「続編」こそ映画の華!(?)ジェームズ・キャメロンは”2映画”の大巨匠だ【自粛中だから見たい景気がいい映画3選】
#映画 #ジェームズ・キャメロン #エイリアン #男たちの挽歌 #トランスフォーマー #加藤よしき
『男たちの挽歌2』はヴァイオレンスのお祭り状態
西の定番を挙げたので、次は東の定番を。娯楽の殿堂・香港映画、その中でも伝説の作品『男たちの挽歌2』(87年)である。黒社会を舞台に、3人の男の熱い生き様を描いて大ヒットした『男たちの挽歌』(86年)の続編なのだが……前作で最も人気があり、劇的に死んだキャラが「実は双子がいた」という無茶脚本術で再登場。ほかにも主要キャラが壁を跳び越えるシーンで、1人だけ明らかに着地できない姿勢になっているなど、細かい粗相は数えきれない。
チャーハンをブチまけるチンピラに「米を粗末にするな!」と銃を突きつけて説教をするなど、「米は大事だが、このシーン要るのかな?」と首をひねるところもあるが、そんなことはどうでもいいのだ。いろいろあってクライマックス、主人公たちは完全武装で敵の屋敷へ向かうのだが、そこには100人以上のヤクザが満員電車状態で待機していた。つまり3対100(推定)の銃撃戦だ。銃声が終始鳴りまくり、手りゅう弾が飛び交い、「これ火薬量をミスっただろ」と思われる大爆発など、ヴァイオレンスのお祭り状態に突入。しかし最高にカッコいい“キメ”の画には魂が震える。必見だ。
そして最後に2000年代の「2」映画から、最も景気のいい1本を選ぼう。『トランスフォーマー/リベンジ』(09年)である。世界中で大ヒットしたが、先に挙げた2本とは異なり、評論的にはボコボコな1本だ。ただ、本作は撮影前に全米脚本家組合のストライキが発生し、脚本が出来上がっていない状態で撮影に入ったので、グチャグチャな映画になったのも仕方ない。この点に関しては作り手側も開き直っており、DVD特典では「映画は完成していないが、完成している体で取材に答える監督」「プレミア数時間前に本編を編集する監督」など、地獄のような進行が確認できる。
こうした問題のある作品だが、私は本作の景気のよさを支持したい。米軍全面協力のド迫力アクションに、「ヨルダン王室の偉い人が『トランスフォーマー』のファンだったから」というスケールのデカい理由で許可されたピラミッドでのロケ撮影。そして脚本がないせいか、全編躁状態でボケ続ける主人公たちなど、ヤケクソ気味で映画は突き進んでいく。次第にどういう話なのか曖昧になってくるが、とにかく見終わったとき「景気がいい映画だった」と思うことは間違いないだろう。
以上、個人的にオススメの景気のいい映画である。いずれも続編なので、外出自粛で時間を持て余しているなら、1と合わせて観るもよいだろう。また、今回ご紹介した3作は、いずれも景気がよく、しかし困難を経て完成した3作だ。これらの映画を見習い、困難の果てには景気のいい何かが待つと信じて、今はできる限り引きこもっていようと思う。
●加藤よしき(かとう・よしき)
ライター。1986年生まれ。「Real sound」「tayorini」などで執筆。『別冊映画秘宝 90年代狂い咲きVシネマ地獄』(洋泉社)に寄稿。
ブログ:http://blog.livedoor.jp/heretostay/
twitterID:@daitotetsugen
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