新型コロナから回復のJFA田嶋幸三会長、ネットメディアを解禁したワケ
#サッカー
3月中旬に新型コロナウイルス感染を公表し、今月2日に退院した日本サッカー協会(JFA)の田嶋幸三会長がメディアに出まくっている。世間に名の知られる団体組織の要職者では初めての感染者ということもあり、メディアもこぞって田嶋会長を取り上げ、それに乗っかった格好だ。
JFA会長が会見に登場すること自体は珍しくはない。しかし、個別インタビューは紙媒体でないとなかなか受けてもらえない。にもかかわらず、今回は各スポーツ紙だけでなく、日刊ゲンダイDIGITALや、本来はJFAが認めていないウェブメディアオンリーの「超WORLDサッカー!」などのウェブインタビューにも応じている。
なぜ田嶋会長は、積極的にインタビューを受けているのだろうか? サッカー関係者に聞いた。
「ネットメディアからの取材も受けているのは、実体験を元に、世間のコロナに対する理解を深めるためというのが建前。本音は、サッカー界で急速に人気を高めている、Jリーグ副理事長である原博実氏への対抗心でしょう」
2016年、JFAは初の会長選挙を実施。無選挙なら、当時副会長だった田嶋氏が会長に就任する予定だった。しかし、原氏(当時、専務理事)が立候補したため、直接対決となった。票集めに奔走し、地方行脚した田嶋氏とは真逆に、原氏はいつも通りの姿勢だったため、田嶋氏圧勝かと思いきや、有効投票数74票のうち田嶋氏40票、原氏34票と迫られ、僅差での勝利となった。
田嶋氏は会長に就任すると、原氏を脅威に思ったのか、報復人事として二階級降格させる。当時はメディアもファンもこの件に注目していなかったが、不可解人事だと察したJリーグチェアマンの村井満氏が「それならば、Jリーグで力を発揮してほしい」と、原氏をJリーグ副理事長に引き抜いた(参考記事)。ここから村井&原体制のJリーグ改革が始まる。
「村井さんはネットメディアの取材を許可したり、新たな試みをどんどん取り入れていきました。YouTubeなども積極的に活用し、そこに原さんを登場させた。村井さんがビジネスを考え、原さんがサッカーを考える。この二頭体制は、サポーターからの評判も良く、初代チェアマン・川淵三郎氏時代並みの人気です。一方の田嶋さんはもともと人気がなかったですし、日本代表の不振もあり、サッカー界での支持率が急落。次の選挙戦に村井さんや原さんが出馬すれば、彼らに圧勝されてしまう。それによって、田嶋閥が粛清されるのを恐れている。だからこそ、コロナで注目を浴びているうちに、メディアに露出し、存在感を高めようとしたのではないでしょうか」(前出関係者)
確かに、田嶋氏からは「各国会長から『(抗インフルエンザウイルス薬で新型コロナウイルス治療にも有効とされる)アビガンが欲しい』と懇願された。応援できることは必ずやる」といった政治的発言や、「三浦知良と誰もが知っている世界のスターが共演するようなチャリティーマッチをやる」といった、世間の関心を意識したような発言を連発している。
支持率回復に、災いを転じて福となす――ことができるだろうか?
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事