「よそ者は出ていけ!?」公園封鎖で難民続出……越境先では冷たい視線も
#育児
新型コロナウイルスの感染拡大防止を目的に、3月2日から全国のほぼすべての小中学校で採られた一斉休校は、結局新学期に入っても解除されることはなく、いまや5月末まで休校延長を表明する自治体も現れ始めている。さらに4月7日に政府が緊急事態宣言を発令して以降は、全国の保育園や学童クラブでも休園・閉鎖または利用自粛を要請する動きが広がっている。子育て世帯にとっては、24時間、子どもを見ていなければならない状況となっているのだ。
そんな子育て世帯にとって、限られたリフレッシュの場となっていたのが公園だ。一般的に狭小な住宅が多く、自然も乏しい大都市に生活する者にとってはなおさらだ。3密を避け、マスク着用や手洗いを励行することを前提に、近所の公園で子どもを遊ばせることくらいは、緊急事態とはいえ許されるはずである。
しかし、その公園すら奪われ始めている。東京都は23日、大型連休を含む25日~5月6日に、都が管理する公園の利用自粛を呼び掛け、駐車場と遊具広場を閉鎖すると発表した。対象は計131カ所で、上野公園(台東区)や代々木公園(渋谷区)など82カ所の都立公園、お台場海浜公園(港区)など39カ所の都立海上公園、高尾陣場自然公園(八王子市)など10カ所の自然公園。
この発表に先駆け、調布市や荒川区、墨田区、港区などでは独自に公園の利用制限措置を講じていたが、そうした各自治体の措置の副産物として増加しているのが「公園難民」だ。
荒川区在住の30代女性も、その一人だ。
「4月13日に保育園が休園になってからは、近所の公園で30分ほど遊ぶのが娘にとっての唯一の楽しみになっていました。しかし、22日に行ってみたら、ブランコや滑り台などの遊具がすべて、テープでぐるぐる巻きにされていたんです。娘はショックのあまり泣きだしてしまいました」
その後、区内のすべての公園で同様の措置が取られていることを知った女性は、機嫌が直らない娘を自転車に乗せ、隣接する台東区の公園に向かったという。しかし……。
「遊具はまさに密集・密接の2密状態で、ブランコなどは長蛇の列ができていたんです。しかも、地元の親子連れはその多くが顔見知りのようで、子どもを含め、よそから来た者たちから露骨に距離を取っているようでした。『(公園が封鎖された)荒川区と墨田区からたくさん人が来て困るよね』と聞こえよがしに話している人もいて、いたたまれなくなってすぐに帰りました」
一部の公園封鎖によって他の公園で過密状態を生んでいるとすれば、それは本末転倒ではないだろうか。
一方、調布在住の40代男性は、「亡命先」の公園で、こんな迫害を受けたという。
「市内の公園が封鎖されたので、小学校1年生の息子を連れて、車で世田谷区内の公園に行ったんです。公園併設の駐車場に止めて、1時間ほど遊んで車に戻ると、ワイパーに紙切れが挟まれていた。広げてみてみると『この公園は区の施設です。区外の方のご利用は今の時期はお控えください』と手書きされていた。私の車が調布ナンバーなのを見て誰かが書いたんでしょうが、思わずぞっとしました」
外出自粛はやむを得ぬ措置とはいえ、育ち盛りの子どもたちが、四六時中、家におとなしくこもっていられるわけはないのである。また、家から出なければ感染症からは身を守ることができるかもしれないが、運動不足やストレスの蓄積が続けば、それ自体が不健康ともいえるだろう。全国に広がる公園封鎖や利用制限の流れは、再考されるべきではないだろうか。
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