WHO「コロナ抗体確認必要」と警鐘、緊急事態は長期化の覚悟が必要
#新型コロナウイルス #WHO
4月25日、WHO(世界保健機関)が新型コロナウイルスの抗体が出来ても、再感染する可能性があると警鐘を鳴らした。新型コロナウイルスが抗体を作りにくいウイルスだとすれば、今後の感染対策に大きな影響が出る。
WHOは新型コロナウイルスについて、「現時点では、回復して抗体のある人が、2回目の感染から守られているという証拠はない」と指摘。「パンデミックの現時点では、抗体媒介性免疫の効果について、十分な証拠が得られていない」として、1度感染して抗体ができたとしても2度目の感染を防ぐことができるかどうかは不明だと危機感を示した。
筆者は4月13日に『中国研究チーム「回復しても抗体が少ない患者がいる」、新型コロナの“集団免疫”はどうなる?』(https://www.cyzo.com/2020/04/post_237319_entry.html)で、中国・上海の研究チームが上海公衆衛生クリニックセンターから退院した175人の患者の血液サンプルを分析した結果、3分の1近くの患者の抗体が予想以上に低いレベルであったと発表した。患者の中には抗体がまったく検出されないケースもあったと報告していることを伝えた。
さらに、この中で「報告は査読(研究者仲間や同分野の専門家による評価や検証)が行われていないことから現状では参考情報だが、早急に検証を行う必要がある」ことを指摘し、もしこれが本当だとすれば、「新型コロナウイルスのワクチンに対する考え方や開発方法を、根本的に変えなければならないなど、大きな影響が出る可能性がある」と警鐘を鳴らした。今回のWHOの指摘は、まさに筆者が危惧した事態が現実となる可能性を裏付けることになる。
WHOは、「新型コロナウイルスにかかったほとんどの人は抗体反応を示すようになり、これが一定の防御につながると予想する」とした上で、「ただし、その防御の程度やそれがいつまで続くのかまだ分かっていない。この重要な疑問に答える研究はまだ出ていない」としている。
4月27日には、以前に感染が確認され、4月9日に退院していた熊本市に住む20代の女性が再感染したことが確認された。
WHOは、欧米などで抗体がある人に「証明書」などを発行して、外出制限措置の解除や職場復帰を認める方法が検討されていることについて、「抗体検査は正確性と信頼性についてさらに確認が必要だ」として、「こうした証明書などにより、外出制限措置を解除したり、職場復帰を認めることは、さらなる感染のリスクを拡大させることにつながるかもしれない」と警鐘を鳴らした。
特に、「以前から確認されていた6種類のコロナウイルスと新型コロナウイルスの違いについて、抗体検査が正確に識別しているかを確認する必要がある」と述べ、血中の抗体を検知する検査について、さらなる精度の向上とその確認作業が必要になる点を強調している。
新型コロナウイルスの抗体が正確に抗体検査で把握できない、あるいは抗体に免疫性があるのか、また、どの程度の期間にわたって免疫効果があるのかという点は、感染防止を図っていく上での「集団免疫」にとって非常に重要な問題となる。
新型コロナウイルスは抗体ができにくい、あるいは抗体ができても免疫力が低いとなれば、ワクチンで人工的に抗体を作ることによって集団免疫を実現させることが難しくなるためだ。
となれば、新型コロナウイルスの感染拡大を防止するためには、「3密」を避け、マスク、手洗い、うがいなどの予防措置を行い、ひたすら治療薬が開発されるのを待つしかなくなる。
新型コロナウイルスでの緊急事態宣言、外出自粛措置は思った以上に長期間続くことになりそうだ。
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