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トランプ大統領も踊らされる新型コロナのデマ…「中国の生物兵器」と陰謀論を唱える人々の思惑

ドナルド・トランプ米大統領

 新型コロナウイルスによる、地球規模のパンデミックという未曾有の事態に見舞われている現在。各国で感染が続く非常事態において、この不安につけ込むように、さまざまなフェイクニュースや陰謀論が飛び交っている。ここでは、これまで日刊サイゾーをはじめ、各媒体が指摘した、陰謀やデマを紹介していこう。

新型コロナ生物兵器説に踊らされないために…陸自特殊武器専門家が解説する「生物兵器の常識」(https://www.cyzo.com/2020/03/post_234696_entry.html)

「新型コロナウイルスは中国がつくった生物兵器なのではないか……」

 感染拡大初期からこんな流言が世界中を駆け巡っており、アメリカ・FOXニュースでもこの疑念が報道された。さらに、これまでさんざんフェイクニュースを撒き散らしてきたトランプ大統領も4月末に「新型ウイルスが中国の研究所から発生したという証拠を情報機関から得た」と発言しているが、国家情報長官室は大統領のこの見解を即座に否定した。
 
 そんな世界を駆け巡る陰謀論を、生物兵器の観点から取り上げたこの記事では、陸上自衛隊特殊武器防護隊に話を聞いた。

 取材したこの関係者は、新型コロナウイルスを「生物兵器の可能性は限りなく小さい」と断言。敵味方の区別なく感染を引き起こし、ワクチンも開発されていないことから、新型コロナウイルスを兵器として撒き散らした場合、味方にも甚大な被害を及ぼしてしまう。また、致死率も低いために「兵器としてはまったくの役不足」だという。

 これに対して、アメリカ疾病予防管理センターが生物兵器に使用される可能性があると指摘する炭疽菌は、致死率90%という破壊力を持ちながらヒトからヒトへの感染をしない、抗生物質の治療が有効という特性を持ち、生物兵器として用いるに好都合な要件を備えている。

「生物兵器の常識」を前提とすれば、「新型コロナウイルスは生物兵器」という陰謀論に巻き込まれずに済むのだ。

自民党コロナ対策本部がヤバイ! 青山繁晴、杉田水脈らネトウヨ議員だらけ、中国人入国拒否、殺菌スプレー、細菌兵器説を本気で主張(https://lite-ra.com/2020/02/post-5262_2.html)

 だが、そんな陰謀論に踊らされているのは、海の向こうの大統領ばかりではない。日本では、ネット右翼からの信頼が厚い青山繁晴議員がこの陰謀論を拡散した。

 2月10日放送の『真相深入り! 虎ノ門ニュース』(DHCテレビ)において、「まだわかりませんよ」と前置きしながら、新型コロナウイルスが生物兵器である可能性について言及。SARSと似ている今回のウイルスを「SARSを使って兵器化したという可能性は考えなきゃいけない」と話している。

 自民党新型コロナウイルス関連肺炎対策本部の一員である青山繁晴議員だが彼は、この新型コロナウイルスによる感染症を「武漢熱」と呼んでいる。このほかにも、自民党の山田宏参院議員が「武漢肺炎」、麻生財務相も「武漢ウイルス」と呼んでいるが、これは、差別や偏見を防ぐために病名に国名・地域名は避けるべきというWHOの指針を無視した発言。

 パンデミックが引き起こした緊急事態は、政治家たちの資質を明らかにするようだ。

詐欺の片棒を担いでいる!? 中部大、「あおさがコロナウイルスに抑制効果」の発表に批判殺到(https://www.cyzo.com/2020/02/post_232561_entry.html)

 日本でも新型コロナウイルスの感染が拡大しつつあった2月下旬、中部大学が「海藻の「あおさ」にヒトコロナウイルス増殖抑制効果を確認 ─新型コロナウイルスでの効果にも期待─」というリリースを発表したことが世間を騒がせた。

 この研究は、中部大学・生命健康科学部の河原敏男教授と工学研究科の林京子客員教授、そして、化学薬品メーカー「江南化工株式会社」とアオサの健康効果を研究する「ラムナン研究所」の共同研究によるもの。

 リリースによれば、「アオサに含まれるラムナン硫酸によるヒトコロナウイルスを含む、各種ウイルスの増殖抑制に効果が確認された」とされているが、この研究はA型インフルエンザウイルスに対して行われたもの。新型コロナウイルスに対しては「効果があると期待している」と述べているにとどまっているが、「ミスリード」と批判されてもおかしくない記述だろう。

 この発表が広まり「新型コロナウイルスに効果がある」と受け取られると、スーパーではアオサを購入する人が続出。さらに、メルカリでもアオサの出品数が急増した。中部大学側は慌ててこのリリースを削除するも、アオサの買い占めは止まらず、加工海苔メーカー「大森屋」の株も一時急上昇した。

 また、研究チームの一員である江南化工株式会社では、アオサ(ラムサン硫酸)のサプリメントを販売しており、利益相反があるとして、信頼性に疑問を投げかける声も上がっている。

 このほかにも、アメリカ起源説や、ワクチン接種の普及に取り組んできたビル・ゲイツ財団による陰謀なのではないかという説、あるいは5G技術が原因ではないかという珍説までもが飛び出している新型コロナウイルスを巡るデマや陰謀論。

 不安を解消するために藁にもすがりたい気持ちを持つのはやむを得ないが、リツイートを押す前に、一歩立ち止まって情報の正しさを考えてみる必要があるだろう。

萩原雄太(演出家・劇作家・ライター)

演出家・劇作家・フリーライター。演劇カンパニー「かもめマシーン」主宰。舞台芸術を中心に、アート、カルチャー系の記事を執筆。

Twitter:@hgwryt

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はぎわらゆうた

最終更新:2020/05/04 12:05
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