韓国でついに感染者数1ケタ台! PCR検査数、教育対策、法律……日韓コロナ対策5つの違い
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文在寅政権の思惑がコロナ対策に好転?④現政権の危機感
日韓の対応に違いが出る理由の背景として、「政権の危機感」があるかもしれない。韓国では2015年に中東呼吸器症候群(MERS)が流行した際、38人が死亡するという大きな失敗を経験している。当時、朴槿恵政権の危機管理能力に批判が集中したが、朴政権を打倒して成立した文在寅としては、コロナ禍のさなかに失政することは何としても避けなければならないという危機感があったはずだ。
朴槿恵前政権が批判に対応する形で施行した「感染病検査緊急導入制度」も功を奏した。これは、政府管轄部門が認めた民間セクターに感染症検査を前もって許可しておくというもの。今回の新型コロナウイルスに対する迅速な検査に一役買ったと評価されている。
⑤感染症に対する法律
感染症に対する法律にも違いがある。むしろ、ここは防疫にとって非常に大きな意味を持つかもしれない。日本の新型インフルエンザ等対策特別措置法には罰則があまりない。一方、韓国の「感染病予防法」には刑事罰を適用できる項目がいくつか制定されている。例えば、「医療機関の診断報告義務の不履行」「感染源特定に関する情報開示の拒否」「集会禁止や交通制限など予防措置に対する違反」「感染症に関する個人情報を用途以外で流出」などに関しては、懲役刑もしくは罰金刑が課される。前出の隔離義務違反に対する罰則も、感染病予防法が根拠となっている。
ここで法解釈に深く立ち入ることは叶わないが、例えば横浜市が保育園での感染を口止めした事件や、感染者がキャバクラに行ったことを隠して嘘をつくなどの行為は、法律的にアウト!ということになる可能性がある。
そもそも韓国社会は北朝鮮との軍事衝突など、多くの有事が想定されてきた社会である。徴兵制しかり、法制度しかりである。一方、日本の場合、とことん社会が混乱に陥るような有事はあまり想定されていない。緊急事態に大多数の命を守るためと言えども、個人の人権を制限できないというジレンマがある。この点は非常にセンシティブな問題なので議論は他に譲りたい。いずれにせよ、政治家の資質や国民性というよりも、「有事の備えがあるか否か」が、日韓の対策の差として現れているということはまず間違いなさそうである。
(文/河鐘 基)
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