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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 亮と渡部を救う、有吉弘行の毒
テレビウォッチャー飲用てれびの「テレビ日記」

ロンブー亮とアンジャッシュ渡部を救う、有吉弘行の”毒”

有吉弘行

テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(4月19~25日)見たテレビの気になる発言をピックアップします。

有吉弘行「こっちの気持ちもまだです」

「有吉さんの毒は毒と同時に薬をくれる」

 こんな発言が聞かれたのは21日の『ロンドンハーツ』(テレビ朝日系)でのこと。この日は「軍団対抗 先輩クイズ」と題し、FUJIWARAの藤本敏史、品川庄司の品川祐、とろサーモンの久保田かずのぶがそれぞれ率いる”軍団”の後輩芸人たちが、リーダーをどこまで理解できているか検証する企画が放送されていた。

 冒頭の言葉は、ロッチ・中岡が自分たちのリーダーである品川の発言として紹介したものだ。最近は毒舌を売りにするタレントが多くいるけれど、有吉はほかとは違うと品川は語っていたらしい。10年以上前に「おしゃべりクソ野郎」とあだ名を付けられた男の有吉評だけに、説得力がある。

 有吉の”毒”には”薬”が含まれる。そんな評価を裏付けるような場面が、この日も見られた。田村亮の扱いだ。

”闇営業”問題でしばらく謹慎していた亮。4月に入り、レギュラーを務める『ロンドンハーツ』で地上波テレビに復帰した。いまだスタジオの端にいる”見学者”という立ち位置での出演とはいえ、毎週その姿を番組で見せている。

 番組の最後、その亮の話題になった。彼もそろそろスタジオの端ではなく、普通に出演してもいいのではないかという話になったのだ。芸人仲間からの”完全復帰”の誘いの声に、「まだです、まだです」と断る亮。ここで有吉が言う。

「こっちの気持ちもまだです」

 ほかの芸人からは「来たらええのに」というような言葉も聞こえる中での、この発言。もちろんツッコミであり、ガチのダメ出しではないわけだけれど、亮の恭順な姿勢をチクリと刺しつつ笑いに変えるコメントは、なるほど、有吉の”毒”には”薬”も一緒についてくる。

 周囲の「来たらええのに」といった声が寛容さではなく、テレビを通すと仲間内の甘さ、なし崩し的な許しに見えてしまう可能性がある。あるいは、亮の「まだです」という返答は反省の姿勢ではなく、完全復帰のタイミングを自分で決められるかのような態度に受け取られる可能性もある。そんなあれこれに有吉は瞬発的な嗅覚でくぎを刺し、笑いに変え、結果的に亮を救っているようにも見える。考えすぎかもしれないけれど。

 いずれにしてもそういう”毒”は、ほかの毒舌系の芸能人の”毒”とは少し違う。たとえば、21日の『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)でのワンシーン。新型コロナウイルスの影響で舞台公演が軒並み中止になる中、座長を務める劇団の団員の生活も自分が面倒みないといけない、と語っていた梅沢富美男が、最後に「手も付けてないような女に、なんで金くれなきゃいけないんだ」と付け加えていつものように憤っていたけれど、こういった自身の毒舌キャラの再生産のためだけに発される、時に差別的なものを含む”毒”とは、やはり違うように聞こえる。

 芸人に対するひいき目かもしれない。有吉の発言に違和感を覚えるときもある。ただ、少なくともこの場面、亮の復帰に向け、これまで周到に準備を積み重ねてきた淳は、有吉の亮へのコメントに「厳しいなぁ!」と苦笑しつつ、「ありがたい」と受け止めるのだった。

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