今売れてるのはスウェット? 「アパレルAI」でファッショントレンドが激変
#新型肺炎 #コロナウイルス #人工知能 #AI
「新型コロナウィルス防止策が“巣ごもり消費”を刺激!」「ECが好調!」というような話題を、耳にする機会が増えた。ただ、いくつかの業種の現場の声に耳を傾けてみると、そうモノゴトは単純ではないらしい。例えば、アパレルだ。
「ほか業種と同様に、アパレルの実店舗の売り上げはこのところ壊滅的です。一方、ECの売り上げが爆発的に伸びているかというと、実はそうでもありません。アパレルのEC市場はもともと少しずつ拡大傾向にありますが、その伸び率を差し引けばほぼ横ばいでしょう」(アパレル関係者A氏)
日本のアパレルのEC化率は11.54%(https://ecnomikata.com/ecnews/22302)。BtoC-EC市場全体としては5.79%であるため、比較すると割とEC化率が高い業種ともいえる。もちろん、外出自粛で服を着る機会が減ったという理由もあるだろう。それにしても、巣ごもり消費が増えているとされるなか、アパレルECの売り上げが大きく伸びない理由は何か。
「ウェブ広告などEC上の施策をやり尽くしていて、顧客との接点づくりの方法に限界が来ているという理由もあるかもしれません。実店舗ではスタッフが接客しながらお客さんに合った対応ができますが、ECではそれがなかなか難しい。言い換えれば、ECにはオンラインのような柔軟性がなく、連帯感構築や接客手段の多様性がないのです」(ファッション系アプリ運営者B氏)
そんな状況のなかアパレルECの新たな味方となるかもしれないテクノロジーがある。人工知能(AI)だ。自社でファッションAI「#CBK scnnr(カブキスキャナー)」を開発するニューロープ社の酒井聡CEOは言う。
「ひとえにファッションAIと言えども、いろいろな種類があるかと思います。弊社では主に画像認識技術を使ったファッションAIを開発・提供しています。画像認識技術を用いれば、SNSやファッションメディアなど、オンライン上にあるファションスナップの動向を瞬時に解析することも可能に。これまで、自社アクセスログやPOSデータなど限定的なデータに依存していたアパレル企業のEC施策を、より強化することができます」
#CBK scnnrを例に取れば、ユーザーが好む「類似アイテム表示」、「コーディネート提案」「画像検索」などの機能をEC内に組み込むことができる。いわば、店舗スタッフが担っていた接客を、疑似的にEC上で再現することができるのだ。
「アパレルはほかの業種と違って、シーズン毎に商品やトレンドが変わります。売り上げなど自社内でデータ収集しようとしてもなかなか溜まりにくく、EC施策に繋げることも難しい。その点、ネット上のトレンド画像などを解析できれば、EC上の接客をスピード感を持ってアップデートし続けることができます」(酒井氏)
また画像認識AIに統計的手法など他の技術を組み合わせれば、「トレンドを予測・分析したり、需要予測を行うことも可能だ」と酒井氏は言う。
「最近の動向を解析すると、スウェットやワイドパンツ、スカートなど部屋でリラックスできるアイテムの出現率がSNS上では大きく伸びています。色ではイエローやミントグリーンなど春カラーです。みなさん外出自粛で部屋にいるけれど、季節感やトレンドを取り入れた消費をしているということが分かります」(同)
アパレル企業が消費の動向や需要予測を立てられるようになれば、その恩恵や消費者にも返ってくる。例えば、企業の廃棄や在庫あまりが少なくなれば、良い商品がより安価に手に入る機会が増える
「そのほかにも、AIを駆使すれば一点もののデザイン生成も自動化できます。例えば、好きなモチーフやテイストを指定してもらって、AIがその要望に沿ったデザインを何種類も考え、顧客はそのなかから好きなものを選ぶという具合です。ファッションAIができることはさらに多いはず。我々も業界の活性化のために技術のブラッシュアップを続けたいと思います」
コロナ禍のなかで社会全体の消費が落ち込むと予測されている現在、AIはどんな役割を果たしていくのか。アパレルやファッションに限らず、多くの業種でさらなる可能性が追求されていくはずだ。
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