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日刊サイゾー トップ > カルチャー  > 「オネエことば」翻訳の違和感【2】

この訳は問題か?――差別語の翻訳の難しさとは

この訳は問題か?――差別語の翻訳の難しさとはの画像1
『最新 差別語・不快語』(にんげん出版)

※「オネエことば」翻訳の違和感【1】——『クィア・アイ』とゲイと女言葉翻訳の問題

 今の時代、「ホモ」「レズ」といった言葉が侮蔑語にあたる……ということは多くの人が認識しているだろう。だが洋画や海外ドラマの字幕では、字数節約のためか、レズビアンを「レズ」、ホモセクシュアルを「ホモ」と訳してしまうなどして、非難を浴びるケースが時々ある。「当事者からすれば、映画やドラマの役で保守的な人が差別用語として使うときなどを除けば、100%アウトと言いたい訳語です」とよしひろ氏。今井氏も同様の指摘をしつつ、「レズビアンも短くするなら『ビアン』と訳すべきですね。ただ、『ビアン』だと通じない人が多いのも悩みどころです」と続ける。

『クィア・アイ』では、一般的には「同性愛嫌悪」などの訳語があてられる「ホモフォビア(Homophobia)」を「ホモ嫌い」という訳語があてられており、批判をする人もいたが、よしひろ氏は「問題のない訳語なのでは」と話す。

「私たちみたいな当事者で、人権活動のことも見知っている人は『フォビア』と言われただけで通じるけど、それじゃピンとこないでしょ? 『同性愛嫌悪』でもわからない人が多いと思うし、『ゲイ嫌い』だとレズビアンが除外されてしまう。訳した人もいろんな可能性を考えた上で、この訳を選んだはずです」(よしひろ氏)

 こうした背景を知ると、侮蔑語や差別用語が字幕に出てきただけで「この訳は問題だ!」と騒ぐ気もなくなるだろう。違和感のある訳語が出てきた場合は、「どうしてこの訳が選ばれたのか」と想像すると、また新しい発見があるはずだ。

「サイゾー」2019年11月号より

最終更新:2020/05/06 03:32
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