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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 亮と渡部を救う、有吉弘行の毒
テレビウォッチャー飲用てれびの「テレビ日記」

ロンブー亮とアンジャッシュ渡部を救う、有吉弘行の”毒”

有吉弘行「渡部さんは反面教師であって、飯を語るようになったら終わり」

 24日の『マツコ&有吉 かりそめ天国』(テレビ朝日系)でも、そんな有吉の”毒”の中の”薬”の存在をあらためて感じた。この日お送りされたのは、1年以上にわたり番組で繰り広げられている有吉とアンジャッシュ・渡部の”抗争”の歴史、その総集編だ。

 2019年1月、おすすめの店を紹介するVTRに渡部が出演したときのこと。しゃぶしゃぶを語る場面で渡部が話し始めたのが、「(ポン酢を)見直さなきゃいけない時代がいま来てます」という持論だ。彼いわく、ポン酢は酸味が強すぎる。そんな調味料をやみくもに使うのは考え直したほうがいい。そして、ポン酢が好きだという有吉についてはこう評す。

「もう、ポン酢依存ですよ」

 このVTRをスタジオで見た有吉は、すぐさま抗戦を宣言した。

「徹底的に戦うしかない」

 こうして幕を開けた「ポン酢大戦争」。その後も有吉は事あるごとに、渡部に対し「ポン酢の瓶で頭ぶん殴ってやる。大島渚さんと野坂(昭如)さんのケンカみたいに」とか、「いつも言うけど渡部さんは反面教師であって、飯を語るようになったら終わり」と語気を荒らげる。グルメと全然関係ない回でも「ご飯の紹介をしてほしいから、みんなが(渡部さんに)寄ってくる」「これは(渡部さんも)怒るに怒れないと思うよ。もう図星だから」などと口撃を続ける。

 反撃ののろしが上がったのは、2020年1月。渡部は有吉らに言い放った。

「早く人間的なステージを、僕のところまで上がってきてほしい。ちょっとまだね、ステージが低いんですよ。ヒューマンステージをちょっと早く、僕のところまで上がってきてほしいですね」

 もちろん、こういう指摘は野暮だけれど、有吉と渡部はガチで殴り合っているわけではない。若手時代から付き合いのある2人の信頼関係に裏付けられた、疑似的な”抗争”だ。というか、ポン酢をめぐる争いが始まるずっと前から、有吉はずっとこんな感じで渡部に言及し続けてきた。「あいつは飯詳しいから。食べログ調べるのがうまいから」という具合に(14年9月6日『有吉の夏休み2014』フジテレビ系)。

 そして、有吉が繰り返してきた渡部への”毒”を含んだ評価は、こうして振り返ると”薬”の面があったようにも思えてくる。グルメをはじめ広範囲に及ぶ事柄の情報を整理し説明する。時代の流れを読み解き、最先端のトレンドを紹介する。そんな一見芸人らしくない職域で活動する渡部に誰よりも激しくツッコミを入れ、彼をボケ役に引き立ててきたのが有吉だった。それは、グルメなどを語る渡部に対し「芸人を降りた」と忌々しく思っている(私のような)一部の視聴者の声を先回りして代弁し、彼への批判的な視線を解除する行為にも見える。考えすぎかもしれないけれど。

 2人の”抗争”は、まだ進行中だ。『かりそめ天国』の総集編は、有吉に次のように言い放つ、近日公開予定の渡部の映像で幕を閉じた。

「ステージがまだ全然下ですね。もうね、ホントにもう1個2個じゃないです、4つ5つ下ですよね」

 なるほど、有吉の”毒”に張り合う渡部の”ヒューマンステージ”も相当高い。

飲用てれび(テレビウォッチャー)

関西在住のテレビウォッチャー。

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いんようてれび

最終更新:2021/09/21 10:37
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