使ってファンミーティングを開いたりという活動が活発化。コロナ禍に直面したことで、アイドルとファンの間には、新たな距離感が生まれつつあるようだ。

 こうした“非接触”アイドルビジネスの狙いや課題点について、アイドル専門ライターの岡島紳士氏は次のように語る。

「アイドルと一口にいっても活動や運営形態はさまざまですが、もともとライブの特典会でしっかり稼げるような規模感のグループは、それだけで暮らしていける給料を事務所がメンバーに払っているケースもあるでしょう。新型コロナが原因でライブができなくなってしまっても、給料の支払いを続ける必要があるとなれば、事務所は有料のライブ&トーク配信やオンライン特典会のようなイベントを強化せざるを得ないですよね。

 もちろんアイドル本人も、何もせずに家にずっといるのは苦しいはず。何かしら表現したい、動きたいという欲求を満たすため、今できることをやる。その選択肢のなかに有料配信やオンライン特典会があり、アイドルとファンにとっては、この状況下でも“応援されている・している”という関係性を確認することにもつながっているのではないでしょうか」(岡島氏)

 とはいえ、今後、オンライン特典会のようなアイドルビジネスが盛んになるかというと、そこには疑問符がつくようだ。

「有料配信やオンライン特典会は、今まで面倒だと思っていたアイドルがこれを機に始めて、『たまにやってみるのもいいかな?』と思うことで、多少は増えていくかもしれません。それはそれで、ライブアイドルとはまた違ったアイドル活動の形なのだと思います。

 ただ、そもそも有料配信やオンライン特典会は、もともとある程度のファンを抱えているアイドルだからこそ成立するもの。これからファンの数を伸ばしていこうとしているアイドルにとっては、大した実入りがないでしょう。

 アイドルは他のグループとの合同ライブやフェスに出演することも多いですが、それはライブ自体が、自分たちを知ってもらうための一種のプロモーションになっているからです。グループ単体での有料配信やオンライン特典会はプロモーションというよりも、既存ファンへのサービスに近いということですね」(岡島氏)

アイドル受難の時代――これからどうなる?

 一方で、岡島氏は「今はアイドル業界にとって、間違いなくターニングポイントになります」と語る。

「“非接触”で行われているサービスのなかには、それ一本で収益の柱になり得るものは今のところ出てきていないでしょう。新しいアイデアがこれから生まれる可能性もありますが、コロナによる自粛期間が長引けば長引くほど、オンライン特典会のようなビジネスは先細りになっていきそうです。

 この現状が続けば、ライブのチケット代や特典会の売り上げでは運営費を回していけなくなります。運営の持ち出しで曲やミュージックビデオを作り、それを世に出して評価を得る――そういうアーティスト的な売り方ができるアイドルしか、もはや残っていきようがないのかもしれません」(岡島氏)

 コロナによって不意に訪れた試練を、アイドルたちはどう乗り越えていくのか。“非接触”アイドルの在り方をめぐる試行錯誤は、まだ始まったばかりなのだろう。

岡島紳士(おかじま・しんし)

1980年生まれ。アイドル専門ライター。ガールズカルチャーメディア『VIDEOTHINK』主宰。著書・共著に『グループアイドル進化論』(マイナビ出版)や『AKB48最強考察』(晋遊舎)などがある。Twitter:@ok_jm

(文=A4studio)

最終更新:2020/05/07 14:00
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